鍼でO脚が改善された症例をもとに、O脚・X脚の原因を経絡で分析する

こんにちは。李哲です。

 

中医学の考え方ですが、物事には必ず原因があります

原因不明で病気になるなんてありえない。(西洋医学には「原因不明の病」がたくさんありますね)

 

今日は特殊な例をあげます。

小さい時からO脚になった。

若い時はまっすぐだったのに、年をとった後O脚になった。

 

その原因は何なのか?

 

O脚を鍼で改善した例があったので、中医学の理論で説明したいと思います。

 

 

O脚が改善され、両膝がくっつくようになった女性

 

2019年11月に起きた事。

患者さんは70歳の女性。

3年前に彼女の治療例を書いたことがあります。

 

半年も治らない膝痛、ヘルニア腰痛が改善され、正座ができるようになり、4千歩から8千歩まで歩けるようになった。

 

最近彼女が言うのは、「以前は立った時、O脚で膝が開いていたけど、今は膝の内側がくっつくようになりました。

 

一つ説明があるけど、彼女はO脚を治すために鍼治療をしたのではない。膝が痛いから、ずっと鍼治療に通っただけです。

 

膝痛が改善されたついでにO脚も改善され、施術者の私も聞いて嬉しかったです。 

O脚とX脚は、経絡のバランスが崩れたのが原因。治す方法は弱っている経絡を強化すること

 

O脚は膝が外側に広がっている事です。

原因は、歩く姿勢の習慣など関連性はありますが、今日は中医学の観点から話します。

 

経絡の理論で言うと、内側の経絡が弱くて外側に引っ張られるから、O脚になる。

 

逆に言うと、外側の経絡が弱すぎると内側に引っ張られて、X脚になります。

 

膝がまっすぐになれるかどうかは、内側と外側のバランスです。

 

O脚とX脚は、経絡のバランスが崩れたのが原因

O脚とX脚は、経絡のバランスが崩れたのが原因

 

内側には脾臓と肝臓、腎臓の経絡があります。

中医学理論で、膝は「筋之府」

筋が集まる場所の意味です。

 

筋は肝臓が司る。

ちょうど、膝の内側には肝臓の経絡が通ります。筋は骨の形を固定する役割があるので、筋が弱いともちろん形が変わり、O脚・X脚になります。

 

膝は大きな関節で、骨の塊です。

骨は中医学の理論でいうと、腎臓が司る。

つまり、腎臓に問題がなければ、骨の変形もないはず。

 

西洋医学では生まれつきのO脚、X脚はカルシウム不足が原因だと言います。中医学でカルシウム不足は、「腎虚証」。

 

腎虚にはどんな症状が現れるのかは、以下の記事が参考になります。

 

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中医学で腎臓は「水」。

肝臓は「木」。

陰陽五行論では、「水生木」と言います。

腎臓が肝臓のパワーを生み出す。

なので、腎虚証だと自然に肝虚証にもなりやすいです。

 

年をとった後、膝が変形してO脚になるのも、肝臓と腎臓が大幅に機能低下したのが原因です。肝臓と腎臓がダメになったのは、西洋薬の普及に「感謝」しないといけない。すべての西洋薬は肝臓と腎臓にダメージを与えるから。 

 

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O脚、X脚を治せる一つの漢方薬と鍼治療

 

生まれつきで膝が立つのが遅い、歯が生えるのが遅い、O脚・X脚などは、みんな先天性の腎虚証。中医学では、小児の先天不足を治す有名な漢方薬があります。

 

六味地黄丸(ろくみじおうがん)。

何でもかんでも六味地黄丸だけで治ることではないので、誤解しないでください。患者さんの状況によって、ほかの漢方薬を追加するかも知れません。これは漢方医に診てもらったほうが良いです。

 

六味地黄丸の構成・どういう症状に効き目があるのかは、また他の記事で詳しく説明します。

 

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滋養強壮薬として有名な「六味地黄丸」

 

鍼灸ではどう治すのか?

 

原因が分かるので、治療方向は明確です。

膝の内側の経絡を強化して、外側と内側のバランスが取れれば、膝もまっすぐになります。

 

腎臓の経絡が弱かったら、復溜・大谿など。

肝経が弱かったら、曲泉・太衝など。

脾経が弱かったら、公孫・太白・地機など。

 

ただし、共通するツボがあります。

たとえば、膝周りの陰陵泉、陽陵泉、膝関、足三里など。このツボから選んで、さらに経絡を分析してほかのツボを追加する。数ヶ月~1年の時間をくれれば、結果が出ます。

 

定期的に通っている女性患者さんからもらった感想は、変形した指がだいぶまっすぐになったと喜んでいました。以下の治療例で書いた女性です。記事中には変形した指が戻ったとは書いてない、最近聞いたばかりです。

 

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漢方薬と鍼灸治療は、「持久戦」が必要

 

変形した骨、関節を戻すのには時間がかかります。

ギックリ腰みたいに1~2回で治るものではない。

 

中医学には古い俗語があります。

「傷筋動骨一百天」→その意味は、骨折した時は回復に3ヶ月はかかる。

 

O脚、X脚は骨折ではなくて、長年の栄養不足からくる慢性的な虚証です。だから、治すためには足りない経絡・臓器を補う必要があって、経絡のつまりがあったら通すようにしないといけません。

 

回復力が強い10代、20代だったら、まだ数ヶ月で希望が見えるかも知れない。しかし、40代、60代になった時は回復が遅いです。

 

ちなみに、上記の女性は70歳。

膝の内側のツボを強化し始めたのは1年前です。つまり、変形した膝を戻すのに毎週1回の鍼治療で、1年以上かかりました。

 

1回で終わる西洋医学の手術と違って、鍼灸治療は内臓から治すので時間がかかります。しかし、結果的には手術より優れて、膝が治る以外に様々な不調も治るので、一石二鳥の効果があります。

 

長い間の鍼治療で体が悪くなるのではないか?と心配する方。

 

安心してください。

鍼灸は体に利点があるだけです。

がん細胞の成長を悪化させたり、不眠症・食欲不振にさせたりしない。

 

鍼灸でO脚、X脚が治らなくても、悪化させる事はありません。

鍼治療の結果は良くなるか、効果がないかだけ。

  

当院には8年も通った患者さんいて、様々な面で変化が出ました。以下がその一つ、白髪が減った感想があります。

 

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