【※本記事は2020-08-20更新しました】
こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師：鄭智城先生*1の記事を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、壮阳药乎？麻黄附子细辛汤应用几例（二）_郑智城
（2012-06-01 05:32発表）
性機能は強化されてないけど、全身の痛みが1日で治った男性
スペイン人男性一人が治療に来ました。
この男性は背が高くて、ガッチリしています。
外見がすごくでかくても、私から見ると見た目だけ強い。脈診、舌診、眼診をすれば、弱っている内臓がすぐ分かります。
彼は完全に虚証でした。
- 顔にはハキがない。
- 話が少なくて沈黙。
- 脈は弱い。
最初は「黄耆桂枝五物湯」を使って、効果は非常に良かったです。だから再診察に来ています。
▼李哲の説明：黄耆桂枝五物湯で顔面麻痺を治した例もあります。以下の記事、どうぞご参考に。
最近は黄煌先生*2の記事で、麻黄附子細辛湯（まおうぶしさいしんとう）は性機能強化の作用があることを知りました。
性機能を強化、これを断る人はいないでしょう。
だから、彼にも１日分を処方しました。
ほかには鎖陽などを追加して、小さな袋に入っている。
翌日に彼の奥さんから、質問の電話がかかってきました。
「あと２～３日分ほしいですが、ありますか？」
「もちろんできます。」
そして、時間とおりにご主人が取りに来ました。
私は喜んで彼に聞きました。
「性機能が強化された感じがしますか？」
「ないですよ。でも、この漢方薬を飲んでから、全身の痛みが消えました。以前はアチコチ痛かったけど。」
彼の英語は良くないので、手振り身振りで話したからだいたい分かったのです。
彼はタクシー運転手で、若い時は力仕事もして、全身の痛みがあるそうです。
最初、彼に処方した「黄耆桂枝五物湯」は、体力を強化する処方で鎮痛は二の次。今度の「麻黄附子細辛湯」は、鎮痛が最優先の目的ですね。
▼李哲の説明：「黄耆桂枝五物湯」は下肢静脈瘤と血尿にも効果的です。以下の記事、参考になると幸いです。
漢方薬1日分で生理痛が治り、血の塊も出なくなって、アレルギー性鼻炎が改善した
一人、ウォールストリートの有名な会社で働いている中国人女性。最初に治療に来たのは、咳のためでした。
彼女の状況を聞いて、腎臓が弱いのが分かりました。処方したのは半夏、陳皮、茯苓、芍薬、杏仁、五味子、首烏、竜骨、牡蛎。
飲んですぐ効果が分かり、睡眠が良くなったので、持続的に治療に来ています。最近、彼女が言うのは「アレルギー性鼻炎がひどくて、毎晩寝る時に鼻が詰まって大変です。」
そして、私は麻黄附子細辛湯を処方しました。ほかには鎖陽と萆薢を追加。３日分。
ほかに出したのは生理を良くする漢方薬。
数週間後に来たとき、彼女は教えてくれました。
「このアレルギーを治す漢方薬はすごいですね！
１日飲んだだけで効果が出ました。今回の生理も非常に順調で痛みもないし、血の塊も出ない。とても満足しています！」
▼李哲の説明：「麻黄附子細辛湯」は生理痛・アレルギー性鼻炎に有効だけではなくて、ほかの症状にも効果的です。以下の記事、参考になると幸いです。
李哲の解釈と感想
漢方薬に対して、一つ間違いやすい考え方があります。
胃がんだと診断されたけど、なんの漢方薬飲めばいい？
腎不全で人工透析をしているけど、なんの漢方薬飲めばいい？
… …
中医学の先生のこのような質問するのは、探している相手を間違っています。中医学は病名で決めるのではなく、その患者さんの自覚症状でオーダーメイドします。
病名は西洋医学のもの。
西洋医学の病名で漢方薬を決めるのは、大間違い。
だから、麻黄附子細辛湯が生殖機能を強化する処方だと、勘違いしてはいけない。本当のことは、「患者さんの症状に合うから、ついでに性機能も強化された」だけです。
生理痛は足つぼ整体、もしくは鍼で簡単に治ります。バファリンなど、ずっと飲む必要がありません。過去記事があるので、どうぞご参考に。
鼻詰まりに関しては、鍼治療の即効性は目に見えるもの。ほぼ1回で鼻が通ります。過去記事があるので、参考になると幸いです。
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医（海外） をご覧ください。
*2:黄煌先生は南京中医薬大学の教授で、『傷寒雑病論』の処方をよく使う先生らしいです。この先生の著作は読んだことないので、具体的には分かりませんが、中国では有名みたいです。
