こんにちは。李哲です。
中国の鍼灸医:陳応龍先生*1の治療例を翻訳しました。
梅毒だと聞くと皆さんは恐ろしい病気を思い出して、抗生物質(抗菌薬)治療を考えるでしょう。
残念ながら、西洋医学の有効だと言われる薬は、すぐ薬剤耐性菌が生まれ、薬が効かなくなります。そして、西洋医学はまた更に強い薬を開発しないといけない窮地に陥る。
漢方薬と鍼灸は、解決策があるのか?
もちろんあります。
今日紹介するのは、一つの鍼灸症例。
もとの中国語リンクは、
先天性梅毒、足三里だけで治した鍼治療例
彭さん、12歳の男の子。
出身は広州省。
主訴:生まれてから右足裏の湧泉あたりに潰瘍(湿疹)があり、黄色い悪臭の汁がただれています。
西洋医学の診断名は「先天性梅毒」。
中医学ではこれを「先天性湧泉疽」だと言います。
彼は漢方の内服薬、塗り薬を使ってもダメ。梅毒薬「サルバルサン」を注射したり、性病を治す薬を使ってもダメでした。
この12年間、外国の○○病院で治療を続けたけど、まったく効果がありません。
彼は歩き始めてからかかとだけ地面について、足指・足裏はつかないように歩きました。
1955年、彼は中国に戻って治療をしました。
検査:来診時、彼は痩せ過ぎて骨しかなかったです。両目のまわりは黒。脈診では微細、強く押すと脈がない。舌は赤くて前半は舌苔がない、舌根部は黄腻。
診断:
先天性の元気不足。
胎児の湿熱が多くて、陰の毒が腎経に入り、下の湧泉に現れて今の病気になっている。
治療法:
「补土制水,扶阳抑阴」。
脾胃(土)を強化して腎臓(水)を制する。
治療過程:
足三里一つのみ選んで、強い刺激の手法を行いました。
先に36回の瀉法、あとで81回の補う手技を行い、置鍼はなかったです。
翌日、黄色い悪臭の汁は止まり、潰瘍したところは平らになって、足裏が地面についても大丈夫でした。
12年間の苦しみが鍼1本で治り、患者さんの親は嘆いてました。
「中国の鍼灸は、本当に素晴らしい!」
李哲の感想
過去記事で足三里の様々な効能を紹介しました。
しかし、今回の症例は私も衝撃を受けました。12年も治らない梅毒を一晩で治せるなんて。
やはり同じツボでも、鍼灸医によって治せるかどうかが決まりますね。さらに腕を磨かないとダメだと思いました。
風邪の治療でも話しましたが、鍼で風邪を治せないのは鍼灸医の問題です。鍼とは関係ありません。
36回の瀉法と81回の補法は、かなり刺激が強い手技です。意志が弱いと耐えられません。おそらく、患者さんは12年間も苦しんだから我慢ができたでしょう。12年も治らない梅毒が、一晩で治っておめでたいです。
西洋医学で、梅毒の原因は「梅毒トレポネーマという病原菌」だそうです。鍼治療で梅毒の諸症状が治るのは、菌を殺せることなのか?
西洋医学の洗脳教育が強いので、ここでは訂正しないといけません。
漢方薬と鍼灸で病気を治せるのは、ウィルス・菌を殺せるからではないです。体質を変えてウィルス・菌が育ちにくい環境にする。そして、生まれつきの免疫力を強化することで、すべての病気を治せるのです。
鍼が効く仕組み・原因は、過去の小論文で説明しました。
参考になると幸いです。
陳応龍先生の鍼灸治療例を見たら、面白いのがたくさんありました。例えば
- 指定難病の重症筋無力症
- 脳しんとうの後遺症:頭痛
- 小児麻痺
- 脳血栓の後遺症:半身不随
- … …
今後も面白い鍼灸例を翻訳する予定です。
自分の勉強にもなるし、ほかの鍼灸医にも役に立つ情報になるでしょう。
患者さんの皆さんにも、様々な病気は鍼灸で治せる事を知ってもらえると嬉しいです。
(終わり)
*1:陳応龍先生:1902-1993。福建省龍海県の出身、福建省夏門市中医病院の主任を担いました。治療の得意分野は、てんかん・失聴・失語・小児麻痺など。著書には『陳応龍鍼灸医案』『霊子術修練法』などがあります。