【翻訳文】楊貞先生の10個の治療例(3)

こんにちは。李哲です。

今日は楊貞(ヤンジェン)医師の治療例の続き。

 

前回の内容は、以下をご覧ください。

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治療例8:虚弱体質、夜尿症

女の子、10歳、痩せ型。

 

症状:体が弱くて、よく風邪を引いて点滴する。食欲は普通。食べる量が少ない。睡眠は良いけど、昼間の気力はない。便秘、2~3日に1回排便。お腹が痛いのはない。喉は渇く、温かい飲み物をほしがる。

 

足は温かいけど手は冷たくて、手の色が真っ白。おでこは温かい。唇は乾いて色は薄い。舌苔には小さな赤い点がたくさんあって、舌の真ん中は人字型で裂けている。

 

脈診では弦緊。

 

診断:脾臓の陽気が足りない。

治療:桂枝4、芍薬8、甘草3、なつめ10個、生姜2切り、◯◯7、◯◯7、◯◯7、◯◯7、党参7。6杯の水で2杯に煮詰める。毎回飲む時には2分の1杯だけ麦芽糖を溶かして飲ませる。1日3回。

 

漢方薬を飲んでから、食べる量と気力が明らかにが増えて、顔色も良くなりました。大便は毎日1回。

 

半月後、天気が寒くなり始めてから夜尿症がありました。そして、手足が氷みたいに冷たい。本来の処方箋に木通3、細辛3を追加。ほかは変動なし。

 

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木通(もくつう)の画像。

 

しかし、効果はあまり良くなかったです。夜尿症は治らない、しかも頻度は増えました。木通と細辛を取り消して、もとの処方箋に六味地黄丸を追加したけど無効。八味地黄丸に変更しても無効。

 

ニハイシャ先生、どうしたら良いでしょうか?

 

治療例9:喉がん、呼吸困難、頻尿

女性、77歳、痩せ型。喉がんの手術をして3年経ちます。

3年前、声が出なくて検査に行ったら喉がんだと診断され、即手術をしました。手術して3ヶ月後、また声が出なくなり、喉が痛い、咳する、痰が絡んで出ない症状が起きたのです。

 

ずっと痰を出す西洋薬と消炎鎮痛薬を使って、この10日は食べるのも呼吸するのも辛くて、水すら飲めない。完全に声も出なくなりました。

 

息をするとき、喉から痰の音が鳴る。

寒がりで足は氷みたいに冷たい。

大便は毎日あって、頻尿。食欲はあって、お腹もすく。

 

手のひらと項、おでこも熱い。

顔には鼻先だけ光があって、ほかのところには艶がない。舌苔は無。

 

右脈が左脈より強くて、右脈は腕まで上がっている。附骨脈はない。

 

診断:裏寒。喉の陰実。

治療:

①その場で◯◯湯を飲ませたら、1分後に水が飲めるようになりました。呼吸も落ち着いて、喉から痰の音がするのも減りました。

 

②生半夏3、桂枝3、炙甘草3、加工したトリカブト(附子)5、生姜2切り、◯◯

3、◯◯5、◯◯5、◯◯5、◯◯10、茯苓5、白朮5、蒼朮3、天南星3、麦門冬3、◯◯8、◯◯3、乾姜2。

 

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桂枝(けいし)の画像。

3日後に再診察に来て教えてくれたのは、当日の昼に漢方薬を飲んでから1杯のお粥が食べられた。精神状態も良くなったけど、咳がまだ多い。特に夜中。咳しすぎて喉が痛い。

 

足はまだ冷たい。

夜寝ているときは、頭に汗をたくさんかく。

もともと、後頭部が熱くなったのは、漢方薬を飲んでから減った。

 

治療:前回の処方箋に加工したトリカブトを6に変更、生の硫黄4を追加で、ほかは変動なし。

 

その後、患者さんは地元に帰って、咳は相変わらずひどい。

患者さんの家族は漢方薬の中毒だと言い、治療を中止しました。

 

ニハイシャ先生、この患者さんの咳はどう治すべきですか?

