新型コロナ治療には「清肺解毒湯」などがあるのに、患者さんを死なせても普及しない世の中

こんにちは、李哲です。

アメリカ・フロリダ州の李宗恩博士は、新型コロナ治療例を発表しました。

 

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今日はなぜ様々な処方箋でコロナを治せるのか?を説明し、中国中医薬管理局が推奨した「清肺排毒湯」に関しても分析します。

 

本記事は李宗恩博士の記事2つをもとに、自分の感想を加えて書きました。参考になると幸いです。

 

新冠肺炎的中醫救治及釋疑 – 當張仲景遇上史丹佛

從藥方看中醫師的思路 – 當張仲景遇上史丹佛

 

様々な漢方薬がコロナを治せる原因は、ある段階に適する処方だから

 

漢方薬で新型コロナを治したのは、中国でたくさん報道されました。面白いのは、新型コロナを治した処方箋が違うこと。

 

コロナは湿気が原因だと主張する先生がいれば、熱が原因だと主張する先生もいます。彼らの臨床治療効果はみんな良いので、理論が間違ってはない事を示します。

 

皆さんはきっと困惑するでしょう。

なぜ新型コロナに対して、こんなに処方箋が違うのか?同じ病気だから、処方も同じであるのが普通でしょう?

 

簡単に説明すると、彼らは木を見て森を見ないからです。

他の角度で言うと、彼らが見たのはコロナ進展の一部分で、全過程ではありません。ステージが違うので、適応する処方箋も違うわけです。 

新型コロナの症状は階段性があり、階段別に対応する漢方薬も違う

 

中医学の理論でいうと、外側から邪気(ウィルス)が入った時、最初は「表虚」のタイプで、「桂枝湯」の症状が出ます。主な自覚症状は発熱、悪寒、頭痛、汗が出る。

 

外からの邪気(ウイルス)は皮膚のところで免疫力(正気)とウイルス(邪気)が戦うので、発熱が生じます。したがって、一番外側の皮膚、皮膚下の水分代謝が遅くなります。

 

皮膚、筋肉の水分補給がうまくいかないと、2段目の「表実or表寒」に入ります。この時の処方箋は「麻黄湯」「葛根湯」など。

 

2段目のとき、患者さんは治療しなくても自己治癒力で治るケースが多いです。自力で治らなくてさらに深部に入った場合、外部とつながっている肺に入ります。

 

中医学の言葉でいうと、2段目の「表寒or表実」→→3段目の「里寒」「肺寒」になり、「小青竜湯」の症状が出ます。咳が出始め、透明な鼻水が垂れる。

 

小青竜湯の治療例は以下の記事があります。どうぞご参考に。

 

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「肺寒」が治らなかったら、次の段階「肺熱」になり「大青竜湯」の症状が出ます。西洋医学でいう「肺炎」。

 

この時、純粋な「熱」ではなくて、「寒熱が混ざる」状況もあります。肺の下には痰、水・膿がたまり、最悪の場合は全部の肺・胸腔にたまって非常に複雑な病状です。

 

『金匱要略』の「肺萎肺癰咳嗽上气病脉証治第七篇」には、たくさんの記載があります。関連の処方箋は、

  • 射干麻黄湯
  • 葶苈大枣瀉肺湯
  • 澤漆湯
  • 小青竜加石膏湯…などなど

 

この段階に入ると、単純な処方箋では治せません。いろいろ組み合わせてアレンジしないといけないのです。

 

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【▲射干麻黄湯の主力:射干の画像】

 

上記の説明をまとめます。

肺炎(コロナ)の進展は、以下の4段階だと考えて良いです。

 

漢方薬の処方箋はほかにもたくさんあるけど、李宗恩博士が説明した内容だけ載せました。

 

コロナの進展

中医学の診断名

代表的な漢方薬

第一段階

表虚 ●桂枝湯

第二段階

表実or表寒

●麻黄湯

●葛根湯

第三段階

里寒 ●小青竜湯
第四段階 里熱 ●大青竜湯
寒熱が混ざる複雑な状況

●射干麻黄湯

●葶苈大枣瀉肺湯

●澤漆湯

●小青竜加石膏湯

(もしくは様々な処方箋を混合使用)

 

「清肺排毒湯」の構成から、組み立てた人の意図をはかる

 

中国の中医薬管理局が推奨した「清肺排毒湯」は、新型コロナ治療に最適な汎用の処方箋です。コロナ軽症・中の症状を含まれているので、幅広い層で使える。

 

漢方薬はもともとオーダーメイド式の治療ですが、伝染病がはやるとき、オーダーメイドなんか考える暇がありません。とりあえず緩和・悪化させないことも大事です。

 

「清肺解毒湯」はこんな時に役に立ちます。ただし、重症の患者さんに対しては足りません。水・痰を出す強力な生薬が必要。重症コロナを治せるかどうかは、処方する中医師の腕前によります。

