B型肝炎、糖尿病、慢性結腸炎を同じ漢方薬で治す
B型肝炎、糖尿病、慢性結腸炎。全然違う病名なのに、なぜ同じ漢方薬で治しているのか?翻訳文を見れば分かると思います。
こんにちは。李哲です。
今日は中国・郝万山先生*1の講義中の物語を翻訳しました。
中国語本文のリンク先は、
翻訳文
私の先生は生前の時、半日で60~70人の患者さんを診察してました。
どうやって70人も診れるのか?
先生は経験が豊富なので、あまり病名と弁証もしないで症状を見るだけでした。これは経験があるからできるもの。
私が覚えているのは、先生の隣には3人の弟子がいて、先生が話した処方を紙に書いてました。
一人の患者さんが来て言うのは、「先生、私はB型肝炎です」
そして、先生は質問しました。
「喉は渇きますか?」
「渇きます」
「大便はどうですか?」
「よく下痢します。食べ物が合わないとすぐ下痢になります」
「肝臓のあたりは痛いですか?」
「たまに痛くなります」
先生はすぐ指示しました。
なぜ柴胡桂枝乾姜湯なのか。
適応症は肝臓と胆嚢の熱証、脾臓の陽気と津液が足りない。
口は渇く。
下痢。
これは脾臓の陽気が足りない証拠。
それ以外に肝臓と胆嚢に湿熱があるのを把握し、OK!すぐ柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)が出ました。
見てください。
この対話は1分も要らないでしょう?
だから半日で70人も診察できるのです。
二人目の患者さん。
「先生、私は20年前から慢性結腸炎です」
ベロを見せてもらったら、とても乾いている。
そして、先生は質問しました。
「口は乾きますか?」
「渇きます」
「よく下痢しますか?」
「します、します」
脈診したら、沈弦。
「気分が晴れないですか?」
「そうです。よく暗くなります」
これで肝気鬱結が分かりますね。
3人目の患者さんが隣ですぐ言いました。
「先生、私は糖尿病です」
「口は渇きますか?」
「渇きます」
「便通はどうですか?」
「ちょっと冷たいものを食べると下痢します」
これは脾臓の陽気が足りない証拠。
「気分はどうですか?」
「楽しくないです。糖尿病は死ぬまで薬を飲まないといけないと言われたので、楽しくなるわけがないですよ!」
【 ⇧ 柴胡の画像 】
なぜかと?
3つの主な症状が全部揃っているからです。
口が渇く、下痢、肝気鬱結(うつ)。
先生はこのように症状だけ見るときもあるし、病気の原因を探って処方する時もあります。
治療効果が良くて、診察のスピードがめちゃくちゃ早い。
李哲の感想
この前、B型肝炎は中医学で治せると書いてあります。
今日の翻訳文を見て、B型肝炎を治せる事が分かったでしょうか?
B型肝炎、糖尿病、慢性結腸炎。
まったく違う病気なのに、同じ処方箋を出すなんて、西洋医学では考えられない。
しかし、中医学ではよくある話です。
中医学は自覚症状を大事にしているので、違う病気でも同じ症状が出たら、処方箋は同じ。同じ病気でも症状が違ったら、処方箋も別物になります。
中医学では簡単に、『同病異治、異病同治』と言います。
鍼灸でも似ているのがあります。
たとえば心臓の脈が弱い時、あなたが心臓病であろうと不眠症であろうと、呼吸困難であろうと生理痛であろうと、みんな内関を刺す。結果的にはみんな良くなります。
それでは、中医学の理論は正しいのか?
これは結果を見れば分かるでしょう。
患者さんの辛い症状がなくなれば、良くなっていること。これに対して、患者さんも納得するはず。
患者さんが治したいのはつらい症状で、病名ではないから。
中医学の問診はピンポイントを掴んでいるので、長々の問診はしません。経験があればあるほど数語で終わります。
ちなみに、当院で使っている10個の問診表(2018-02-16更新)は、倪海厦(ニハイシャ)先生から教わったもの。
今年の3月、台湾に行ったとき、ニハイシャ先生の生前の話を聞いたら、診察と処方箋を出すのに3分もかからない。ほかの時間は、ほとんど患者さんとオシャベリ。不安の気持ちを慰める時間が多かったそうです。
ニハイシャ先生の講義DVDを見て、笑ったのがありました。
ニハイシャ先生の会計士が診察室に入った時、声が出なくて「う~う~う~」と手振り身振りしたら、ニハイシャ先生は「もう分かったよ。次の患者さんどうぞ!」と冗談を言いました。
会計士はビックリして、「部屋に入ったばかりで何も話してないのに、なんで分かるんですか?」
ニハイシャ先生は、会計士の体質を誰よりも分かるからです。
声が出ないのを見ただけで、病気の原因と処方箋が分かって、一瞬で診察が終わり。診察には3秒もかかってない。
一般人からすると、「あり得ない!」「中医学は迷信的なものが多い!」と思われるでしょう。これは貴方が中医学に対して、知らない内容が多いからです。
最先端技術の機械がない状況で、中医学はどう診断するのか?
中医学には大昔から、もっとも簡単でミスしない(機械だと必ず誤診、誤差が出る)、そして体を傷つけない検査方法があります。
患者さんの声、におい、顔色、顔の形、手足の形、手足の色、体型、皮膚と髪の色、皮膚の弾力、毛穴の大きさ、骨の長さと太さ、脈拍、ベロの色と形、眼輪、耳の反射区を押して見る、体のツボを押して見る…全部診断につながる。
シャーロック・ホームズみたいに、たくさんの細かい手がかりを分析して、一つしかない真相を探します。
あらゆる体の外部情報を読み取って、体内の運転状況を測るのが中医学。
私はまだニハイシャ先生みたいに、患者さんの顔を見ただけで分かるレベルではないです。そうなるように目指してはいますけど。
西洋医学の診察も、「待ち時間2時間、診察5分」だそうですね。中医学の診察と同じように短い。
西洋医学の治療結果は。。。
おそらく検査数値が良くなるかも知れない。
しかし、患者さんのつらい自覚症状は、どうすれば良いですか?
私は薬局勤務の人から話を聞きました。
ただの湿疹、皮膚炎で何年も病院に通っている患者さんが多い。そして、「ずっと治らないんだよ!」と薬局の人に文句を言うそうです。
ただの湿疹が何年も治らない?
まあ、それはそうでしょう。
間違った医学に診てもらっているから、もちろん何年経って治りません。
「病名」を治したいなら、西洋医学を選んで。
つらい自覚症状を治したいなら、中医学を探してください!
*1:郝万山先生(1944年11月出生)。名門の北京中医薬大学を卒業。現在は北京中医薬大学教授。博士課程を指導する先生。