脳腫瘍の頭痛、半盲を6ヶ月の抵当湯(ていとうとう)で治した例

【※本記事は2019-08-01更新しました】

 

こんにちは。李哲です。

中国北京・郝万山先生の漢方治療例を翻訳しました。

 

悪性脳腫瘍からくる強烈な頭痛と半盲(片方の視野が欠けている)が、6ヶ月の抵当湯(ていとうとう)で治った例。

 

中国語本文のリンク先は、

郝万山讲伤寒论中的36个故事

 

 

脳腫瘍で強烈な頭痛と半盲になった女性

30年前、私は宋孝志先生について研修していました。

当時、宣武病院から転院してきた一人の患者さん。

彼女の症状は、強烈な頭痛と半盲(片方の視野がない)。

 

宣武病院の先生が脳血管造影検査をした結果、脳腫瘍があって視神経を圧迫している。その時代は、まだこの手術が非常に難しかったです。

 

だから、西洋医学の先生は言いました。

「私たちは打つ手がないです。手術は非常にハイリスクなのでオススメできません。中医学の先生に診てもらったらどうですか?」

 

中国の西洋医学の先生は、とても良いです。

彼らは解決策がないときは、中医学の先生に診てもらうのが事を勧める。

 

患者さんはもちろん、藁にもすがる思いで治療に来ました。探したのはちょうど東直門にいる宋孝志先生。宋孝志先生は彼女の診察をしてから、しばらく処方箋を考えてました。

 

この患者さん、私は非常に印象深かったです。

40代の女性、頭痛で目が開けられない。

半盲もあるので、彼女は非常につらくて絶望してました。

 

漢方薬を3ヶ月飲んで頭痛が消え、6ヶ月後は半盲が治った

 

宋孝志先生が出した処方箋は、瘀血を出す抵当湯(ていとうとう)

ただし、煎じ薬ではなくて、粉薬にしてカプセルに入れて飲むようにしました。

 

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虻虫(ぼうちゅう):ハエより大きくて、よく牛にくっついて血を吸う吸血動物。


一つのカプセルに0.3g入っている。最初は彼女に朝晩だけ1粒を処方。もし大便が1日1回だけで、軟便でなかったら更に1粒を追加。朝昼晩1粒ずつ。大便が一日1回、軟便であればOK。2回以上も軟便が出たら減量。

 

最初、彼女は1ヶ月飲んで改善がなかったです。

しかし、宋孝志先生は「続けて飲んでください」と言いました。

 

2ヶ月目になって、頭痛は減り始め視野が広がり。

3ヶ月目になって、頭痛はほぼ解消。

6ヶ月飲んだ時、視野は完全に回復し頭痛も消えました。

 

6ヶ月目のとき、彼女は再診察に来たけど、すべての症状がなくなったので私は困惑しました。

 

脳腫瘍って消えるもの?

 

私は彼女に、もう一度脳血管造影をすることをすすめました。

30年前はMRI、CT、超音波(エコー)もなかったです。唯一に調べられるのは脳血管造影。しかし、この検査は一定のリスクがあり、検査を受けるのも痛いです。だから、患者さんはやりたがらない。

 

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私はなぜ彼女が治って、脳血管の腫瘍は本当に消えたのかを確認したかったです。

 

ある日、宋孝志先生がいないとき、私は彼女に話しました。

「必ず検査をしてください。腫瘍が他のところに行ったかも知れない。ある日、万が一破裂して大出血したら、命にかかわります。もう一度検査をして、確認したほうが良いです。脳血管の腫瘍は簡単に消えるものではありません」

 

彼女は後で私に教えましたが、私に言われた日は眠れなかったそうです。

 

私は今思い出すと、あのときは若いバカでした。

そんなふうに言うのはダメ。

 

彼女は翌日に宣武病院に行って、検査が終わったあと、半年前の画像も一緒に見せて、放射線科の技師に質問しました。「この2つの画像、何が違うでしょうか?」

 

技師が答えたのは、

「これはあなたのものですね。もう一枚は、あなたのものではない。」

「なんで、もう一枚は他人のものですか?」

 

