【2020-08-15追加情報】
もっとひどい足が爛れる漢方薬症例があったので、こちらも参考にしてください。94歳のおばあちゃんを治した例です。漢方薬の効果がどのくらい良いか、見てみれば分かります。
記事概要:
抗生物質も効かない蜂窩織炎。全身に広がってかゆい、足はただれて黄色い滲出液が出る。こんなひどい感染症を、漢方薬で治した例です。
こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師:鄭智城先生*1の記事を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、差点就要了命的白人中年男脚感染_郑智城
(2012-08-08 発表)
翻訳文
2週間前、一人のアメリカ人男性から電話が来ました。
「私はデラウェア州の◯◯ですが、2年前に治療してもらったことがあります。最近皮膚病で悩んでいますが、治療してくれますか?」
私「もちろんできますよ。」
この男性は覚えています。
礼儀正しくて背が高い白人。
奥さんは台湾人。乳がんでこちらに治療しに来たことがあって、その後すぐ北京中医薬大学に留学して中医学勉強に行きました。
午後、夫婦とも2人が来ました。
少し挨拶してから、彼は足を見せてくれました。
見て目はすごい怖かったです。
具体的に言うと、
- 両足はむくんでいる。
- 両足のうちくるぶしの近くに、つまり腎経の太谿穴近くに、やけどしたみたいなカサブタがあり、皮膚が硬くてとても痒い。中から黄色い浸出液が出ていました。
同時に腎経に沿って大腿部まで広がって、そけい部にも似てものがあるそうです。以下がその画像。グロテスクなので閲覧注意です。
男性が言うのは、最初はただ大腿部の内側に赤い跡がありました。アメリカでよく見かける、有毒の藤類植物に触れて生じるアレルギー性反応に似ていました。
男性は最初、藤類の植物に触れたと思い、ほったらかしたそうです。しかし、跡は消えなくて徐々に広がり、とても痒くなったのです。
2週間後、男性は友だちに誘われて山に行きました。ご当地の湖の中で泳いだあと、彼は炎症がひどくなったことに気づいたのです。
その夜はまたすごく寒くて(山の中は夜寒いです)、夜中に彼は寒すぎて全部の窓を締めました。翌日から男性の病状は、急激に悪化。男性は我慢できなくて病院に行きました。
西洋医学の先生は、感染症だと判断したでしょう。
抗生物質を出しただけ。
2日の抗生物質を飲んでから、状況はさらに悪化しました。
上半身まで広がって、全身に赤い斑ができて同時に痒い。現在、この赤い跡は首のところまで上がっています。
抗生物質が体の免疫力を破壊する正体は、以下の記事で詳しく説明しています。どうぞご参考にしてください。
アメリカ人男性は話しながら、服をめくって見せてくれたら、本当に全身に赤い斑点が出て衝撃的な光景でした。私の脳には、すぐ「尿毒症」という文字が浮び上がりました。
しかし、脈診して舌診してみたけど、どう見ても違う。
- 脈診では沈微。
- 舌診では淡、太っている。舌苔も少ない。
私は心の中で思いました。
「もしかして虚証?」
この時、男性の奥さん台湾人女性は、私の迷いを読み取ったように、隣で質問ました。
「先生のお父さんいないですか?」
「いないです。」
男性の電子カルテをさかのぼって見たら、もともと心臓に問題があって胸が苦しい症状がありました。
男性の病気が発作した過程を見ると、山の中で過ごしたのが明らかな堺。その日から病状が著しく悪化しました。だから、虚証で外部の低気温にやられたのが確実。
少し考えてから、処方箋を出しました。
【▲ 黄耆(おうぎ)の画像】
「黄耆桂枝五物湯」を追加した理由は、足指の胃経のところがマヒしていると言うので。
「黄耆桂枝五物湯」は下肢静脈瘤の治療でも著しい効果がありました。以下の記事、どうぞご参考に。
この時、台湾人奥さんが言いました。
「中医学って難しいですね。学校で勉強する時は、まあまあ分かりやすい。治療例の分析の一覧に全部書いているから。
しかし、臨床では複雑です。
これでも行けるし、あれでも治せる。
どうしたらいいか、分からないですね。
私が迷ったのは、彼に附子(トリカブト)を使って大丈夫かどうか?」
彼女が迷うのは理解できます。
皮膚がとても痒くて、黄色い浸出液が出る。赤くて腫れて痛い。
誰が見ても炎症、直感的に熱を下げて、解毒する生薬を出すでしょう。だから、西洋医学の先生も抗生物質を処方。
しかし、中医学は西洋医学の診断で治療してはいけない。中医学は自分の分析方法があります。
(次回に続く)
李哲の感想
鄭先生のこの記事を翻訳する時、以前の記事を思い出しました。さびた釘を踏んで腐りかけた足、2週間の漢方薬で治した例。
今回のはちょっと違います。
さびた釘とかは関係ない。
赤くて腫れて痒いのを見ると、おそらく一般の中医師は消炎鎮痛作用がある、冷やす生薬を使うでしょう。
鄭先生は真逆で熱々の生薬を使いました。
それは体の中は冷えているからです。
さあ、どちが正しい回答でしょうか?
次回の治療内容を見れば分かります。
鍼治療の場合は、足の築賓と太衝が大事な解毒作用がります。あとは、陰陵泉・三陰交穴で湿気を追い出す。
上記の症例みたいにひどくないですが、私自身も足の甲がただれて痒いのがありました。当時は3ヶ月かけて治したけど、トリカブトなどの生薬があれば、もっと早く治ったかも知れません。
温めるのはお腹の関元・中極穴で解決。
皮膚が腫れて赤い、痒みと痛みが伴う場合、刺絡(しらく)で直接に皮膚から毒素を出します。
臨床でみると、黒い血が出るのが多い。
黒い血が出れば、痒みと痛みが引くのはとても早いです。
刺絡療法の一つとして、以下の記事が参考になると思います。ジフテリアで喉が塞いで呼吸困難になった患者さん、刺絡ですぐ治した例です。
~続きの記事~
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。