こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師:李宗恩博士*1の漢方薬治療例を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、乳房腫塊流膿發臭 – 當張仲景遇上史丹佛(2013.5.1発表)
- 乳腺症の手術を繰り返し、最終的に乳がんになって、患部から悪臭の汁が出る女性
- 中医学の問診内容と診断・処方箋
- 10日後、左胸の0.5cmのしこりは消えて、ほかの腫瘍も移動してきた
- 1ヶ月後、胸のしこりは 柔らかくなり、小さくなって分解し始めた
- 2ヶ月後、乳癌のしこりは減って、暗い気持ちが晴れてきた
- 5ヶ月後、胸のしこりは消えて、睡眠の質もとても良くなった
- 李哲の解釈と説明
乳腺症の手術を繰り返し、最終的に乳がんになって、患部から悪臭の汁が出る女性
患者さんは30代の中国人女性。
両胸に複数のしこり(乳癌)があり、左胸から悪臭が漂う汁が出ています。
初診は2012.11.16。
彼女の主訴は、両側に副乳がある。20歳のとき、右乳房に乳腺症が見つかり、手術で切った。その後は再発して、また手術の繰り返し。漢方薬も試して見たけど、あまり効果がなかったそうです。
今は左乳房にもしこりがあり、中の一つから悪臭が漂う汁が出ています。体調不良、もしくは身体に力を入れると、しこりが痛くなるそうです。
夏は比較的に調子が良く、冬はダメ。
疲労感が強くて、夜になると気分も落ち込む。たまに心臓が苦しい。
▼李哲の説明:
一つの常識を忘れないでください。
乳癌はもともと痛みがありません。
手術、抗がん剤をやったから、乳癌が痛いのです!
また、しこりがあって、中から悪臭の漂う滲出液が垂れる場合、検査も要りません。確実に乳がんです。中医学古代の記録によると、何も治療してない場合、乳癌になった14年後に腫瘍が破裂して、皮膚から臭い膿が出ます。
ニハイシャ先生が乳癌論文で説明しているので、どうぞ参考にしてください。
中医学の問診内容と診断・処方箋
問診内容は以下のとおりです。
寒熱:寒がり、手足は氷みたいに冷たい。
汗:寝汗はかかない。家事をするとき、少し汗ばむくらい。
睡眠:夜12時に寝て、2~3時間後にはトイレで起きる。すぐ寝られるときもあれば、寝られないときもある。朝起きたときは非常に疲れる感じ。
▼李哲の説明:以前治療した女性も、朝起き上がるのが泣くほど辛かったです。幸いにも足つぼ整体を数回受けてから、劇的変化があって諸症状が改善されたこと。詳しい説明は以下の記事をご覧ください。
大便:毎日あるけど、色はたまに緑色。
尿:1~2時間に1回。薄い黄色。特別な匂いはなく、泡も出ない。
口渇:喉は渇かないけど、暑いお湯が好きで、ずっと飲んでいられる。
生理:周期は25日くらい。最近は早まるのが多い。以前は大きな血の塊が出たけど、最近は血の塊が小さい。血の色は鮮血、量が多い。生理前症候群はない。
脈診:左>右。尺脈は沈弱無力、肝臓の脈がほかのより強くて数。
舌診:少し腫れて歯の痕がある。舌苔は白くて薄い。
処方箋:
柴胡 牡蛎 瓦楞子 炒麦芽 丹皮 茯苓 防己 川芎 黄耆 桂枝 炙甘草 生附子 乾姜
鍼灸のツボ:合谷 太衝 三陰交 血海 商丘
10日後、左胸の0.5cmのしこりは消えて、ほかの腫瘍も移動してきた
2012.11.26
彼女の報告:
左副乳の0.5cmの腫瘍が消え、ほかの腫瘍は乳首に向かって移動している。先月の生理は30日で来て、もうすぐ次の生理が来る。生理前なのか怒りっぽい、イライラ。酸っぱいものが食べたい。
