こんにちは。李哲です。
男性更年期(LOH症候群)障害の主な症状を、中医学ではどう判断・治療するかを書きました。
中医学は患者さんの症状を大事にして、自覚症状を治す医学なので、もちろん更年期障害の様々な体調不良を治せます。たとえば精力低下、無気力感、倦怠感、イライラなど。
3千文字の小論文、参考になると幸いです。
男性ホルモン補充療法に対して、3つの疑問がある
西洋医学で男性更年期障害は、男性ホルモン(テストステロン)が減っているのが原因だと言います。したがって、男性ホルモンを補充する療法が現れました。
この療法に対して、私は3つの疑問があります。
①男性ホルモンが足りないのは、結果で原因ではありません。
原因を解決しないで、結果を補充するだけでは解決策にはならない。
②男性ホルモンが足りれば、男性更年期障害が出ないのか?
ほかの原因もあるのではないか?
③もともと、男性ホルモンは体が自分で作るもの。
いろんなホルモンバランスをとりながら、体は自分でコントロールしています。
このとき、外部からむりやり補充することで、体内のホルモンバランスが崩れます。
もう一つの悪影響は、ホルモンを分泌する臓器が退化する。
たとえ話。足を骨折して2ヶ月歩けなかった場合、床に降りて初めて歩くときは、歩き方すら忘れて転びます。
何故かと言うと、使ってないので体の組織は「いつもの働き」を忘れてできない。
外部から補充する期間が長ければ長いほど、退化するのがひどくなります。最悪の場合、インスリン依頼型の糖尿病みたいに死ぬまで薬を飲むかも知れません。
以上で私の疑問。
男性ホルモンはどんな副作用があるのか、皆さんはよく知ってから治療を受けるべきです。
挙児希望ある方にはホルモン補充療法は、精子の数が減るという副作用があるためなるべく行いません。
テストステロン投与による前立腺がん前立腺肥大症の発症率は結びつかないと最近いわれておりますが、現在患っている方に対しては行うことはできません。
また、赤血球の異常増加による「多血症」。テストステロンがもつ造血作用が亢進し症状の増悪、発症を促してしまうケースがまれにあるようです。
ほか「睡眠時無呼吸症候群」の症状悪化や「女性化乳房」「ニキビ」「浮腫」など。
男性更年期障害の症状を、中医学の理論で五臓六腑との関連性を分析する
具体的な症状は、以下の2つの記事を参考にしました。
男性更年期は専門クリニックでちゃんと治ります:メンズヘルスメディカル
更年期障害 対処法「男性の更年期障害」 | NHK健康チャンネル
①興味や意欲の喪失、集中力の低下、無気力、頭が重い
脾臓が弱っているのが原因です。
中医学で言うのは、『脾蔵意』『脾主肌肉』『脾主湿』。
意は集中力・考える力・意欲。
肌肉は日本語でいう筋肉。
脾臓が弱まると、集中力もなくなるし、筋肉の力が落ちるので無気力になる。
また、脾臓が弱くなると湿気の処理ができないので、体内に湿気が増えると頭まで重くなります。
脾臓に悪影響があるのは、サラリーマンがしょっちゅう飲むコーヒー。清涼飲料水。人工的に甘いお菓子、ケーキ。もちろん、ほかの西洋薬も脾臓を破壊する。
だから、コーヒー・清涼飲料水・お菓子などは当院の禁止物に入ります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
②不眠、不安感、発汗
心臓もしくは肝臓と関係しています。
具体的にいうと、肝臓が弱いと寝付けられない。寝付けるのに時間がかかる。
心臓が弱いと夜中に目が覚めて、なかなか眠れない。夢が多いです。
③精力低下、頭のモヤモヤ
生殖機能は腎臓がメインでコントロール。
脳は腎臓の陰液(良い栄養)が、背骨の脊椎を通って脳まで運ばれて、脳を養う。
だから、この症状が出た時は、腎臓がそうとう弱いことを示します。
