同病異治:同じライム病でも漢方薬治療が違うのは訳がある。ライム病は風邪を引いたのが原因。

【※本記事は2020-05-20更新しました】

 

こんにちは。李哲です。

倪海夏(ニハイシャ)先生の治療日記を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、同病異治

 

風邪をちゃんと治さなかったら、ライム病だと診断されるかも知れないので、風邪を引いたら漢方でさっさと治しましょう。

 

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翻訳文

03/12/2007。

白人の双子、17歳。

二人ともライム病だと診断されました。

 

お兄さんは去年、頭痛.鼻づまり、体の痛み、悪寒、倦怠感、集中力がないなどの症状があって、病院に行って検査したらライム病だと診断。

 

何種類のビタミン剤と痛み止め薬.抗生物質を処方したけど、今でも症状は緩和されていません。

 

同時に弟さんもライム病だと診断されました。

たくさんの抗生物質とビタミン剤を飲んだけど、いまだに良くなっていない。

 

今日私のところを訪ねてきたのは、お母さんの友人が紹介してくれたので。お母さんはたくさんの薬とビタミン剤を持ってきて、「今まで何の役にも立たなかったのに、飲む必要がありますか?」とバカな質問をしてきました。

 

▼李哲の説明:ビタミン剤は病気が治るところか、逆に病気が増えるので、飲まないでください。

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この双子兄弟は西洋医学で同じライム病だけど、中医学の理論ではまったく違います。

 

私は先にお兄さんに聞いてみました。

「ぐっすり朝まで眠れますか?」

 

お兄さんの答えは、

寝付きが悪いです。

毎晩1時~3時は必ず起きる。

3時以後になると寝れます。

 

「両足は冷たいですか?」

とても冷たいです。」

 

「食欲はどうですか?」

「良くないです。」

 

「喉は渇きますか?」

「乾く。でも温かい水しか飲まない。」

 

そして、小便は中黄色~深黄色。

上半身は熱くて、下半身が冷たい。

 

以上で問診は終わり。

 


  

お兄さんは中医学の診断では、上熱下寒、肝臓が損傷している。だから、夜1時~3時には必ず起きる。病気は少陰と厥陰段階の間にあります。

 

お兄さんの肝臓は抗生物質ですでに破壊されていて、処方箋には肝臓を修復する生薬をまた入れました。

  

私が出した処方箋は、傷寒雑病論の少陰篇にあるものと黄芩黄連など上半身の熱を取り除くやつ、加工したトリカブトなどで下焦の冷えを取り除くようにしました。

 

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黄芩(おうごん)の画像


これで熱と寒気が混ざっている症状を、同時に治すことができます。

 

▼李哲の説明:「上熱下寒」の体質は、臨床でよく見られます。重症だと言ってもいいでしょう。治すのには時間がかかりますが、1~2回施術するだけでも効果は見られます。以下は一つの症例、参考になると幸いです。

 

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以下は弟の症状。

  • お兄さんと同じように、寝付きが悪い。夜1時~3時には必ず起きる。
  • 喉はとても乾く。でも、冷たい水を飲みたがる。
  • 体はとても熱くて、両足もとても熱い。
  • 食欲は非常に良くて、大食い。
  • 小便は中黄色。

弟はお兄さんと違って、とても熱がりです。

傷寒雑病論』の弁証法では、彼は陽明症。なので、私は「白虎湯」をアレンジして、肝臓の毒素を出す生薬を入れました。

 

▼李哲の説明:「白虎湯」の症例はほかにもあります。肺の熱が原因で寝言を言いながら、動き回るご主人を治すために処されました。以下の記事、どうぞご覧ください。

 

妊娠高血圧症候群で、中絶するしかない奥さん。肺の熱が原因で、寝言を言いながら動きまわる・落ち着きがないご主人。

 

パット見ても分かりますが、弟さんはお兄さんより症状が軽い。回復も速いと思います。

 

彼らは西洋医学の診断で同じライム病だけど、中医学の処方箋はまったく違う。これが経方家の診断法と臨機応変です。

 

もし、彼らが温病派の中医師に診てもらったら、陰虚証だと言われるでしょう。そして、同じ処方箋を出す。

 

皆さんは私がいう経方家が理解できたでしょうか。

現在、99%の中医師は温病派です。だから、皆さんはこのような治療法と処方箋が見られません。

 


 

双子兄弟のライム病は、もともと風邪をひいたのがきっかけです。でも、ちゃんと治してなかったので、邪気が深いところまで入って今の様々な自覚症状が現れ、西洋医学ではライム病だと診断したのです。

 

▼李哲の説明:風邪を抗生物質で治すと、風邪のウィルスはどんどん深い内臓に入り込んで、もっと多い問題を作り出します。以下の小論文では、具体的にどんな症状が起きるかを分析しました。参考になると幸いです。

 

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お兄さんは体質が弱くて、もっと深いところに入り、私が診た時は、すでに少陰と厥陰段階の間でした。治すのにはかなり日にちがかかります。

 

弟さんは体質がわりと強くて、風邪の治療で失敗したけど、まだ陽明症の段階です。わりと浅いところなので、回復が速いはず。

 

経方家は病気の段階が見えるけど、温病派の中医師はできません。

 

(人紀クラスの生徒さんに託する言葉は省略)