治療例10:肥満症、生理不順、食欲が強すぎ

女の子、24歳、肥満症。100kgくらいある。

症状:この2年、生理は2ヶ月に1回来る。最近は2ヶ月半に1回。毎回生理痛が1日あり、生理出血は3~5日。量は普通、色は濃い赤色、たまに血の塊があり。

 

生理前は胸が張る。朝歯磨きするとき、気持ち悪くなる。

この1年、ほぼ毎月風邪を引いて咳をするから病院に行って点滴。

 

たまに胸が痙攣するように痛む。

気力は足りい。夜の睡眠はまだ良いけど、昼は倦怠感で眠ったい。

 

食欲は良い、食べる量はとても多い。

昼は暑がりだけど、夜は寒がりで厚い布団をかぶる。手足は温かい。

 

喉は渇かないので、水を飲むことを忘れる。

汗が出やすくて、寝汗はかかない。

 

便秘、2~3日に1回の排便。便秘だけど、お腹は痛くならない。おならはする。尿の色は薄い黄色。

 

舌苔は薄い黄色、舌の辺縁部はザギザギ。

脈は細弱、左脈はほとんどない。

 

診断:真寒偽熱、少陰病。

治療(単位は銭):

◯◯2、◯◯2、炙甘草2、麻黄2、細辛2、◯◯5、土瓜根(この生薬は買えません)、芍薬10、桂枝3、三稜3、◯◯3、◯◯3、◯◯3、◯◯3、◯◯3、◯◯3、柴胡5、黄芩3、生姜2切り、生半夏3、厚朴3、茯苓5、白朮3、澤瀉5、◯◯3、◯◯3。

 

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栀子(クチナシ)の画像

 

9杯の水で3杯にまで煮詰める。1日3回。

 

最初の1杯目の漢方薬を飲んだ1時間後、全身が寒くなり始めたけど、唇が麻痺する感じはない。翌日は3回黒い便が出て、その後は毎日1回便が出る。精神状態は良くなり、倦怠感と眠ったい症状は減りました。

 

この処方箋は10日飲んで進歩しているけど、食欲は相変わらず強すぎる。前回の処方箋を昼と夜寝る前だけにして、朝と昼はもう一つの処方箋にしました。白虎湯(石膏4両、知母5、炙甘草2)

 

2週間後には石膏を6両に増加。

 

この処方箋を3ヶ月飲んでから、彼女はどんどん精神状態が良くなり、食欲は50%減り、ずっと食べ物を探したい気持ちがなくなりました。

 

しかし、生理は3ヶ月で来るようになり、出血量も増え。生理痛もあるけど前の半分に減りました。ほかの症状は、ほとんど消失。

 

2つの処方箋が面倒くさいので、生理のあとに処方箋を変えました。

治療:柴胡5、白朮5、茯苓5、◯◯3、◯◯2、大黄2,三稜3、莪朮3、桂枝3、芍薬3、◯◯3、◯◯3、生姜2切り、炙甘草2、石膏50、知母6、なつめ10個。

 

新しい処方箋にしてから、その日の夜また全身が寒くなりました。

その後の1週間は、毎日黒い便が2回出ました。

現在はまだ漢方薬を飲んでいるところ。

 

この患者さん、私は自信がありません。

ニハイシャ先生の指導がほしいです。

 

倪海厦(ニハイシャ)先生の評価

楊貞は中国の医師で、20年以上の勤務歴があります。彼女は西洋医学がどのくらい治療できるかを知っています。

 

こちらに来て研修してから、彼女は一般の中医師よりかなり強くなっている。

 

研修しただけで、こんなに正確な判断ができています。処方箋はちょっと複雑になっているけど、これは彼女のせいではない。彼女は新米だから。

 

でも、彼女の思考は経方の道に入り、選んだ生薬は患者さんの症状にも合っています。

もう少し時間が経ってれば、彼女はもっとうまくなって、地方の柱になるでしょう。

 

私は正規品を買った学生さん、師匠を尊重する学生さんしか指導しません。

中医学の普及には品が最優先です。

海賊版を販売・購読した学生さん、師匠を尊重しない学生さんは、私の陣営には入れない。国際で恥をかきたくないから。

 

