こんにちは。李哲です。
今日は臨床で聞いた話を皆さんに紹介します。
一人の妊婦。
過労が原因だったのか、お腹が重くなり、お腹がはって辛かった。ちょうど家に当帰芍薬散があって、妊婦の腹痛に良いのを知っていたので、1包飲んでみたそうです。
そしたら、飲んで1分も経たないうちに、いや!30秒くらいでお腹が張るのが緩和しました。翌朝にもう一包飲んで完治。
彼女が言うのは、「針を刺した瞬間に痛みが減るし、漢方薬も飲んだ瞬間に、体が楽になるかどうかが分かります。」
彼女は経絡に敏感な方だと思います。以前も目の奥が痛いとき、鍼を刺した瞬間に痛みが消え始めました。
みんなびっくりするかも知れません。
飲み込んで30秒で効くってありえる?
確かに一般的には考えられません。
西洋医学の理論では、口から胃まで届くのに、最低でも60秒かかります。30秒だと胃まで届いてもない。
なのに、なんで効果が出たのか?
化学成分のなど、目に見えるものしか信じない現代人にとって、ちょっと理解しにくいかも知れません。以下では私の解釈をしてみたいと思います。
ほかの生化学者の論文も勉強になるので、ぜひ目を通してください。
漢方薬を含むすべての自然なものには、「気と味」2種類の情報があります。
気と言うのは、臭い・酸っぱいなどの香り。これは口に入れなくても、鼻ですぐ分かるものです。気は中医学で『陽』に属します。
例を挙げるとお酒。
香りが強いお酒は、気(陽)が強い。
香りが弱いお酒は、気(陽)が少ないと言います。
ちなみに、中国の最高級品のお酒は、みんな香りがすごくて二日酔いなどにならないです。
生薬の例を挙げると、よく使われている生薬の芍薬。袋を開けた瞬間に酸っぱい匂いが鼻を刺激します。
味というのは、実際に噛んで食べた時の感覚。これは西洋医学でいう、有効成分に似ている。味は中医学で『陰』に属します。
生薬を例えると、生姜は食べると辛い、熱くなる。味辛と言います。
西洋薬は自然なものではないので、「気」がありません。
ほとんど有効成分で効果を果たしています。つまり、消化系に入って肝臓を経過してから、血液循環に入り効果を出すのです。
しかし、漢方薬は有効成分以外に、治療効果を出す香り・匂い(気)があるので、胃に届いてなくても効き目が出る。
一瞬で効果が出るか出ないかは、皆さんの生まれつき体質にもよります。
経絡が敏感な方は、すぐ反応が出る。経絡が鈍い方は、遅めに反応が出ます。
遅れて効果が出た鍼治療例は、以下の記事が参考になると思います。
『黄帝内経』には『覆杯而癒』の言葉があります。その意味は、漢方薬を飲んで容器をひっくり返す時間で治る。
昔、私は読んで「アハハ、昔の人も誇大表示しているな!」と思いました。しかし、今は何回も自分の目で見たので、本当の事だと分かります。
最近の例だと、自分の風邪を治したこと。
小青竜湯の威力には感服です。飲んで5分も経たないうちに、鼻つまりが変わってました。
漢方薬は1年飲まないと効果が分からない。
この発言は正しくありません。
体に合っている処方であれば、1週間でも効果が分かる。風邪みたいな簡単な症状は、飲んですぐ効果が分かります。
効果がないのは処方が間違えたか、もしくは生薬がニセモノ。