ガス漏れ事故で高熱、嘔吐、昏睡、呼吸が苦しい患者ら60人を全員治した漢方薬症例
【※本記事は2019-07-10更新しました】
こんにちは。李哲です。
北京中医薬大学の教授:郝万山先生の治療例を翻訳しました。
有毒ガスで中毒した時、漢方ではどう治療したか?
前にも話したけど、漢方は3~4ヶ月も飲んで効き目が出るものではない。漢方の効き目はとても素早くて、特に緊急救命に優れています。
郝万山先生の「傷寒雑病論」物語シリーズ。時間があるとき、また翻訳するかも知れません。この翻訳文で、中医学に興味を持つ方が増えれば幸いです。
最初は簡単に、本文に出てる二人の先生を紹介します。
現代中医学領域で有名な学者.漢方医.教育家。
元北京中医薬大学の教授。近代中医学の業界で、有名な漢方医です。
名門の北京中医薬大学を卒業。現在は北京中医薬大学教授。博士課程を指導する先生。
- ガス漏れ事故に遭った患者たち、高熱、嘔吐、昏睡、呼吸が苦しい症状が現れた
- 中医学の先生を探しに来た西洋医学の先生たち
- 2つの処方箋で、ガス漏れ事故に遭った患者ら60人が全員治った
- 中医学は呪文で病気を治すのか?いいえ、患者の自覚症状で治す!
- おわりに
ガス漏れ事故に遭った患者たち、高熱、嘔吐、昏睡、呼吸が苦しい症状が現れた
1970年代、学校の先生たちは河北省のある小さな都市で、西洋医学の先生のために中医学講義をやってました。
ある日、その地区の化学工場で火災が起きて、同時にたくさんの有毒ガスが漏れ、消火に参加した60人くらいが中毒になりました。
この有毒ガスは、かなり強かったです。
呼吸道に入って、肺に水がたまって、粘膜が腫れている人もいれば、食道粘膜と胃粘膜が腫れている人もいました。
ひどい患者は高熱、昏睡、呼吸が苦しい、胸痛などの症状がありました。
当時の北京協和医院.天津の大きな医院.唐山地区医院の先生たちは、みんな工場に集まって緊急救命を始めました。
どんな毒物で中毒になったか、西洋医学の先生たちは知っていました。しかし、その時は特効薬がなかったです。だから、対症療法しかできませんでした。
呼吸が苦しい患者は、酸素を与える。
嘔吐でご飯が食べれない患者は、点滴をする。
2~3日治療しても、患者たちの高熱.呼吸が苦しい.胸が痛いのは改善できませんでした。
中医学の先生を探しに来た西洋医学の先生たち
西洋医学の先生たちの1人が、北京中医薬大学の先生がここで講義をやってることを聞いて、車で探しに来たのです。
一緒に工場へ向かっている途中、西洋医学の先生は話しました。「今度の工場失火で、○○毒ガスが出てます。」毒物の名前は長過ぎて、覚えられないくらい。
そして、「このような中毒。あなた達の中医学、歴史でなにか解毒法はありますか?」と聞かれました。
聞いたこともない毒ガスの名前で、私は慌ててました。どうしよう…しかし、隣の劉渡舟先生は何も言わないで、座っているだけでした。
工場現場に着いてみたら、患者たちはみんな簡易テントで寝てました。当時、この化学工場は機密現場だったので、患者たちは遠い病院には運べなかったです。
2つの処方箋で、ガス漏れ事故に遭った患者ら60人が全員治った
劉渡舟先生は私達を連れて、患者を何人か診たけどみんな同じ症状。そして、劉渡舟先生は私の耳元で小さな声で言いました。
「嘔而発熱者,小柴胡湯主之」。
「正在心下,按之則痛,小陥胸湯主之」。
(李哲 翻訳:嘔吐があって熱があるときは、小柴胡湯 を与える。
心臓の下、胃のあたりが押すとすごく痛いときは、小陥胸湯 を与える)
私はすぐ分かりました。
そして処方箋に書いたのは、柴胡2000g、黄芩1000g……
驚かないでください。
中毒した患者さんは60人ですよ。
だから、2000gの量は全然多くないです。
煮るための鍋は、工場で使っている大きな炊飯用の釜。
煮出した後、起きてる患者にはそのまま飲ませる。
昏睡状態の患者には、注射器で胃に注入。
そしたら、軽い症状の人はその日に嘔吐が止まり、高熱も下がりました。
私の印象に残ってるのは、
昏睡が一番ひどい患者、4日後に目が覚めました。
彼は火災中心部で活動したので、中毒が一番ひどかったわけです。
中医学は呪文で病気を治すのか?いいえ、患者の自覚症状で治す!
60人の患者を簡単に救ったあと、西洋医学の先生は私に質問がありました。
「中医学は呪文で病気を治すのですか?」
その先生の意地悪、私はすぐ察知しました。
「なんの意味ですか?」
西洋医学の先生は、「その日、劉先生があなたの耳元で何か読んだでしょう?読んだ後、何も相談しないですぐ処方箋を書いて。劉先生は一体なんの呪文を言ったのですか?」
お~~
私は彼に教えてあげました。
「劉先生が読んだのは、『傷寒雑病論』の条文です」
彼「もう1回読んでもいいですか?」
私「OK。
嘔而发热者,小柴胡湯主之。
正在心下,按之則痛,小陥胸湯主之」
処方まで書いてあげたら、彼の両目が点になりました。
「この2つの処方で、ひどいガス中毒が治りますか?!」
「中医学は症状によって処方するから、ガス中毒かどうかは気にしません!」と私は教えてあげました。
おわりに
この事件は何年も経っているけど、火災中心部で倒れた中毒が一番ひどくて、昏睡時間が一番長かった若者。
彼は毎年の旧正月、北京に来て劉先生に挨拶をしてました。
劉渡舟先生は命の恩人、二人目の親だと言って。