こんにちは。李哲です。
鍼の即効性が現れた面白い症例があったので記事にしました。
2019年8月10日
患者さんは30代の女性。
彼女が言うのは、「冷房にやられて風邪を引いたのか、喉が痛いです。葛根湯飲んでたけど、効果がありません。今はほかの漢方薬を飲んでいます(商品名は不詳)。」
私は初期の風邪だと思って、尺沢穴を刺しました。
15分後に鍼回すとき聞いてみたら、ちっとも変わってない!
私は少し考えてから、尺沢穴の鍼を取りました。その代わり、外関穴に鍼を刺しました。少し回して強い響きが来たら放置。2~3分くらいで手技を終わらせ、カーテンを閉めるとき、彼女は中でつぶやいてました。
彼女「うん…おかしい…おかしい」
私はカーテンを開けて彼女に聞きました。
「どこが辛いですか?」
彼女「いや、気のせいかも知れないけど、喉の熱い痛みは消えました。」
私は笑いながら、彼女に教えました。
「鍼が効くときはすごく早いです。」
彼女「今治って帰ったらまた痛くなったりしないですか?」
私「治ったら治ったで、明日は再発しません。」
30分後、全部の鍼を取りました。
彼女が言うのは、「喉はもう大丈夫です。」
鍼を刺してすぐ喉の痛みが軽くなり始め、30分後には完全に治りました。2回目の鍼も必要なさそうです。
彼女はいつも鍼の響きでキャーキャー騒いたけど、今回は頑張ってガマンしたので褒めました。
以前、風邪ののどの痛みは、尺沢穴もしくは太衝穴で解決してました。太衝穴の症例は以下をご覧んください。
今回、効かないのは原因が違うと思います。
邪気(じゃき)が三焦に潜んで熱が起きて、喉が痛いです。彼女は喉が熱くて痛い以外、ほかの風邪の症状がないのが、三焦だけにいるからだと思います。
尺沢穴で喉の痛みを治せるけど、外関穴も治せる。その違いは、肺経と三焦経の違いでしょう。
自分の経験から見ると、
喉の痛みは、ほほ刺した瞬間から緩和します。
2~3回刺しても変化がないのは、間違ったツボを刺しているからです。
臨床では、喉の痛みを治すとき、他にもいろいろあります。例えば液門、魚際。照海、列欠。
なぜ一つの症状に、治せるツボがこんなに多いのか?
体内の経絡は複雑な交通網を作っています。経絡交差点にあるツボは、同時に2~3個の経絡を治せる。ほかには、経絡が臓器ともつながっているので、臓器に問題が起きたときの諸症状も解決できます。
つまり、一つのツボは様々な症状を治せる。真逆な症状でも同じツボで治せます。詳しい説明は以下の記事をご覧ください。
中医学はマルチターゲットの医学です。
一つのツボ、処方箋で様々な「病名」を治せる。
「異病同治」という理論は、中医学の一つの特徴です。
西洋医学にはこんな考え方が普及されていません。
いまだに一つの病原菌・ウィルスに対して一つの薬。
臨床では、患者さんから笑い話を聞きました。
アメリカにいるお兄さんが7つの病名をもらって、7種類の薬を毎日飲んでいるそうです。
20種類の病名だったら?
もちろん、20種類の薬ですね。そのときは薬だけでお腹いっぱいだから、ご飯を食べる必要もないでしょう。
薬漬けの人生になり、最後は薬の副作用で毒殺される人、まだ少ないと思いますか?あなたの周りには、こんな患者さんがたくさんいるはずです。
▼以下は追記情報
2019-08-27
彼女はまた冷房にやられて、「喉が痛い・イガイガする」と言ってました。今回も外関を刺して、30分後には喉の痛み・イガイガするのが治り。
「鍼灸はエビデンスに欠けている」と反論する方がいますが、科学的根拠があるものは何度も検証できる理論(方法)です。
2回も同じツボで治したのは偶然でしょうか?偶然でなかったら、科学的根拠があるものですね?
外関穴は他にもいろんな効能があります。
記事作成次第またご紹介しますので、少々お待ち下さい。