【※本記事は2020-02-08更新しました】
こんにちは。李哲です。
アメリカでの中医師:鄭智城先生*1の治療例を翻訳しました。
中国語本文のリンク先は、
(2012-2-20発表)
風邪の痰が切れないのを治し、坐骨神経痛も同時に解決して9ヶ月も調子良かった
今日来た黒人の中年女性、トリニダード・トバゴ人で、背が低くて太っています。
どこかで見た覚えがあるけど、思い出せない。話で聞いたら、彼女は9ヶ月前に来たことがあったのです。
9ヶ月前に来た時、彼女の症状は風邪を引いたあと、痰が切れない。
西洋医学は薬を出したけど、彼女は西洋薬を飲みたくなくて治療に来ました。
脈診では弱。
舌診では舌が太って白、乾いている。
他には特に症状がない。
眼診の時に「腎虚証」が見えました。
瞳孔は小さくてぼやけている。
「腰痛はありますか?」
彼女は頷いてました。
「あります。しかも、痛みが下までつながっています。」
これは坐骨神経痛ですね。
以前は腰痛、坐骨神経痛で歩けなくて、治療に来た薬剤師もいました。数日で治った薬剤師の例は、以下の記事をご覧ください。
症状が多くないのは、一つの事を証明しています。
彼女の身体は弱っている、もしくは「少陰体質」だと言えます。
身体が弱い人は亜健康状態にいても、特別な症状はないです。
ただし、全体的に機能不足、疲れやすい症状として現れます。
身体が良い人も特別な症状はありません。
でも、身体が良い人たちは見た目が違います。
弱っている人は、活気がありません。
だから、私は麻黄附子細辛湯を選びました。
痰も配慮して、痰を取り除く生薬も入れました。
半夏、陳皮、蘇子、茯苓、萆薢(ひかい)。
萆薢(ひかい)はめったに使わないけど、ここでは腎虚証からくる腰痛のために入れました。萆薢(ひかい)を使わなかったら、杜仲・続断・枸杞の実などで代用できます。
以上が9ヶ月前の彼女のカルテ記録。
私は彼女に聞きました。
「前回の漢方薬を飲んで、どんな感じですか?」
彼女:「良くなりましたよ。坐骨神経痛まで治りました。」
6日分の漢方薬で9ヶ月も効く。
漢方薬はコスパ抜群ですね。
麻黄附子細辛湯は、もともと腰痛を治す作用があります。
その上に痰を取り除く生薬と、腎虚証を補う萆薢(ひかい)を入れて、補うのもあるし老廃物を出すのもあるから、効果が長く続いたでしょう。
李哲の解釈
鄭先生は、「麻黄附子細辛湯」が好きみたいですね。
以下の記事でも、麻黄附子細辛湯+萆薢(ひかい)で天気が悪くなったとき、全身の関節が痛くなる患者さんを治しました。
麻黄附子細辛湯の応用例は、もう一つあるので、どうぞご参考に。
ニハイシャ先生の治療日記、倦怠感がひどい患者さんを一発で治した例です。
坐骨神経痛は、鍼治療でも簡単に治せますね。
人によってかかる回数は違うけど、ほとんど2~3回で治療が終わります。
鍼を刺して1分後には、坐骨神経痛が緩和したかどうかが分かる。
風邪を引いたあとに痰の音がするのは、まだ肺に痰が残っていることなので、膻中・天突・豊隆などのツボで対策ができます。
以下は私が治療した中で、ちょっと不思議な例。
「鍼を刺した瞬間に、痰が消えた」と患者さんが言ってました。
重い病気の治療はもちろん、特に症状がない時でも、漢方薬と鍼灸はメンテナンスもできるし、些細な自覚症状を改善することもできます。
もっとも優れているのは、中医学の先生は1人ですべての不調を診るので、患者さんはたらい回しにされない。
一人の中医学の先生は、一つの総合病院と同じ存在です。
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。