厳格な血糖値管理で死亡リスク上昇、ACCORD試験で目標血糖値を引き上げて試験継続へ(2018/03/31修正)

こんにちは。李哲です。

日本語版のニュースの転載です。元のリンクは

http://plaza.rakuten.co.jp/risamine/diary/200802120000/

 

転載終了の後に書いてる言葉は、

リンク先の作者が書いたもの。

赤い文字のところは先生の評論です。

 

この文章を転載するのは、三高(高血糖値、高血圧、高コレストロール)中の血糖値は、厳しく管理する必要がないことを皆さんに知ってもらいたいからです。

 

最後に血糖値検査のウソに関しての文章もあります。

詳細は以下の文章をどうぞ。

翻訳文

米国国立衛生研究所(NIH)の傘下にある国立心肺血液研究所(NHLBI)は2月1日、心血管リスクが特に高い2型糖尿病患者を対象に北米で進行中の大規模無作為化試験ACCORDにおいて、血糖値管理の目標値をヘモグロビンA1c値6.0%未満に設定したグループで有意な死亡率上昇が見られたため、厳格な血糖値管理を中止したと発表した。

 

(分かりやすい言葉で言うと、血糖値を下げる薬を飲めば飲むほど死亡に近づく。)

 これまでの結果を分析したデータ安全性監視委員会からの勧告に基づく決定だ。厳格管理群の目標値を標準治療群と同じ7.0~7.9%に引き上げて、試験自体は計画通り2009年6月まで継続する予定。

 2型糖尿病患者の心血管死亡のリスクは、同様の人口統計学的特徴を持つ非糖尿病患者の2~4倍だ。患者には、非致死的な心筋梗塞や脳卒中のリスク上昇も見られる。

 これまでに行われた研究は、血糖値を健常人のレベルまで引き下げることにより、糖尿病患者の心血管イベントが減少する可能性を示唆していた。その真偽を確認する無作為化試験が必要となり、ACCORD(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)試験が設計された。

 ACCORD試験の目的は、心血管イベントリスクが特に高い2型糖尿病患者において、現在の推奨値よりさらに低い血糖値を目指す厳格な血糖値管理戦略が、心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中または心血管死)減少をもたらすかどうか調べることにあった。

 米国とカナダの77カ所で行われている試験は、平均10年の2型糖尿病歴をもち、心血管疾患の危険因子(高血圧、抗コレステロール値、肥満、喫煙など)を2つ以上持つ、または、心疾患の既往がある40~82歳(平均年齢62歳)の2型糖尿病患者を登録。ベースラインのA1c値の平均は8.2%だった。患者は標準治療(5123人)と厳格管理(5128人)に無作為に割り付けられた。それぞれ目標とするA1c値は、厳格管理群が6%未満、標準治療群は北米における目標値と同等から少し高めを目指し7.0~7.9%に設定。

 主要アウトカム評価指標は、初回の主要な心血管イベントで、特に非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死亡に焦点が当てられていた。

 厳格管理が中止された時点の追跡期間の平均は約4年だった。厳格管理群の全死因死亡は257人(1000人当たり年間14人)、標準治療群は203人(1000人当たり年間11人)。差は、被験者1000人当たり年間3人だった。

 

(あまり差がないというのは、この4年間飲んだ薬は無駄だったと言うこと。)


 これまでに行われた他の臨床試験では、このレベルの心血管ハイリスク患者の死亡率は今回よりさらに高かった。また、一般に特にハイリスクの患者の死亡リスクは1000人当たり年間50人といわれる。

 厳格管理群のA1cレベルの平均値は標準治療群より低く、約半数が6.4%未満を達成していた。一方、標準治療群では、約半数が7.5%未満になっていた。

 ロシグリタゾンの有害事象の件があったため、特定の薬剤とリスク上昇の間の関係について詳細な分析が行われたが、これまでのところ、有意な関係は見いだされていない。

 厳格管理群の多くは米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ている抗糖尿病薬の併用により目標を達成していた。この試験では、メトホルミン、チアゾリジン系薬剤(主にロシグリタゾン)、インスリン、スルホニルウレア、エクセナチド、アカルボースといった全てのクラスの糖尿病治療薬を被験者に投与してもよいことになっていた。

なお、ACCORD試験は、厳格管理または標準治療により血糖値の管理を行いながら、血中脂質プロファイルの改善(スタチンのみとスタチン+フィブラートを比較)、または、血圧管理(収縮期圧120mmHg未満と140mmHg未満を比較)が、心血管イベントに及ぼす影響も評価している。5128人の厳格血糖降下群と5123人の標準値両群がそれぞれ4分され、血圧の目標値120mmHg、140mmHg、スタチンのみ、スタチン+フィブラートに割り付けられていたが、今後は全員が標準治療による血糖値管理を受けながら、これまで通り血中脂質量と血圧の管理を受けることになる。

 今回の結果が、診断から間もない2型糖尿病患者や、心血管リスクが低い患者に当てはまるかどうかは不明だ。しかし、得られた結果は、様々な特性を持つ糖尿病患者それぞれが目標とすべき血糖値の判断に役立つ可能性がある。

 NHLBIの発表を受けて、米国糖尿病協会は迅速にリリースを発表、これまで通りA1c値は7.0%未満を目標とするよう呼び掛けた。実際に米国では、糖尿病患者の半数以上でA1c値は7%未満に管理されており、これにより得られる利益(合併症リスク低減など)は害を上回ることが示されていると述べている。

 日本糖尿病学会は、ヘモグロビンA1c値5.8%未満がコントロール優、5.8~6.5%未満がコントロール良、6.5~7.0未満を不十分、7.0~8.0未満を不良、8.0%以上を不可、としている。

ニハイシャ先生の評論:

米国糖尿病協会も慌てているようです。

血糖も厳格に管理しすぎると、コレステロールと同様に死亡率が上昇してしまいます。

 

血圧が高めの人には、血圧を標準に下げると、めまいや吐き気を訴えられることは日常経験しているとことです。

 

統計学的に定量化することはあくまでも一つの指標としてとらえるべきで、それをEBMをたてに金科玉条のごとく死守することは愚の骨頂でしょう。

 

EBMをまったく無視する人と同じですね。