【※本記事は2019-06-17更新しました】
- 鍼灸を差別したお医者さんが、鍼を習いに来た
- 鍼灸が治すのは、患者さんの自覚症状。人間は辛くなったら、必ず自覚症状として出る
- 針灸は「気」を調整する
- 気は体のシステムを主導する力
- ツボは経絡の要塞
- 針灸は自己治癒力にもとつく、「治癒」する医術である
- 「なぜ鍼が効くのか?」を問うより、臨床で活用するのが大事!
鍼灸を差別したお医者さんが、鍼を習いに来た
こんにちは。李哲です。
今日は「鍼灸はなぜ効くのか?」をテーマとして、詳しく説明したいと思います。
先にネットで見た、ある鍼灸医の経歴を話します。
この鍼灸医は西洋医学の先生が治せなかった腰痛.手足のしびれなどを治しました。
最初の2~3人治した時、西洋医学の先生は「偶然でしょう!」と話したそうです。5~6人治した時、西洋医学の先生は「患者さんの気のせい。暗示療法のおかげでしょう!」と話しました。10何人治した時、西洋医学の先生は自ら見学に来て、患者さんが治ったのを見て、鍼を勉強し始めたそうです。
これはよくある話かも知れません。
「鍼は肩こり、腰痛には効くけど、風邪には効かない!」という先生がいたので、反論する記事を書いたことがあります。簡単に言うと、この先生は風邪を治せる鍼灸医に出会ってないから、知らないだけです。
鍼灸が治すのは、患者さんの自覚症状。人間は辛くなったら、必ず自覚症状として出る
鍼灸で1~2人治しても、「患者さんの気のせい。暗示療法のおかげ」だと言われる。10何人治しても「データが少ないから、科学的根拠がない!」と言われる。
鍼灸で治すのは、患者さんの自覚症状です。
自覚症状は主観的な感覚なので、物理的な検査では詳しい数値として測れないのが難点。
たとえば全身がだるい。
だるさの程度はどうやって測れるか?
たとえば胃が痛い。
足がしびれる。
痛み.しびれの程度は測れるのか?
血圧.血糖値みたいに、具体的な数値で測れない自覚症状。
鍼灸では治すのは自覚症状なので、科学的根拠がないと言われるでしょう。
体調不良のとき、数値に出なくても体はSOSサインを出しています。それが自覚症状。
鍼は自覚症状を対象にするので、未病を治す・病気がまだ芽の段階で治す医術です。
健康な人であれば、6つの健康的な症状が揃えるはず。
以下の6つの基準を満たしてない場合、あなたはすぐ治してくれる所を探したほうがいいです。
科学的に測れないのはたくさんあります。
しかし、存在しないわけではない。
測れないから否定するのは、賢明な考え方ではないと思います。
測れないのは、今の科学技術が足りない事。
それだけです。
針灸は「気」を調整する
鍼灸は、なぜいろんな不調が治せるのか?
以下は私の拙い考え方ですが、参考になれば幸いです。
鍼灸の治療は、経絡をもとにしています。
経絡とツボがなかったら、鍼灸もない。
経絡は気が流れる道です。
鍼灸は気を調節することで、身体の不調を治します。
経絡その存在は、物理的に証明されています。興味がある方は以下のリンク記事をご覧ください。第84話:「経絡」の正体(本山博の研究) - 安神堂の慎思録
一般人は気だというと、半信半疑の気持ちかも知れません。
気をそんなに難しいものだと思わないで下さい。
現実でよくある事で、表現してみます。
1.誰か後でじっと睨んでみると、なんとなく気配が分かる。
2.相手の殺気は、遠くからも感じられます。
3.鏡にはぁ~~と息を吐いて見て下さい。
鏡に水蒸気がたくさん付きます。
それが貴方の体内の「気」です。
特別な体質の人は、生まれつきで経絡が見えます。あと、特別に訓練.修行した人は見える。一般人は残念ながら見えません。見えないけど、感じることはできます。
気はエネルギーの一つで、人間が生きている唯一無二のエネルギーです。
気があるから、60kgの人間は空気が入った気球みたいに、走ったり飛んだりすることができます。
気が足りなかったら、身体がとても重くなる。
気を失った人は、とんでもないくらい重いです。
例えば事故で意識不明になった人。酔っ払って倒れた人。死人など。
中医学では、【陰陽】、【気血】など見えないものをよく言いますが、具体的な物で説明したいと思います。
簡単に説明すると、見えるのは陰で見えないのが陽です。
例えば、手の皮膚。手の筋肉。
しかし、筋肉の力がどのくらいあるかは見えません。
この力が陽です。
目に見える心臓の形は陰。
心臓の働く力、血液を送り出す力が陽です。
気は陽。
血は陰です。
陽は陰の中に隠れています。
バッテリーの中に液体のものがあって、電気を貯蔵するように。
気は体のシステムを主導する力
血(陰)が本で、気(陽)はその働きを果たす。
主導権は気(陽)です。
気が血管の内側.外側を守っているから、血液はものすごいスピードで循環しても血管の壁を破って出たりしない。
バッテリーみたいに、「気」が内臓の中に貯蔵されているので、内臓は自ら動いて食べ物を消化.吸収し、毒素を分解.排出します。
人間が意識しなくても、「気」は自動的に全身を周り、システムメンテナンスをしながら、体を守っています。
