肺結核と胸膜炎の食欲不振・血を吐く・呼吸困難・胸が苦しくて痛い症状が2ヶ月で治った鍼灸症例
こんにちは、李哲です。
陳応龍先生*1の鍼治療例を翻訳しました。
結核は西洋薬しか治せないようなイメージですが、鍼でも治せることを知ってください。陳応龍先生の前回の治療例は、日本脳炎の症例でした。これも参考になると幸いです。
血を吐く肺結核患者、西洋医学の治療で悪化し、肺結核+胸膜炎になった
患者は26歳の男性、勤め先は政府機関。
主訴:咳とともに血を吐く。
胸が苦しく呼吸困難が半年続いている。
既往歴:1950年、大量の血を吐いて、レントゲン検査したら肺結核だと診断。
咳と血を吐くのが繰り返すので、夏門市のある病院で治療しました。3ヶ月の安静療養と結核の薬を使ったけど、病状は良くなりません。逆に、胸が苦しくて呼吸困難・繰り返す低熱が増えました。
レントゲン検査で分かったのは、肺結核は改善されたところか、胸膜炎にまでなっていました。
入院して3ヶ月治療したけど、繰り返す低熱、胸が苦しくて痛い、咳がひどい、たまに血を吐くのは改善なし。食欲不振で人はやつれてきました。
患者さんの要求で、陳応龍先生が往診に来て鍼治療をしました。
2ヶ月の鍼治療で咳、胸が苦しい、食欲不振などは全部治った
以下は鍼治療の経過です。
検査:舌苔は薄い、舌は少し赤い、脈診では弦数。
治療:
大椎、肺兪、膏肓、腎兪、中府、関元、足三里、玉堂、紫宮、庫房、鷹窓。毎回、上記のツボの中からいくつかを選んで刺しました。
手法:大椎は先に瀉法、あとで補う。玉堂、紫宮、庫房、鷹窓は平補平瀉。ほかのツボは補う。鍼灸は2日に1回の治療を行いました。
治療効果:
2回治療したあと、食欲不振が改善。
2週間後、咳が減り胸が苦しいのも楽になったので、西洋薬を止めて鍼治療だけを続きました。
1ヶ月後、午後の潮熱、血を吐く症状は治りました。「四花穴」のお灸を増やしました。
2ヶ月後、すべての症状が消えて食欲全開、体重が増えて精神状態が非常に良いので退院。
退院1ヶ月後、再びレントゲン検査をしたけど、肺結核は明らかに良くなり、胸膜炎の影も消えました。
李哲の解釈と説明
肺結核に関する中医学の解釈
陳応龍先生の解釈をもとに、私の言葉で説明します。
肺結核は中医学の言葉で、「肺癆」「癆証」(ろうしょう)だとも言います。
癆=労。
大昔、肺結核になった人は、ほとんど汗をかく肉体労働者でした。
過労で汗をかきすぎ→肺の中の津液が不足→肺に熱がこもる→熱で血管が膨張・乾いて破裂→ひどい時は咳とともに血が出る。
肺結核が胸膜まで蔓延した場合、胸膜の癒着を起こし、胸が苦しくて痛い症状が出ます。長期的な潮熱(主に午後になると熱が高まる周期的な症状)は、肺結核の一つの典型的な症状。
臨床では肺結核以外に、ほかの病気でも潮熱が起きる場合があります。以下は十二指腸潰瘍の症例、参考になると幸いです。
半年も治らない十二指腸潰瘍の痛み、1回の漢方薬で黒い便が出たあと痛みが治り、精神状態がとても良くなった
ツボに関する説明
以下はツボの説明です。
- 肺兪は肺の兪穴、膏肓は肺兪の外側にあるツボで、結核を治す以外、万病に効くと言われるツボ。
- 中府は肺の募穴で、足太陰脾経ともつながっている。
- 関元は腎臓を補う。
- 足三里は脾胃(土)を強化して肺(金)を生み出す。
- 「四花穴」は古代の人たちがまとめた、肺結核を治す超有名なツボ。
- 玉堂、紫宮、庫房、鷹窓などは、みんな胸郭にあるツボで、呼吸困難・咳などを治せる。
足三里で肺結核を治すのは、アフリカの貧しい人々が使っていると以下の記事に書きました。参考にして下さい。
鍼灸は肺結核、胸膜炎を治すだけではなくて、すべての呼吸系の病気を治せる
鍼灸で肺結核を治す原理を簡単にまとめると、肺を強化し、「金(肺)」の母である「土(脾胃)」を強化すれば、肺はさらに強くなる。二重保険のやり方です。
中医学には陰陽五行論があり、一つの臓器が弱くなった時は、必ずその臓器を生む側も強化します。現在の水流を治すだけではなくて、上水流域も治すと言ったら意味が分かるでしょうか。
古代はレントゲン検査がなかったけど、肺結核を確認する時は、中府を押して圧痛があるかないかで判断しました。そして、中府はまた治療の要穴でもある。同時に治療と診断ができるツボです。
中医学は治療と診断、治療と免疫力強化を同時に行う療法。ニハイシャ先生は以下の症例で詳しく説明しました。どうぞご参考にして下さい。
咳、咳とともに血を吐く、呼吸困難などは肺結核だけの症状ではありません。肺がんでも肺炎でもインフルエンザでもありえる症状です。
鍼灸ではどう治すか?
上記にはたくさんのツボが書かれてありますよ。
任意のツボを選んでも、咳・呼吸困難などの症状に有効です。
鍼灸治療を信じる方は、ぜひ鍼を試して下さい。
◆ハンセン病:現代の鍼治療記録と『黄帝内経』に載せている治療方法
◆乳がんを始め、様々な癌治療で漢方薬の有効性を示す統計情報。手術・抗がん剤・放射線治療さえ受けてなければ、漢方薬で治せる見込みはある!
◆中医学は肺がんがいつ治り、いつ悪化するかも分かる。食道がんが良くなって、癌より痔を心配している女性。
◆肺がんの激しい痛みは治り、一日20回以上の下痢も今は2回の正常な大便になった
*1:陳応龍先生の簡単な紹介は、以下の記事をご覧ください。先天性梅毒の子供、12年も治らなかったのを足三里だけで治した鍼治療例