中医学の理論では、水とスイカの水分補給は違う。

こんにちは。李哲です。

暑い日にちがまだ続いていますね。

 

おそらく、スイカと水の消費量はすごいでしょう。

 

皆さんは何気なくスイカを食べたり水を飲んだりしていると思いますが、その違いは考えたことがありますか?

 

今日は中医学の角度から、水とスイカの水分補給の違いを説明したいと思います。

 

水は体重の約65パーセントを占めると言われています。

血液よりも遥かに多い。

 

一番大事な資源なので、水の循環と新陳代謝は、体の運行にとても大事な一環です。

 

残念なのは、西洋医学は血液を研究していますが、水がどのように流れるかは知らない。

 

臨床でよくあるたとえ話をします。

 

女性の足のむくみに対して、西洋医学は良い方法がありません。

運動してください。寝る時に足を高くして寝てください。などアドバイスするくらい。

 

重病の腹水症ができたときも、なんの良い方法がありません。

物理的にポンプで抽出するくらい。しかし、腹水は抽出してもまた戻ります。

 

中医学の生理学では、水の運行ルートは非常に明確に決っています。

 

どの臓器が関与して、どのように分布されるか。

 

中医学の理論では、飲む水とスイカの水分は、入る部位が違います。

 

飲んだ水は胃に入ってすぐ水蒸気に変わり(胃は熱いから)、上の肺を通して皮膚に運ばれ皮膚を潤う。

 

中医学では「肺主皮毛」といい、皮膚は肺が司っています。

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スイカは液体ではないので、胃の中ですぐ水蒸気にはなりません。

消化吸収に時間がかかり、スイカの栄養素・水分は小腸大腸で吸収されます。

 

西洋医学は大腸が水分・ミネラルを吸収することを知っています。

 

しかし、なぜ大腸は水分・ミネラルだけ吸収して、ほかの栄養素は吸収しないでしょうか?

 

中医学の理論では、大腸の下に小腸があるからです。

小腸は非常に熱い臓器で、上をまたがる大腸(横行結腸)はガス火の上のカマ(釜)と同じ。

 

だから、大腸からは水分が飛ばされて、食べ物のガスだけ直腸の方に動きます。

 

つまり、食べたスイカの水分は、大腸の所で小腸の熱が加わり、水蒸気になって上にあがり他の臓器に吸収されて血液の中に入ります。

 

血液中の血漿には、水が90%を占めています。

 

この水が足りないとどうなるか。

いわゆる重篤な熱中症:失神、けいれん、煩躁不安などの症状が現れます。

 

だから熱中症で意識不明になった人は、経口水分補給より点滴で血液の中に直接入れたほうが早く回復する。

 

簡単にまとめると、

①汗をかく時は、最初皮膚の水分がなくなる。

②皮膚の水分がなくなったら、その次は血液中の水分まで失う。

 

血液中の水分になるのは、スイカだけではありません。

すべての野菜、肉、魚、米には水分が含まれているので、血液の水分補給になります。ただし、圧倒的に水分量が多くて体内温度を下げるのはスイカ。

 

(米・肉に水分がなかったら、石みたいに硬くて噛めないですね。)

 

つまり、普段の食事で取る水分は、血液の中に入り血を潤う。

飲む水は皮膚に来て、皮膚を潤うのです。 

 

だから、真夏は飲む水も必要だけど、スイカの水分補給も必要。

 

話が少し飛びますが、臨床での例を一つあげます。

 

糖尿病患者さんは血液中の水分が足りないので、たくさん水を飲んでも口が渇いて喉が潤いません。飲んだ水は、血管の中には入らないから。

 

生薬は血液中に入って血を潤うことで、のどが渇くのを治します。

 

煩躁不安。

のどが渇く。

皮膚が乾燥する。

 

その原因はそれぞれ違うので、漢方薬治療でも鍼治療でも対策が違います。

 

以上が中医学でいう、水の代謝ルート。 

 

また機会があれば、ほかの生理学知識を書きます。