附子、天雄、烏頭の違いと効能説明。トリカブトは解毒剤があるけど、猛毒の抗がん剤は?!

【※本記事は2020-04-09更新しました】

 

附子(トリカブト)の知識が間違っている現代人

 

こんにちは。李哲です。 

トリカブトに関して、間違っている知識を持っている方が多いので、今日はトリカブトの知識を皆さんに伝えます。

 

 

みなさんが怖がっている、「トリカブト」(附子)。

10何年前に殺人事件に使われたから、使用が制限されたらしいです。

 

トリカブトの成分:アコニチンは猛毒で、そのままたくさん摂取した時は心臓マヒで死にます。これは確かなこと。

 

しかし、漢方薬はそのまま食べるのではありません。

漢方薬は水を入れて60分~90分煎じるのです。

アコニチンは1時間以上煮詰めることで、毒性がほとんどなくなります。

 

古代からトリカブト(附子)をそのまま食べる漢方薬はありません。みんな煎じるか、もしくは特別な加工をしてから使います。そのままかじると死ぬのを知っているから。

 

トリカブトに対して、少しイメージがついたでしょうか?

以下、トリカブトの薬用効能と毒性レベルを説明していきます。トリカブトに対する盲目な恐怖心がなくなると嬉しいです。

 

トリカブトの紫色の花

トリカブトの紫色の花

附子(トリカブト)は3種類ある

 

生薬で使うトリカブトは、3種類あります。

以下は古文の引用。

 附子、乌头、天雄一物也,春秋冬夏采之各异。

 出典先:『博物志

 ▼直訳します。

附子、烏頭、天雄は、みんな同じ植物で生まれたもの。春夏秋冬に収穫することで名前が違う。

 

奚毒,附子也。一岁为侧子,二年为乌喙,三年为附子,四年为乌頭,五年为天雄。

出典先:『廣雅

▼直訳します。

(前は省略)3年生は附子、4年生は烏頭、5年生は天雄。収穫する年数によって、名前が違います。

 

ちなみに、3種類とも『神農本草経 - Wikipedia』でいう下品に属しています。

 

下品の生薬なので、病気治療以外に使ってはいけません!病気がない人に飲ませると、危険な生薬です。(唯一、加工したトリカブトと天雄は別話)

 

生薬の上品、中品、下品に関する情報は、以下の記事をご覧ください。

 

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附子(トリカブト)は毒性があるけど、緊急救命のときは良薬

 

附子は毒性があると言われるけど、3種類もあるので毒性はバラバラです。みんな劇毒だと思うのは間違い。

毒性レベル★:天雄(てんゆう)

 

これは、さほど毒性がありません。

滋養強壮に使われるときが多いです。

 

下品に属していますが、ほかの生薬で毒性が和らぐので、ほぼ無視できます。

もっとも有名なのは、金匱要略』に書いている「天雄散」はed・インポテンツを治す処方箋。

毒性レベル★★★:「附子」(トリカブト)

 

附子の中には、また2種類あります。

  1. 生のトリカブト、別名は「生附子」
  2. 加工したトリカブト、別名は「炮附子」

附子(トリカブト)の効能は、古文を引用します。

 

风寒咳逆邪气,温中,寒湿痿躄,拘挛膝痛,不能行步,破癥坚积聚血瘕,金疮

出典先:『神農本草経 - Wikipedia

▼直訳します。

●風寒にあたって起きた咳を治す

●体内を温める

●寒気と湿気を追い出す

●筋肉の萎縮、けいれん

●膝の痛みで歩けない

●体内のデキモノ(筋腫、腫瘍、癌)を溶かす

●槍、刀のケガを治す

①加工したトリカブト(炮附子とも呼ぶ)

 

炮附子は毒性がゼロに近くて、たくさん飲んでもかまわない。私は自分で25gを飲んだことあります。以下がその治療例、参考になると幸いです。

 

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中国の漢方医:李可先生*1は、炮附子を200~300gも使って、瀕死の患者さんを救ってきました。

 

加工したトリカブトを応用した治療例は、以下の記事を参考にしてください。

 

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②生のトリカブト(生附子)

 

生のトリカブトは毒性が強いので、使う時は量のコントロールが必要。炮附子みたいに、200gも使ったら人が死にます。

 

しかし、瀕死状態になった患者さんを救う時は、生のトリカブトが必要です。トリカブトに入っている有毒物質が、ちょうど心臓を刺激して、心肺停止になりそうな患者さんを救えるのです。

 

有名なのは『傷寒雑病論』の「四逆湯」(しぎゃくとう)。漢方薬の臨床治療例としては、ニハイシャ先生の治療記事をご覧ください。

 

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毒性レベル★★★★★:烏頭(うず)

 

これは毒性が非常に強いから、特別に加工して使う必要がある。

一般的に使われているトリカブトと同じ植物から採れますが、毒性のレベルは雲泥の差です。

 

加工しないで飲んだら、短時間で死亡!

 

また、加工した鳥頭でも、厳密に飲む量があり、勝手に多めに飲むと中毒する危険性があります。

 

烏頭は重病・難病を治すか、もしくは患者さんを殺すか。

諸刃の剣です。

 

以下はニハイシャ先生の治療記事、鳥頭を使った内容です。

加工して使えば、不治だと言われるリウマチも治せて、患者さんの変形した関節まできれいな指に戻ります。

 

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どんな劇毒の生薬でも解毒剤がある。抗がん剤はあるのか?

 

日本の殺人事件に使われたのは、恐らく3つ目の「烏頭」もしくは生のトリカブトでしょう。天雄・過去したトリカブトだったら、逆に朝たちが強くなり、元気ピンピンになります。

 

大昔から漢方医は、自然の中に存在する毒物の解毒法を知っていました。

トリカブトも同じ、毒を中和する生薬があります。

 

李時珍・『本草綱目(ほんそうこうもく)』の記載によると、トリカブトの毒を分解できるのは、子供の尿・緑豆があります。ほかにも解毒剤があるけど、省略します。

 

自然を見れば分かります。

ねずみを食べる蛇がいれば、蛇を食べる動物がまたいる。

 

一番強いものはありません。

強いものに勝つものが必ずいます。

 

昔の漢方医は、万が一トリカブトの中毒になって苦しくなったら、またすぐ解毒剤になる生薬を与えました。

 

しかし、人工的に作られた猛毒の抗がん剤は?

抗癌剤の副作用に耐えられなくて、「抗がん剤の毒を中和してくれ!」と言っても西洋医学はできますか?

 

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抗がん剤は猛毒ではないと言う人、あなた自分で受けて見てください。体調が変わらない・もしくは良くなるんだったら、私も抗がん剤をバンバン打ちたいです。

 

もっとも普及してる猛毒の抗がん剤、その副作用に殺された患者さんは報道しないで、漢方薬のあら捜しをして煽り、本当の生薬の知識を葬る。

 

こんな世の中で、正しい漢方薬知識を持つのは難しいですね。

 

*1:李可先生の紹介は、私が尊敬してる中国の李可中医師(おじいちゃん)をご覧ください。