技師「この1枚には脳血管の腫瘍が見えます。でも、ほかの一枚はなにもない。」

彼女「全部私のものですよ。半年前に検査したのもあなたです。」

 

技師「うそ!あり得ない!腫瘍があったのに、なんで今はないんだ?」

 

技師はどう見ても分からないので、彼女に聞きました。

「どうやって治療したのですか?」

「中医学の先生に診てもらって、ずっとカプセルに入れた粉薬を飲みました。」

 

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桃仁(とうにん):瘀血を溶かす作用がある。

 

まとめ:症例が少ないのが遺憾なところ

 

抵当湯を粉薬にして、脳血管の腫瘍にこんなに良い効果があるのは、今まで1人しか見ていません。

 

私も臨床治療で宋先生のマネをして抵当湯を使ったけど、患者さんは続かないのが多かったです。あるいは、現代テクノロジーの発達とともに、手術がいろいろできるようになったのもあります。

 

患者さんはしばらく漢方薬を飲んで改善が遅いから、やはり手術のほうが良いと思って手術をしてしまう。だから、彼女みたいに効果が出た人はいません。

 

私がとても遺憾だと思うのは、彼女の住所と名前を覚えたけど、彼女が何度も引っ越したので最後は見つからなくなったのです。

 

もし、今でも追跡記録ができたら、彼女は今70歳でしょう。長期的な治療効果はどうなのか?確認したくてもできないですね。

李哲の感想:漢方薬・鍼灸は脳腫瘍の治療ができる

 

脳腫瘍からくる強烈な頭痛、嘔吐を治した例もあるので、どうぞご覧ください。

 

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脳血管造影は痛みとリスクがあるのに、それでも薦めたのはちょっといけないですね。今になって、反省したのがあるから、まあ~と思いますが。

 

若いときは、バカな事・発言をするのが普通でしょうか。

 

一つ訂正したいのがありますが、今の中国の西洋医学の先生は、そんなに良心的な人は多くないです。

 

「西洋医学は解決策がないから、中医学に治療してもらってください」と言いません。死ぬまで高額な抗がん剤を打って、金もうけするのが一般的です。いつかは患者さんの霊が探しに来るでしょう。

 

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抵当湯は傷寒雑病論の処方箋で、すごい強い瘀血を溶かす処方箋です。

その組み合わせは、虻虫、蛭(ヒル)、大黄、桃仁。

 

とても強烈なので、症状が合わない人が飲むと、貧血でフラフラになってしまいます「脳血管腫瘍=抵当湯」ではありません。

 

過去記事でも抵当湯に関して話したので、良かったら一度目を通してください。

 

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抵当湯で脳血管腫瘍がなくなるのは、あまり見たことがないので、私も興味津々です。ニハイシャ先生から教わったのは、ほかの解決策と考え方。

 

強烈な頭痛と半盲(片方の視野がない)は、脳腫瘍の主な症状です。

西洋医学では手術で脳を開けますが、ハイリスクであることは知ってほしい。神経を切った場合は、一生の障害者になります。

 

そして、なぜ脳に腫瘍ができたかも分からないと、切っても腫瘍が再発します。

 

漢方薬はもちろん脳腫瘍に効果があります。

ニハイシャ先生の一つの治療記事をご覧ください。

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li-hari.hatenablog.com

 

鍼灸の場合は、私はまだ症例がないので、そこまで話せません。

 

理論的には、脳は督脈が通っている。脳は腎臓が養う。

ツボを選ぶととしたら、督脈に関連する後谿、命門、督兪 。腎臓のツボ湧泉、腎兪、復溜などが考えられます。特に湧泉は脳腫瘍からくる強烈な頭痛に有効。

 

「足裏にある湧泉?とても痛いのではないか?」と心配する方がいるかも知れません。

 

余計な心配です。

あなたは脳腫瘍からくる頭痛が、どんなに強烈なのか知らない。本当に頭が痛くて壁にぶつかりたくなるくらい痛いです。

 

足裏の湧泉で脳圧が減り、頭痛が緩和したらバンザイではないですか?