▼李哲の説明:酸っぱい食べ物をほしがる原因は、以下の記事をご覧ください。
口渇:ずっと飲んでられる、喉は渇く。
大便:たまに下痢。
睡眠:比較的に良い、たまに夢を見る。
舌診:舌苔は白。
処方箋:
柴胡 牡蛎 瓦楞子 炒麦芽 丹皮 茯苓 防己 川芎 黄耆 桂枝 炙甘草 生附子 乾姜 竜骨 遠志 炒酸棗仁
針灸穴位:合谷 太衝 三陰交 血海 商丘
1ヶ月後、胸のしこりは 柔らかくなり、小さくなって分解し始めた
2012.12.14
彼女の報告:
両胸のしこり(腫瘍)は柔らかくなり、小さくなって分解し始めた。左背中の膏肓穴あたりが、まるで虫が歩いているようにしびれる。右外踝に出っ張る黒い点がある、5mm以下。1kg体重が増えて、車酔いがする。
寒熱:手足は冷える。
汗:汗が出る。
睡眠:正常、夢が減り、朝起きたときも疲れなくなった。
脈診:少し遅くて弱い。
舌診:舌根部の分厚い舌苔は消えた。
処方箋:
柴胡 牡蛎 瓦楞子 炒麦芽 丹皮 茯苓 防己 川芎 黄耆 桂枝 炙甘草 生附子 乾姜 竜骨 遠志 炒酸棗仁
針灸のツボ:太衝 三陰交 血海
▼李哲の説明:虫が歩いているように、背中がムズムズする症状は、私の鍼治療例で説明したことがあります。以下の記事、参考になると幸いです。
2ヶ月後、乳癌のしこりは減って、暗い気持ちが晴れてきた
2013.1.11
先月の生理出血は4~5日、血の塊が多くて、乳癌の硬いしこりは減った。重い荷物を持ったとき、まだ両ワキが痛い。左手に力が入らなくて、左の肩と背中が痛い。あごにニキビができやすく、ビビりやすい。
寒熱:動けば暖かくなるけど、じっとしている時は体が寒い。たまに右足が冷たくなり、左足だけ熱くなる。
脈診:少し数、弱。
舌診:色は薄い、舌苔がない、乾いている。
処方箋:柴胡 牡蛎 瓦楞子 炒麦芽 竜骨 丹皮 茯苓 防己 生附子(トリカブト) 乾姜 当帰 桂枝 麻子仁 大黄 炒酸棗仁 川芎 知母 炙甘草
鍼灸のツボ:太衝、三陰交、血海、後谿、肩中兪、肩外兪。
2013.2.5
彼女の報告:
今回の漢方薬は、前回ほど効果がない。
夜の痛みはまだあって、重い荷物を持つと痛くなる。午前9時からお昼まで身体が寒い。午後は大丈夫。左肩はしびれて痛い。暗い気持ちは晴れてきた。
▼李哲の説明:李宗恩博士の症例には、ひどいうつ病を治した例が何個もあります。死にたいくらいの、暗い気持ちでも治せるから、ほかの病気治療で気持ちが晴れてくるのは当たり前の効果です。
寒熱:足が冷たい。
睡眠:毎日8時間は寝られて、夢は見る。
生理:前回の生理は1月27日に来て、血の塊があった。(以前は血の塊が出なかった)
脈診:少し数、弱い。
舌診:少し太って大きい、舌苔は白で乾いている。
処方箋:柴胡 生姜 なつめ 人参 半夏 炙甘草 茯苓 防己 黄耆 牡蛎 瓦楞子 炒麦芽
鍼灸のツボ:太衝 三陰交 血海 後谿 肩中兪 肩外兪
2013.4.5
彼女の報告:
乳房のしこりは減ったけど、まだ少しある。車酔いがひどい。普段は緊張しやすい、夜中の途中覚醒があって、心臓がバクバクする。
▼李哲の説明:乳癌の漢方薬症例は、ほかにもたくさんあります。李宗恩博士の師匠:ニハイシャ先生の記事、どうぞご覧ください。
寒熱:まだ寒がり、背中が寒い。
口渇:舌は乾いて水を飲みたがる。
生理:前回の生理は27日、血の塊が大きかった。
脈診:弱い、細小。
舌診:太さが減り、舌苔はまだ少し白。
処方箋:柴胡 玉金 牡蛎 瓦楞子 炒麦芽 丹皮 茯苓 防己 川芎 黄耆 桂枝 炙甘草 なつめ 竜骨 当帰 通草
鍼灸のツボ:太衝 三陰交 血海 巨闕 関元
▼李哲の説明:三陰交穴と血海穴は、女性によく使うツボ、ほぼすべての婦人科疾患に有効だと言えます。
