プラセボ効果のメカニズム、中医学の先生が解釈してみる

【※本記事は2019-08-14更新しました】

 

こんにちは。 李哲です。

今日はアメリカの中医師:鄭智城先生*1の文章を翻訳しました。

 

中国語本文のリンク先は、

为什么会有“心诚则灵”的现象_郑智城

 (2014-02-20 02:09:39 発表)

翻訳文

西洋医学には、著名なプラセボ(偽薬)効果現象があります。

 

患者さんは片栗粉で作られた『薬』を飲んでも、病状は良くなる。

その治療効果の高さは、精神薬の効果よりも高いです。

 

これはブラックユーモアですよね?

製薬会社がすごい力を入れて研究した薬は、ただの片栗粉の「薬」よりも悪い。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/l/li-hari/20180409/20180409171626.jpg?1523261894

 


 

中国人は昔々からこの道理を知っていました。

中国語では、『心誠則霊』と言います。

(日本語では、「信じる者は救われる」と言うでしょう)

 

なぜ『心誠則霊』なのか?

これは迷信ではないか?

 

私も昔は迷信だと思いました。

あとで仏教の理論を知ってから、これは徹底的な科学であることに気づいたのです。

 

アインシュタインの最大の貢献は、エネルギーは物質である。エネルギーと物質は、お互いに変化できると言う理論です。

 

人間の思考は、一つのエネルギーです。

しかも、大量のエネルギーを消耗する。

 

だから、中医学の理論には『思傷脾』という名言があります。その意味は、考え過ぎると脾胃が弱くなる。

 

現実でよく見れば分かりますが、脳力仕事が多い人はわりと痩せている人が多い。

 

すごく一つのものを信じるのは、エネルギーの高密度の集まりです。高密度のエネルギーは物質の変化を引き起こす。つまり、体の化学的な反応を引き起こす。

 

この化学的な反応は、薬に比べても弱くないです。

 


 

中国人にはもう一つ言葉があります。

『心想事成』(日本語でいうと、引き寄せの法則)

貴方がほしいものを思い続ければ、それが得られる。

 

毎日良いことばかり考えると、良いことが起きます。

悪いことばかり考えると、悪いことが起きます。

 

例えば、世の中は危険で詐欺師ばかりだと思うと、貴方はあちこちでこのような人に出会う。これを引き寄せだと言います。

 

逆に、この世の中は明るくてみんな仏様みたいにいい人だと思えば、貴方はあちこちでこんな人に出会える。

 


 

ある人はすぐ反対の手を上げるかも知れません。

「嘘でしょう。こんなに良いことありますか?」

「私も皆さんが仏様みたいだと思いますが、なんで違うでしょうか?」

 

そんな貴方に質問です。

「貴方は本当に確実に自分が出会う人は、皆仏様だと思っていますか?半信半疑の気持ちで思ってないですか?」

 

事実上、明るい心で世の中を見る人は、あくまでも少人数。

李哲の感想:

偽薬(プラセボ)効果の使いみちは、もともと新薬開発のために使うもの。すでにある治療法をチェックするものではありません。

 

偽薬(プラセボ)効果に関して、過去記事にでも触れているのでご覧ください。

f:id:li-hari:20180601140713j:plainf:id:li-hari:20180601140713j:plainf:id:li-hari:20180601140713j:plain
li-hari.hatenablog.com

 

鍼灸は漢方薬よりも歴史が長くいです。

それなのに、いまだに鍼灸のプラセボ効果の論文がありますね。 

 

私は鍼を刺す前に、このツボでどんな症状が良くなると言いません。患者さんがうつ伏せで受けるときは、どんな針をどのツボに刺したかも分かってない。

 

しかし、腰痛の患者さんであれば、同じツボを刺してみんな効果があります。短い期間で治る人も少なくない。

 

見せかけるのはなくて、暗示もかけません。

ただ刺して寝かせるだけですが、ツボの効果はたくさんの患者さんから検証できます。

 

(鍼灸)理論に従って、重複して検証できる。

これが科学的でなかったら、なんですか?

 

「鍼はプラセボ効果で病気を治す」と言われたら、私はもう笑うしかありません。

 


 

鄭先生が話した、「信じる者は救われる」。

これは鍼の臨床効果にも影響が出ます。

 

2千年前の『黄帝内経』には、ハッキリ書いてました。

拘于鬼神者,不可与言至德;恶于针石者,不可与言至巧;病不許治者,病必不治,治之无功矣。

 

《黄帝内経・素问・五藏別論》より引用

 

赤文字のところを簡単に翻訳すると、「自分が治らないと思う人は、必ず治らない」

 

私が尊敬している倪海厦(ニハイシャ)先生は、長年の臨床経験から治せない人の特徴をまとめました。言葉は過激ですが、思い当たる節があるのではないでしょうか?

f:id:li-hari:20180601140713j:plainf:id:li-hari:20180601140713j:plainf:id:li-hari:20180601140713j:plain
li-hari.hatenablog.com

 


 

半信半疑が強い人は、鍼の効果が出るのが遅い。

これは針が効かないのではなくて、患者さん自分自身が治療の邪魔をするからです。

 

先入観があって疑うときは、マイナス的な感情が強いので、ツボを刺しても効果がないと感じる。ただし、数回か10回くらい刺すと、患者さんは自らの変化に気づくはず。

 

残念なことは、1~2回だけで「鍼は効かない!」とすぐ判定して、鍼治療を止めちゃう人もいます。もったいないとしか言えない。

 

このような方は、素晴らしい漢方薬を飲んでも同じ効果でしょう。

 

自分の先入観を捨てるのは、なかなか難しいことです。

 

*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。