刺絡療法とは?刺絡でどんな病気が治るのか?

【※本記事は2019-04-21更新しました】

 

こんにちは。李哲です。 

瀉血(しゃけつ)療法と刺絡(しらく)療法。

言葉的にはとても似ているので、混同しているかも知れません。

 

なんでも血を出すのが、瀉血療法で刺絡療法だと思うでしょう。

 

今日は中医学の刺絡療法に関して話します。

私見ですが、参考になると幸いです。

 

瀉血療法の解釈は、瀉血 - Wikipedia をご覧ください。

 


 

中医学では瀉血療法ではなくて、「刺絡療法」だといいます。
「刺絡療法」とは、絡脈若しくは特定のツボを刺して、少量の血を出して病気を治す方法。

 

絡脈というのは、皮膚の表側に走るもので、一般的に詰まりが生じた場合は静脈みたいに青くなります。絡脈は目に見えるけど、経脈は皮膚下の深いところにあるので見えない。

 


 

昔のヨーロッパで瀉血療法が盛んで、患者さんが瀉血療法で死んだのは、どんな患者さんでも血を抜いたからです。

 

おそらく動脈から血を出したのではないでしょうか?

動脈を刺すと、大出血で死に至る可能性があるから。

 

人間の血液量は、体重の8%くらい。

60kgの人で換算すると、4.5Lくらいが血液です。

その中の3割(1.5L)を失うと、命に危険性があります。

 

体が弱っている患者さんは、ほとんど貧血気味です。

造血機能が弱くなっている方が多い。

こんな患者さんでも血を抜くなら、死なないワケがないです。

 


 

中医学の刺絡療法は、誰でも血を抜く行為ではありません。

明確な目的と適応症があります。


だから、中医学5000年の間で、刺絡療法でたくさんの患者さんが死んで、刺絡療法が廃棄されてはいません。

 

『黄帝内経』には、刺絡療法で死に至ると書いてるけど、あれは不注意で動脈を刺して出血が止まらなかった時の事です。

 


 

刺絡療法で治せる病気は、どんなものがあるのか?

 

以下は一部分の適応症です。

  • マラリア、ハンセン病
  • アトピー.化膿などの皮膚病
  • 頑固な痛み
  • 狂犬病、破傷風
  • 毒蛇.毒虫に刺された時
  • いろんな内臓の病気

 

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三稜針(さんりょうしん):昔の刺絡用の鋭くて長い鍼。主に血管を破いて瘀血を出すため。今の刺絡用の鍼は、もっと細くて鋭いので、チクッとするだけでほとんど痛みがありません。

特に病気の初期段階は、四肢の静脈.ツボには瘀血(中医学でいう邪気の集まり)があります。この時に刺絡療法を使えば、場合によって漢方薬を飲むより効果が速い。

 

刺絡療法は自然療法で、理に適っている療法です。

 

皆さんも何か虫に刺されて腫れ上がった時、自然に傷口から血を吸って出すでしょう。傷口から出る血を中に吹き込む人はいますか?

 

今日は草々と説明しましたが、機会があればまた記事として書きたいと思います。