5ヶ月後、胸のしこりは消えて、睡眠の質もとても良くなった
2013.4.22
患者の報告:
胸のしこりは、4月20日から突然消えた。生理の出血期間は3日間。精神状態は以前よりも良い。睡眠は夜9時~朝7時、睡眠の質はとても良い。たまに尿意で夜中の1時もしくは5時に起きる。
李哲の解釈と説明
中医学の健康に対する基準は、西洋医学よりも厳しい
上記の女性患者さん、まだ完全に治ったとは言えないけど、だいぶ改善されたのが分かります。
西洋医学は乳癌細胞さえなければ、癌が治ったと診断するけど、中医学の場合はまだまだ早いです。たとえば、上記の女性は足が冷たい。この1点だけで、まだ治療が必要だと判断します。
中医学の健康に対する基準はハッキリして、西洋医学よりも厳しいです。健康であるかどうかは、6つの自覚症状で判断するので、以下の記事を参考にしてください。
治療後に黒い血の塊が出るのは「排毒反応」
李宗恩博士の記事を読むと、漢方薬飲んでから血の塊が出たのがあります。これは古くから溜まった瘀血で、悪いことではありません。体力が回復して、体内の大掃除を始めたとき、古い溜まったものが出てしまいます。
実際に、鍼治療を受けても、昔はなかった血の塊が出る場合もあります。以下の症例で説明しているので、参考になると幸いです。
乳房の手術・生検は、やればやるほど本当の乳癌になる!
上記の女性の例で、一つ知ってもらいたいのがあります。
乳房は手術すればするほど、乳癌になる!
生検も同じ。
生検針で乳腺組織が傷つくから、乳腺を通る母乳はさらにつまり気味になって、母乳が溜まりすぎると乳癌になります。
西洋医学は「生検で癌細胞を特定しないと治療ができない」と言います。これは大うそつき。癌だと分かっても治療ができません。
なぜ私が断言するのか?
以下のデータを見てください。
乳がんで死亡する女性の割合も年々増加の傾向にあり、年間約1万3,000人が亡くなっています。 これは乳がんを発症した人の30%程度にあたります。
引用先:
乳癌患者の30%が死亡。
つまり、3人治療して中の1人が死亡。
これで、乳癌は治ると言う自体がおかしい!
30%の値の実感がわからなかったら、他の例をあげます。
今大騒ぎになって、外出・電車内でもマスク着用を強要する新型コロナの死亡率は、いかなるもの?
65分の1≒約1.5%
です。
1.5%で、すでに世界の終わりのような騒動なのに、30%の乳癌死亡率はどうでもいいですね?なんでテレビは、「西洋医学では乳癌を治せない!」という特番にしないでしょうか?視聴率は超~高いと思うけど?
西洋医学は乳癌の原因が分からないから(もしくは知っているけど)、乳癌を引き起こす手術・生検を繰り返すのです。
ニハイシャ先生はアメリカ臨床で、たくさんの患者さんを診てきました。中には、生検のせいで、すぐ死亡した方も少なくありません。だから、ニハイシャ先生は生検のボロクソ言っているのです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
◆生理不順、生理痛からはじめ、女性ホルモン剤の副作用で乳がんになったのに、なぜ自分が乳がんになったのかも分からない患者。
◆甲状腺癌が肺、腎臓、骨に転移した女性。生検すればするほど癌になりやすくなる!
◆1週間で乳がん患者のうつが治り、睡眠がとても深くなって快便にもなった漢方薬症例
◆ 末期乳がん:がん治療医も否定する分子標的治療薬を選び、生と死の境目で行ったり来たり
*1:李宗恩博士の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。