こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師:鄭智城先生*1の記事を翻訳しました。役に立つ情報になると幸いです。
本文のリンク先は、
(2014-01-25 05:51発表)
1.高齢者の便秘に対する一般的な解決策
年寄りは、習慣性便秘になりやすいです。
一般的なアドバイスは、繊維素が多い野菜・果物をたくさん食べて、水をたくさん飲む。
このアドバイスは、見た目は非常に合理的。
気が強い若者にとっては、ピッタリ合うかも知れません。
しかし、高齢者に対しては合わないです。
2.高齢者の便秘は「腎虚証(じんきょしょう)」が原因
年寄りは一般的に腎虚証が多いです。
中医学の理論では、腎臓は大小便を司る。
腎臓が弱くなると、大小便は両方とも影響をうけやすい。
便秘ぎみになり、頻尿など前立腺のトラブルが起きます。
簡単にいうと、歳をとった腎虚証が原因で便秘になる。
3.漢方薬治療例と生薬の解釈
この前、一人の黒人のおばあちゃんが来ました。
便秘がひどくて、4日出なかったときは意識不明になった。病院に運ばれて薬を飲んだけど、あまり効果がなかったそうです。
私は済川煎(さいせんせん)を処方しました。5日分。
処方内容は当帰、牛膝、肉従蓉(にくじゅよう)、沢瀉(ダクシャ)、升麻、枳穀。
処方の解釈は、肉従蓉で腎臓を強化し、当帰は腸を潤う。
一般的に高齢者は津液・血液も足りないので、腸内は潤いが足りません。
肉従蓉で腎臓の陽気を強化する同時に、当帰で腸内を潤わないといけません。
肉従蓉は貴重な生薬で、「砂漠の人参」という別称があります。
ご当地の人は肉従蓉を野菜として食べていて、ご当地の平均寿命は比較的に長いそうです。今の野生西洋参みたいに、過度の採伐がひどいです。
普段はこの2種類の生薬だけでも、便通が解消されます。
しかし、年寄りはもう一つトラブルがあります→「気虚」。
「気虚」だと臓器が下がり気味。
だから、処方には升麻を少し入れて、垂れ下がった臓器を持ち上げるようにします。
気の流れがよくなれば、腸の動きも戻ります。
たくさんの人は、お腹のマッサージを勧めています。これは外部からの力。
升麻、牛膝、枳穀(きこく)。この3つの生薬は少ない力で体内を動かせるので、マッサージよりおオススメ。
魚をあげるより、魚を釣る方法を教えたほうがいいですね。
黒人老婦人は再診察に来たとき言うのは、「1杯目の漢方薬を飲んで便通がありました。最初は硬かったけど、あとは柔らかい便。その後は頭痛とめまいがしました。」
これは彼女の体がとても弱いから、便が出る時に「気」も出たから、めまいがしたわけです。
この処方箋での説明は、体が弱い人は枳穀(きこく)を追加してはいけない。私は当時いろいろ考えたけど、やはり1gの枳穀(きこく)を追加しました。
張仲景は高齢者の便秘に、
蜜煎導法(みっせんどうほう)しかない感じです。
蜂蜜を円錐形に練ってから、肛門にいれるやり方。
この方法より、済川煎(さいせんせん)のほうが便利です。
後世の処方箋は、繊細に設計されているのもあるので、全部否定するのはダメですね。
4.李哲の感想
『傷寒雑病論』には高齢者の便秘を治すのに、 蜜煎導法(みっせんどうほう)以外にもう一つあります。
それが麻子仁丸(ましにんがん)。
緩やかに便を出す漢方薬。
体の免疫力・体力を損なわず、便秘を解消することができます。
鄭先生が話した後世の処方箋:「済川煎(さいせんせん)」は知りませんが、見た感じでは効果がありそうです。
高齢者は確かに腎虚証が多いです。
便が硬くて出ないのではなくて、便を出す力が足りなくて出ないのが多い。
つまり、お腹に力を入れることができないから。
腎虚証の人は、お腹に力が入らないと前の翻訳文でも書きました。
鍼の場合は、腎虚証であろうと便が固くて出ないであろうと、支溝+照海で便通を良くする事ができます。足りなかったら天枢、関元、中脘など予備は多いです。
支溝は三焦経のツボなので、刺すと臓器と臓器の間が動き出します。
照海は腎経のツボで、津液を増やすことができます。腸の中を潤うので便が出やすくなる。
今までの経験だと、便秘にまったく効果がないのはなかった。いくら頑固な便秘でも、鍼治療を続けることで改善できます。
西洋医学では2~3日便が出なくても大騒ぎしないけど、中医学からみるととんでもないことです。
正常な人は、1日最低1回は便通があります。
2日出なくても大丈夫だと思う医学はおかしい。
便秘は早めに解決したほうが良いです。
便秘が続くと痔になる可能性があって、毒素が皮膚に溢れてニキビなどの皮膚のトラブルが増えます。
便が2~3日に1回しか出ない方は、すぐ治してくれる鍼灸院・漢方薬局を探してください。
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。