うつ病は気血を補って治す、漢方薬症例2つで説明

こんにちは。李哲です。

今日はアメリカの中医師:鄭智城先生*1の文章を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、都不容易:忧郁症治疗两三例_郑智城

(2012-05-08 04:05 発表)

前立腺の手術をしてから、うつ病で絶望的な気持ちになった男性、生活に希望が見えて、諸症状も治ってきた

最近、何人かうつ病の患者さんを診ました。良くなったのもあるし、良くなってないのもあるので、まとめて見ようと思います。

 

一人の中年男性。ペンシルベニア州のスペイン人。ある日、友たちに囲まれてこちらに来ました。うつ病だそうです。具体的な症状は、

  • 体力がなくて、仕事もできない
  • 理由なしで泣いてしまう
  • 生活には絶望の気持ちでいっぱい

うつ病は、漢方薬の気血を補う方法で治せる

うつ病は、漢方薬の気血を補う方法で治せる

彼の顔色は、とても悪かったです。暗くて意気消沈。脈診では微、弱。舌は薄くて、舌苔は白、厚い。

 


 

私は彼に聞きました。

私「何がきっかけで、こんなに悪くなったのですか?」

彼「よく分からないです。たぶん去年の前立腺手術後から、悪くなった気がします。」

 

私「前立腺は何の問題があったのですか?」

彼「前立腺肥大で、尿の出が悪くて。。。」

 

中医学の「隆閉」という症状ですね。手術は必要があったのか?漢方薬ですぐ改善しますけど?

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結果的に手術した後遺障害は、

  • 両手が震え始め
  • めまいがする
  • 寝汗をかく
  • 普段は身体が寒い
  • うつ
  • 不眠症
  • 下痢
  • 幸いにも食欲はまだ良い

 

これは虚証ですね。処方したのは黄耆、党参、桂枝、当帰、炙甘草、香附子、枸杞の実、蒼朮、茯苓。14日分。蒼朮と茯苓を入れたのは、彼の舌苔が白くて分厚いからです。

 

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香附子(こうぶし)の画像

以前ネットで見た中医学先生の記事。中では自分の祖先と自分を含めて、保元湯(ほげんとう)一つで無数の患者さんを治した。2003年のSARSが流行った時も、たくさん役に立ったそうです。見て面白かったので、処方を研究して普及する価値があると思いました。

 


 

2~3週間後、私は彼に電話して状況を聞きました。彼が言うのは、「イエス様に感謝です。現在体調が良くて、仕事も復帰しています。」

 

スペイン人は宗教を信じる人が多いです。毎回、彼が診察に来た時は涙目で話してました。「ここに連れてきた彼の家族と友人に感謝しています、生活に希望の光が見えました。」

 

彼と彼の奥さんの診察費は、彼を連れてきた友達が払ってくれたから。彼を連れてきた友達は、昔腎臓の激痛でこちらの漢方薬を飲んで治りました。ただし、かなり前の治療例なのでカルテが探せなくて、どんな処方だったか分からない。

 

私は彼に言いました。

「本当ですか?それは良かったです。まだ泣いてしまうのですか?」

 

彼「漢方薬を飲んでから、1回だけ泣きました。全部の症状が良くなっています。ただ、睡眠だけまだ悪いです

 

▼李哲の補足説明:原因不明で泣く、落ち込む女性の場合、更年期障害だと診断されるかも知れません。西洋医学はピル。しかし、漢方薬は数週間で完治できます。以下は一人の症例、参考にしてください。

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肥満症治療のついでに、うつ病まで良くなった米兵

もう一人のアメリカ人男性も、治療効果が良かったです。この男性はアメリカ海軍兵士で、ムキムキマッチョ。最近ずっとこちらで治療しています。

 

2年前、男性は肩の手術をしてから、体調が急激に悪化してうつ病の症状が出ました。具体的な症状を言うと、

  • 人と会いたくてない
  • 何に対しても興味がない
  • 何もしたくない
  • その後、非常に流行っている浣腸をしてから更に悪化 

2ヶ月前に男性は友人の紹介で来たのです。当時、彼はうつ病の事は言ってなくて、肥満症が主訴でした。私が処方したのは黄耆桂枝湯+陳皮+枳実(きじつ)。7日分。

 