「気」は西洋医学でいう免疫力の総称で、そのパワーはすごいです。人間の身体は、素晴らしい免疫力のおかげで、ほぼすべての病気を自分で治せます。人間が病気になるのは、この免疫システムに支障をきたしたから。
人間には素晴らしい自己治癒力があるので、ワクチン・抗生物質に頼るのではなくて、生まれつきの免疫力を強化するのが、健康を守る唯一無二の方法です。
ツボは経絡の要塞
鍼灸治療の時、先にツボを選びます。
ツボと言うのは、経絡の上で最も反応が良い所。要処。重要な交差点みたいな存在です。
エレベーターの階数を表すボタン。
5階を押したらエレベーターは5階に行く。9階を押したらエレベーターは9階に行く。
ツボはそのボタンに似ている。
例えば合谷穴は、経絡の理論で有名な話があります。
『面口合谷収』
その意味は、顔と口の病気であれば、合谷穴は効果がある。
大腸経の経絡は口を一周回るし、顔にもいろいろ分布します。
合谷穴は大腸経のツボで、原穴。
原穴は陽気がとても集まる大事な場所。
合谷穴を刺せば、大腸経の流れが変わるので、顔と口周りの病気も良くなります。
顔と口周りは、大腸経だけではない。ほかの経絡も関連して、ほかのツボも治療ができます。
これは5階と9階をつなげるエレベーターではなくて、ほかの電話.FAXなどの手段です。
身体には主に14個の経絡が縦横無尽し、お互いに絡んだりして、あらゆる臓器と皮膚.骨.血管などをつなげています。
その膨大な絡み量は、おそらくスーパーコンピュータでも分析できないでしょう。
どのツボがどんな効果があるのか、これは歴代の名医たちがまとめているので、後輩の私たちが習うものです。
たとえば現代医学で治せない狂犬病。
大昔から鍼灸医たちは治しました。我々はその治療法を覚えないといけません。
針灸は自己治癒力にもとつく、「治癒」する医術である
鍼灸は気を動かす事で、体を治すと述べました。
この治すと言うのは、「治癒」だとも言います。
なぜなら、鍼灸は生まれつきの自己治癒力を刺激して、体自分が自分を治すようにしているから。
薬品・注射など外部からのもので、体内のバランスをとるものではない。
自分自身でバランスをとるようになるので、治癒だと言えます。
以下は代表的な事例で説明します。
例1:鍼で風邪を治せる理由
西洋医学では、「風邪はウィルスが原因」だと言います。
しかし、ウィルスを殺せる薬もないので、風邪に対する有効な治療法もありません。
鍼は風邪治療で有効性を示します。
以下は一つの鍼治療例。
持病のついでに、鼻水・喉の痛みを15分で治しました。
風邪はウィルスが原因だと言うのに、果たして鍼でウィルスを殺せるのか?
この考え方は間違いです。
正しい理解は、
鍼で体の自己治癒力を強化した。
⇩
自己治癒力が働いて、ウィルスを排除した。
⇩
風邪の諸症状が治る。
西洋医学の「菌を殺す!」「ウィルスを殺す!」の考え方が植え付けられているから、皆さんは理解しにくいのです。
例2:鍼で椎間板ヘルニアを治せる理由
西洋医学では、出っ張っている椎間板が神経を圧迫して、下肢の痛みとしびれが出ると言います。
鍼灸では経絡の流れが詰まったのが原因だといい、分析してから関連のツボで治療します。例えば委中.束骨.風市.環跳など。ツボの選択肢は山ほどあり、その効果はとても良いです。
以下の鍼治療例、参考になると幸いです。
半年も治らない膝痛、ヘルニア腰痛が改善され、正座ができるようになり、4千歩から8千歩まで歩けるようになった。
ツボを刺すことで、出っ張っている骨が戻ると思いますか?
細い針でそんな効果がある訳がないです。
でも、鍼灸では椎間板ヘルニアの痛みとしびれを治せます。
ここで分かりますが、西洋医学の椎間板ヘルニアの理論は間違っています。
西洋医学と中医学の理論の大きな違いは、
西洋医学は人間の身体は弱い者だ。外部からの助けが必要だと思う。
だからビタミン剤.栄養点滴.抗生物質、輸血、手術などがあります。
鍼灸の理論では、人間の身体は生きているもの。自分で自分を治す力があると思う。
鍼灸は身体を刺激して、自分で自分を治すようにするだけです。
もっと詳しいのは、以下の記事をご覧ください。
「なぜ鍼が効くのか?」を問うより、臨床で活用するのが大事!
数千年前から生まれた鍼灸。
臨床効果がなかったら、数千年続くわけがないです。
なぜ人間には経絡があるのか?
なぜ体内には気が流れるのか?
その仕組と原理は、我々凡人が簡単に解明できるものではないかも知れない。しかし、理解できなくても、道具として使う事はできます。
これが古代賢人たちのすごい所。
難しい理論を残すのではなく、誰でも使えるように応用道具として残す。
私が思うのは、
論より証拠。
臨床では効果が全てです。
鍼灸を理解できないのは、現代科学の問題で、あなたの理解不足です。
経絡.気が見えない、うさんくさい存在だ。
いわゆる鍼灸の効果は、患者さんに対する暗示療法だ。
このように断固反対するのではなく、先に鍼を勉強して応用してから、なぜ効果があるのかを研究した方がいいと思います。
以下は鍼灸の歴史に関する記事です。
興味がある方は、どうぞご覧ください。