④ぼっき不全・勃起障害
主に肝機能低下が原因。
『黄帝内経』でいうのは、「肝主筋」。
陰茎(男性の生殖器)は「宗筋之会」と言います。
筋がたくさん集まっているので、ぼっきできる。
男性の生殖器官に関して、まとめて話すと
①ぼっきするのは、おもに肝臓の働き。
②精子は肝臓ではなくて、腎臓が提供する。
腎臓だけ弱い場合は、生殖器官が立つけど精子が薄いので、妊娠できない。
肝臓だけ弱い場合は、精子はたくさんあるけど、生殖器官が立たなくなります。
片方だけ弱いのは珍しい。どちらかと言うと、両方弱っているケースが多いです。
⑤イライラ
肝臓に毒素が溜まっていることを示します。
毒素が溜まった原因はファーストフード、化学薬品、もしくは睡眠不足・怒りっぱなしなど。
治すためには、普段の食生活と気持ちの整理をする必要があります。
以下の記事は女性の生理前症候群に関して書きましたが、男性でも同じように通じます。肝臓がダメになったから、イライラが増える。
男性更年期障害に対する、中医学の具体的な治療(漢方薬・鍼灸症例)
健康を守る鉄則は、食事・睡眠・運動です。
どんな治療を受けるのにも、必ずこの3点を守らないといけません。
- 日常での禁止物を守らない。
- 夜更かしもしたい。
- 歩くのが嫌で、運動もしたくない。
このような方は、どんな素晴らしい中医学の先生でも治せません。
以上を守ったうえに、漢方薬・鍼灸を受けると効果が高くて治りも早いです。
次は漢方薬と鍼灸症例の情報です。
漢方は、おおむね2種類の処方箋がある
漢方薬を簡単にまとめると、
- 柴胡(さいこ)類
- 地黄(じおう)類
があります。
イライラがメイン症状の方は、柴胡(さいこ)類がオススメ。
例えば小柴胡湯・大柴胡湯・加味逍遙散・柴胡桂枝乾姜湯・柴胡桂枝湯など。
大柴胡湯の使用例として、以下の記事があるので、どうぞご参考に。
倦怠感、集中力がない、ぼっき不全の方は、地黄(じおう)類がオススメ。
例えば八味地黄丸・六味地黄丸・海馬地黄丸・杞菊地黄丸…
六味地黄丸の使用例は、以下の記事が参考になります。
肝臓と腎臓を治す処方箋の種類は、山ほどあります。
具体的にはどのような処方が自分に合うかは、漢方薬局の先生と相談してください。
はり症例の紹介
はり治療の例は多数アップしています。
以下は2つの例。
①この男性は若いのもあって、回復がとても早かったです。
タイトルは3ヶ月だと書いてるけど、実際に数回で治りました。長引いたのは、仕事の付き合いでお酒を飲んだから。
②膵臓がんの患者さん、はり治療後に朝たちが増えて精力も増えました。
がん患者さんでも変化があります。
あなたは、がん患者より重症でしょうか?
はり治療は副作用がなくて、安全かつ効果が高い療法です。一人ひとりの症状に合わせ、ツボを選んでオーダメイド式の治療をするので、万人に同じ薬を出す西洋薬より何百倍も良い!
セルフケア:お灸も一つの改善方法
セルフ治療をしたい方は、お灸がオススメです。
お灸に関して、患者さんからこんなエピソードを聞きました。
ご主人の症状は、腰痛・体力減退など。
「腰にお灸をしたら腰痛が楽になり、シップと鎮痛剤よりも効果がある。お腹の関元にお灸したら、めちゃくちゃ元気になった」そうです。
関元の紹介は以下の記事をご覧ください。
まとめ
以上、中医学の理論で男性更年期障害の様々な症状を分析し、その治療方法も書きました。
西洋医学では様々な病名を出しますが、結局最後は誰が来てもホルモン剤。
中医学は違います。
漢方薬にせよ鍼灸にせよ、万人受けのツボ・漢方薬がありません。
中医学はオーダーメイド式のケア。
あなたにピッタリの治療法案を提示し、副作用なしであなたの不定愁訴を治します。
さあ、あなたならどのサービスを受けたいでしょうか?
皆さんの判断にお任せします。
(おわり)