 

中国中医薬管理局が公表した「清肺排毒湯」の構成は、以下のとおり。グラム数まで公表しています。

麻黄9g、炙甘草6g、杏仁9g、生石膏15~30g(先煎)、桂枝9g、澤瀉9g、猪苓9g、白术9g、茯苓15g、柴胡16g、黄芩6g、姜半夏9g、生姜9g、紫菀9g、冬花9g、射干9g、細辛6g山药12g、枳実6g、陳皮6g、藿香9g

 

最初の下線を引いたのを組み合わせると、「麻杏甘石湯」になります。

次の下線を引いたのを組み合わせると、「射干麻黄湯」の大半になります。(あと五味子、ナツメを追加すれば)

 

「麻杏甘石湯」が処方箋の一番最初にあります。「麻杏甘石湯」は風邪が治りかけで、熱っぽくて咳があるときに使う。関連の症例は一つあるので、どうぞご覧ください。

 

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「射干麻黄湯」は「麻杏甘石湯」よりひどい症状です。大量の痰、体液がネバネバになったときに使います。

 

もし一撃必殺を求める漢方医で、臨床でみたのが大量の痰が出る患者だったら、「射干麻黄湯」を「麻杏甘石湯」の前に記述する。

 

最初に「麻杏甘石湯」を書く意味は、軽症~中くらいの患者さんを対象にしていると考えられます。

 

「清肺排毒湯」で「麻杏甘石湯」の次に記述されたのは「五苓散」、伝染病を治すとき有効な処方です。でも、ここでは補助的な役割。

 

五苓散はインフルエンザなどの伝染病を治す以外、臨床では不思議な症状も治せます。例えば夜間頻尿。

 

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「清肺排毒湯」を見ると、重症・難病を治した先生が組み立てたのではなくて、医学論文を書く人たちが討論して出した結果のような感じです。

 

麻杏甘石湯+五苓散+小柴胡湯+射干麻黄湯+胃腸に良い山薬、枳実、陳皮、霍香。

 

甘遂・葶苈子などの劇薬が入ってないので重症は治せないけど、大多数の患者さんには効果があると予測できます。

漢方薬を処方したのに、なぜ死亡例があるのか?

 

今度中国の医療現場は、漢方薬を使うのが確かに多かったです。しかし、漢方薬を処方したのに、死亡例もありました。

 

これには裏事情があります。

漢方薬を使いながら、西洋薬をもっと使ったからです。つまり、漢方薬(補助)+西洋薬(メイン)の治療。

 

症状が改善されないとき、主治医は漢方の処方を変更するのではなくて、西洋薬を増量・もっと強い西洋薬を出す。漢方薬の効果があるものの、西洋薬の副作用には勝てなかったのです。

 

私が尊敬しているニハイシャ先生も、臨床で薬の副作用で殺された患者さんをたくさん見てきました。以下はその一つ。

 

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ほかの国は漢方薬がないから、最初から抗生物質・ステロイド剤が登場。これがダメだったら、インターフェロン療法・エイズ治療薬・抗マラリア薬…あなたの想像もしてなかった劇薬を探してきて、患者さんに飲ませます。

 

なぜアメリカは3万人近く死んだのか?原因はこれです。

 

以下はインターフェロン療法を受けて、死にそうになった患者さんの症例。いわゆる最先端医療がどんなに素晴らしいか、自分の目で見て下さい。

 

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漢方薬の治療効果を報道もしない世の中

 

コロナで、かわいそうなのは患者さんです。生きるチャンスもあったけど、選択肢が間違っただけで命を落としました。

 

患者さんに良い選択肢を教えるのは医師の責任で、国とメディアの責任でもあります。しかし、漢方薬で治した例がたくさんあるのに、それを報道しない。インタビューもしない。

 

最初から「不可能だ!」「エビデンスがない!」と否定し、数万人が死んでいくのを見ても特効薬を探し続けて、漢方薬は試そうともしない。

 

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科学的な精神は、検証してから理論を確かめることでしょう?

 

漢方薬を検証もしないで否定する、バカにする。

あなたの親族は、漢方薬に殺されて仇でもありますか?

 

コロナで死んだ人がかわいそうですが、残された人もかわいそうです。無数の会社・店舗がつぶれて、失業者が増えて家庭崩壊…コロナが収束したとしても、失業者・破産などの社会的問題は、すぐ解決できません。

 

大規模に漢方薬を導入すれば、重症化・死亡例を極力減らせますが、あと何万人死んだら漢方薬を取り込むでしょう?

 

嘆くしかない世の中です。

皆さんの幸運を祈るしかありません。

 

咳、高熱、身体が痛い、食欲不振などのコロナっぽい症状がある方は、以下の漢方薬を紹介した翻訳文をご覧ください。どうしてもわからない方は、漢方医に相談したほうがいいです。

 

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