鍼の響きと経絡の流れ:中国鍼の得気したあとに起きた面白い「経絡伝達現象」

【※本記事は2019-06-22更新しました】

 

こんにちは。李哲です。
今日は施術中に起きた、中国鍼の響きに関する面白い感想文を紹介します。

中脘穴は経絡に沿って肩まで響く

ある女性。

中脘を刺して少し回したら、「左の鎖骨と首肩の方まで来ている。ちょうど肩こりに良さそう!」と言ってました。


足陽明胃経は鎖骨の上(肩の前方)に缺盆穴があります。


中脘は六腑の募穴で、胃腸とも関係が強い。

だから、肩につながったでしょう。

陰陵泉が足の小指まで響くのは謎…

 

ある女性。

陰陵泉穴を刺して少し回したら、「足の小指まで響きます」と言ってました。


陰陵泉穴は足太陰脾経の合穴で、足太陰脾経は親指を通ります。

なぜ足の小指まで響くかは、私にはちょっと分からないですね…

復溜(ふくりゅう)は、経絡に沿って腰まで響く

 

復溜に刺して少し回したら、「腰まで響く!」と言う人が少なくありません。


腰は腎臓が管理している。

復溜穴は腎経の母穴で、腎を養う作用があります。だから、腰まで響きがあったでしょう。

 

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足三里は、足の甲まで強烈に響く

 

足三里穴は鍼を回すと、「足の甲まで響く」とよく言われます。

特に前脛骨筋のところは、すごく響く(自分に刺した感覚です)。

 

足三里穴は胃経のツボで、胃経は足の甲を通って趾の2番めと3番目の間を通ります。

だから、足三里穴の響きが足の甲まで伝わったでしょう。

腎兪は下半身に渡って響く

 

「腰からお尻、ふともも、ふくらはぎを越えて、足首の付根までジンジンする」と言われました。


腎兪は膀胱経のツボで、膀胱経は頭から足までつながっているとても長い経絡です。

だから、腎兪の刺激で足までジンジンしたでしょう。

 

得気(とっき)したあと、響き渡るのは良いけど、誰でも現れるとは限らない


中国語ではこれを『経絡感伝現象』(経絡伝達現象)と言います。

この現象は、経絡の存在を証明する一つの証拠です。


響きがどこまで伝わるのは、その人の生まれつき体質と現在の体力の強さによります。


生まれつきで、経絡に敏感な人ほど遠くまで響きが伝わる。

体力があるほど、鍼の響きは海の波みたいに遠くまで伝わりやすいです。

 

経絡が鈍い人、体力がない人は、中国鍼を刺しても反応が微妙ですね…


だから、臨床では誰でもこのような反応が出るとは限らない。


治療効果から見ると、響きが強くなくても効果はちゃんと出るので、わざわざ強い響きを求める必要もないですね。