私がどこに行っても、なるべく皆さんを呼んできて指導し、最初の経験と知識を補充してあげます。 

 

皆さんの楊貞医師の治療例を見れば分かりますが、彼女は私の指導をずっと受けられます。私が死ぬ日まで、このような訓練は中止しません。

 

李哲の感想:

今日でやっと10個目まで翻訳しました。

最後の3つの治療例は成功した例ではないですが、効果は現れています。

 

中国は違法コピー・海賊版の物が多い。恥ずかしいですがこれは事実です。

最近は知的財産権が強化されて、音楽のダウンロードなどできなくなっています。

 

もう少し年数が経ってれば、正規品ばかりになるでしょう。

 

違法コピーの話は後にして、 以下は私なりの解釈です。参考になると幸いです。

治療例8の解釈

子供の虚弱体質、よく風邪をひく、食が細いなどは「小建中湯」で解決できます。食べられると言うのは、脾胃の調子を表す印。

 

脾胃が弱いと五臓六腑に輸送するエネルギー(気血)が足りないので、風邪はもちろん、ほかの病気にもなりやすいです。

 

子供の夜尿症は、六味地黄丸・八味地黄丸で効かないのは、原因が分かります。八味地黄丸は腎臓の陽気が足りない人、特に年寄りに合います。

 

しかし、子供は腎臓の陽気が足りないのではなくて、それを封蔵する力が足りないのです。関連の処方はありますが、ここでは非公開にさせていただきます。

 

鍼灸治療の場合、陰陵泉下1.5寸の腎関(董氏奇穴)と小指にある夜尿点(奇穴)が良いかも知れません。

 

私はまだ夜尿症の子供の治療をしたことがないので、今後もしあったら発表します。

治療例9の解釈

足が氷みたいに冷たくて、頭から汗がふきでる。後頭部が熱い。これは、がん細胞が脳に転移した可能性を示します。

 

3年前に喉がんの手術をしたのにもかかわらず、また喉がつらくて食べられない。水すら飲めない・呼吸困難などの症状が出ました。喉がんの再発だと言えます。

 

つまり、手術しても本来の病気は再発。その上に、がん細胞の転移で新しい癌をもらう。

 

治せば治すほど悪くなる。

これが西洋医学の「標準治療」。

 

漢方薬を飲んでから、ご飯が食べられて後頭部の熱いのが減ったのに、咳が治らないから漢方薬のせいだと言うんですね。

 

こんな患者さんは、ニハイシャ先生が言う治らない人。

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治療例10の解釈

肥満症を治す時、ニハイシャ先生は石膏を大量に使います。

楊貞先生の処方を見れば分かりますが、石膏は6両になっている。1両は約35gなので、 6両は210g。

 

1日の処方箋に石膏だけで210gなのです。

日本の皆さんはビックリするかも知れませんが、経方家にとって日常茶飯事。

 

ニハイシャ先生は1日の処方で、16両(560g)まで出した事があります。

 

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石膏(せっこう):食欲を収めて、胃袋を小さくする大事な生薬。


食欲が強すぎて食べすぎる。

西洋医学では胃袋を小さくする手術をしますね。胃袋が小さくなれば、自然に食べられなくなるから。

 

ただし、手術は不可逆的なので、もう少し食べようとしても胃袋が伸びないので辛いです。

 

中医学では胃に熱がこもっているから、消化が早すぎてお腹が空くと言います。だから、胃の熱を冷ます石膏などで食欲を収めます。

 

西洋医学みたいに切らないので、胃袋の伸び縮は自由。

もっと食べたい時でも胃に入ります。

 

黒い便が出るのは、胃腸の出血があるのを示します。食べ物がたくさん入ると、胃腸の壁は圧力に耐えられず破れて、微量の出血が生じる。

 

専門的にダイエットの鍼はしたことがないので、なんとも言えないですが、当院の考え方としては日常での禁止物は全部やめて、あと運動をして鍼治療を受ければ、自然に痩せられます。

 

以下は以前書いた記事。参考になると幸いです。

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(おわり)