こんにちは。李哲です。
今日はアメリカの中医師:鄭智城先生の記事を翻訳しました。
もとの中国語本文のリンク先は、
翻訳文
最近診た二人の患者さん。
一人は不眠症。
一人は卵巣嚢腫から来る痛み。
二人は友だちで、一緒に治療に来ました。
結果的に二人とも効き目が速くて、今日は皆さんに治療過程を紹介したいと思います。
一人目は女性。細長い身体。喋る速度がとても速くて、声も大きい。
椅子に座ったら、すぐ機関銃みたいに病歴を話しました。
彼女が言うのは、最近左の卵巣のあたりがチクチク痛い。しかもどんどん痛みが増えて、病院の検査を受けたら8cmの卵巣嚢腫が見つかりました。
彼女は以前子宮筋腫の手術でたくさん出血し、身体がとても弱くなったので、今回は手術するかどうかで迷っています。
脈診では、沈微。舌は赤黒い。舌苔は白黄色、腻。
「口の中は苦いですか?」
「とても苦いです。」
「大便はどうですか?」
「良くない、とても良くないです。」
「お腹は張りますか?」
「張ります。しかも頻尿。」
私はすぐ分かって、2つの処方を出ました。
一つは大柴胡湯(だいさいことう)。
もう一つは、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)をアレンジしたもの。
私が思ったのは、1週間で必ず効果があるはず。
二人目は彼女の友だち。
男性、40歳前後。
顔は黒くて、あまりいきいきしない。
声は彼女と真逆で、声が細くて低かったです。
彼が言うのは、最近睡眠の質がとても悪いそうです。寝てもたくさんの悪夢を見る。
他にある症状は、胸辺りが詰まるような違和感ある。車事故でケガした両手は、徐々にマヒし始めた。
夜寝る時に、生殖器が勃起して寝れない。1回シャワーして寝れば治る。
彼は質問してました。
「結婚してないし、彼女がいないからでしょうか?」
私は逆に彼に聞きました。
「寝る時にイビキかきますか?」
「家族が言うのは、いびきしているそうです。」
「息が足りない感じがしますか?」
「ある感じです。」
私は心の中で思いました。
心臓に問題があって、睡眠の質が悪いのか?
でも、たくさんの睡眠が良くないのは肝臓とも関係があります。
必ず肝臓ではないことを排除してからじゃないと、心臓に問題があると判断できないのです。
私は彼に聞きました。
「口の中は苦いですか?」
「苦い時があります。」
これは困りました。
肝臓とも心臓とも関係がある感じ。
どちらがもっと関係しているのか?
当時はちょっと迷いました。
もし肝臓の問題なのに、心臓の薬を出したら睡眠は更に悪くなる。
逆に、心臓の問題なのに、肝臓の薬を出したら睡眠は更に悪くなる。
よく考えてから、私は2つの処方を出しました。心臓の為の処方は4日分。肝臓の為の処方は2日分。飲み方も詳しく説明しました。
私がびっくりしたのは、2日後に彼女がまた来たのです。
今度はもう2人の友だちを連れてきました。
相変わらず機関銃みたいなしゃべり方。
入ってすぐ「自分の卵巣嚢腫がだいぶ良くなった」と言ってました。
最初の1日分を飲んだら痛みが消えて、その後は頻尿の症状も消え、彼女は大喜び。
「前回の友だちの不眠症はどうですか?」
「あいや!彼はめちゃくちゃ寝ているそうです。彼が言うのは久しぶりにこんなに寝れた。
もう少しよく寝て、身体が良くなったら今度は田舎の実家に帰って、奥さんになる人を探して結婚するらしいです。」
ほら、
中医学でいう『心主喜』。
心臓が弱い人は、気持ちまで暗い。
心臓が良くなれば、気持ちが晴れて良い事ばかり考えるのです。
これがなまなましい事例です。
李哲の感想:
不眠症の原因はいろいろあります。
すぐ寝付けられない。
すぐ寝付けられんるけど、夢をたくさん見る。
夜中に尿意で目が覚める…
漢方薬はターゲットを決めないと処方できないので、弁証論治の分析が大事ですね。間違えたら効果がないだけではなくて、ひどくなる可能性すらありますから。
鍼灸治療の場合は比較的に簡単で安全です。
どの臓器の問題かはあとにして、とりあえず合谷穴と太衝穴を刺せば、効果が出るはず。
合谷穴と太衝穴は、古典鍼灸理論では『開四関』と言います。
4個のドアを開ける意味。
合谷穴は気の体表的なツボで、太衝は血の体表的なツボ。
この2つを刺す事で、気と血のバランスを取るのです。つまり、全身の気と血をコントロールできる。
事実上、この2つは不眠症にとても良い。
足りなかった場合は、神門・内関・百会などが選べられます。
鍼を刺して寝ている間、不思議な感想を教えてくれた患者さんがいたので、記事にしてみました。
内関・百会・合谷・太衝は指でマッサージもできます。
よく揉めば睡眠の質が良くなるので、寝る前に試してください。
頻尿はもっと簡単です。
自宅で中極穴にお灸をすれば、だいぶ良くなるはずです。
お灸だけで足りなかったら、鍼で他のツボも刺す。復溜と腎関(董氏奇穴の一つ)など効果的です。
睡眠導入剤の副作用は、夢遊病(むゆうびょう)。
そして、心臓を傷つけるのでうつ病になる。
続けて抗うつ剤を飲むと、自殺願望が強くなるので、慎重に調べてください。