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【▲生薬:桂枝の画像】

 

2週間後、男性は一人で再診察に来ました。男性が言うのは、「漢方薬を飲んでから気持ちがだいぶ晴れてきて、生活にも希望の光が見えてきました。」

 

たくさん話してから、私はやっと男性にうつ病の歴史があるのを知ったのです。処方は変えず、鎖陽を追加してまた1週間処方しました。

 

1ヶ月後男性はまた来て話しました。

漢方薬を飲むと、気分がとても良くなります。でも、漢方薬をしばらく止めると、またうつ病になり人に会いたくない、動きたくもないです。だから、再診察が遅れてきました。」

 

私は今度保元湯をアレンジしたのを処方し、「時間通りに再診察に来てください」と言いました。

 

▼李哲の補足説明:

漢方薬を飲むと辛い自覚症状が治るだけではなくて、気持ちまで明るくなります。これは西洋薬と違うところ。以下はニハイシャ先生の漢方薬症例、心不全の諸症状が治っただけではなくて、人まで明るくなりました。 

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この男性は心臓が良くないです。だから、肥満症が治らないし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)もあります。肩の手術をして気血の損傷が起きて、更に心臓が弱くなり、うつ病が起きたのです。

 

今の社会に溢れるたくさんのうつ病は、みんな手術の後遺障害。

 

去年、中国人男性のうつ病治療をしたけど、効果が薄かったです。当時は肝気を発散するのと温めるだけにしたけど、保元湯を使えば良い効果が出たと思います。

 

▼李哲の補足説明:鄭先生の症例には、20kg~30kgダイエットできたアメリカ人が何人もいました。以下が一つの症例、参考になると幸いです。たまに思いますが、アメリカ人はもともとの体重がすごいから30kgも痩せられるでしょう。普通の日本人・中国人は70kgくらいなのに、30kgも痩せたら死んでしまいますね。

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李哲の感想:人の精神は、薬でコントロールできるもの?

保元湯(ほげんとう)の組み合わせは人参、黄耆、甘草、桂枝。鄭先生の処方は保元湯の上に蒼朮、茯苓、クコの実、香附子を追加しています。

 

臨床でみると、手術すればするほど、西洋薬を飲めば飲むほど、内臓がダメージを受けます。その引き金として、うつ病という新しい病名が流行っている。

 

西洋医学の先生は薬を出しがちですが、 常識で考えてください。人の精神(気持ち)って、薬でコントロールできるものですか?

 

うつ病に関しては過去記事で討論したことがあるので、どうぞご覧ください。
li-hari.hatenablog.com

  

鄭先生の観点は、気血が足りない人がうつ病になるので、気血を補えば治る。あとは、手術で気血の損傷を起こす。

 

「手術中に輸血しているのに、気血の損傷がないのでは?」という発言があるかも知れません。

 

今は内視鏡手術があって、体に対するダメージが少ないですが、それ以外の手術後は患者さんの体力がなくなり、いつもの通り走ったりできません。ひょっとしたら歩くのも、話すのも辛いかも知れない。何故かと言うと、人間の体は密封された空間で、お腹を開けると中の『気』が抜けるからです。

 

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漢方薬・鍼治療のあとは、体力がなくなって歩けない事とかはありません。体に穴を開けないから。

 


 

当院はうつ病の鍼治療例があります。ただし、公開しづらいので書いてないだけ。三陰交、血海、中脘、関元、太衝など血に関するツボはみんなうつ病に有効です。百会、天柱、合谷など精神安定剤みたいに、落ち着かせるツボもあります。

 

鍼灸治療は西洋薬と違って、副作用がなくて五臓六腑を整える根本的な治療方法です。だから、鍼灸で治ったあとは治療に来なくても良い。

 

西洋薬の精神安定剤を飲むと、人がバカみたいに頭がぼっとする。人を興奮させる精神病薬は、人工的な麻薬(ヘロイン)、その副作用は強烈で依存性も強くて、なかなか止めらません。一生薬漬けの奴隷になります。

 

また、精神科の薬、もっともひどい副作用は自殺行為に走る。もしくは無差別殺人。これに関して小論文を書いたことがあるので、ぜひご覧ください。

 

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*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。