こんにちは。李哲です。
今日は中国・郝万山先生*1の漢方治療例を翻訳しました。
中国語本文のリンク先は、
翻訳文
ある年、江西省にある炭鉱地域でインフルエンザが非常に流行って、半分以上の労働者が仕事できなくなりました。
江西中医学大学の卒業生二人がその地域にいて、最初は西洋薬を使ったけど効果がなし。その後は銀翹散、桑菊飲を処方したら逆にひどくなり、まったく効果がなかったです。
そして、この2人は思いました。
「あいや!どう見ても麻黄湯の症状っぽいですね。悪寒、発熱、全身が痛い、鼻水が垂れる。しかしここは南の方だし、麻黄湯を使って大丈夫かな?」
2人とも大学に通ったとき、学校の先生が麻黄湯を使うのを見たことがないから。
2人のうち一人が麻黄湯を処方したけど、他の人に飲ませるのは躊躇してました。ちょうど自分の奥さんも発熱しているから、奥さんに飲ませてみようとしたのです。万が一何があっても…
その時に処方したのは、
麻黄10g、桂枝10g、甘草5g、杏仁9g。
【 ↑↑↑ 麻黄(まおう)の画像 】
予想外に奥さんは1日目の漢方薬を飲んで、汗が出て熱が下がり全身の痛みが消え、彼はとても喜んでました。
炭鉱地域のインフルエンザは非常に多かったので、全部麻黄湯を飲ませました。
二人は診察室で大量に漢方薬を煎じて、一人1瓶ずつ渡し。そして、インフルエンザはすぐ消えました。
この二人の学生さんは、観察報告を江西中医学病院に送ったけど、ちょうど文化大革命の時期で雑誌は全部停止している状態。幸いに、大学の内部雑誌には載せてました。
李哲の感想
この処方箋、正統派の漢方医は使いません。風邪を治せないから。
上記の二人の先生は、勇気がある方ですね。
自分の奥さんに「テスト」するなんて(笑)
漢方薬は間違って飲んでも大した害はないです。万が一、悪くなっても補う処方箋がまたあるから。
ところで、抗がん剤・鎮痛剤・抗うつ薬などを、自分の奥さんにテストする先生はいますか?感想を聞きたいです。
私は自分で「テスト」しますけど。
上記の翻訳文を見て、「インフルエンザ=麻黄湯」だと勘違いしないでください。インフルエンザは西洋医学の病名で、中医学の病名ではありません。
どんなインフルエンザ・風邪にでも麻黄湯を使うと、逆に悪化するケースもあるので要注意。
麻黄湯は厳密な使用基準があります。
簡単に言うと汗が出ない、全身の関節痛などの症状がある。
漢方薬では風邪・インフルエンザを治すとき、最低でも6種類の処方箋があります。
この6つの処方箋をもとに、さらにアレンジして作られるので、何でもかんでも麻黄湯ではない。
西洋医学はすべてのインフルエンザにタミフル、ゾフルーザなどを処方します。治るかどうかは後にして、そのひどい副作用はどう補いますか?
「最新薬は効く!」と勘違いする人もいるけど、最新薬は把握されてない副作用があって、危険物だと言っても過言ではない。
最新薬を飲むのは、あなたが彼らの「最新の実験体」になることです。
万人に同じ薬を出す西洋医学。
一人ひとりオーダーメイドしている漢方薬と比べたら、月とスッポンです。
インフルエンザ・風邪を漢方薬で治した方は、以下の記事が参考になります。
以前、上海に住んでいる妹の子供が風邪が治らなくて、「漢方薬を教えて!」と頼まれました。妹がメモを持って漢方薬局に買いに行ったら、薬局の先生が言うのは「麻黄が10g?!ダメだよ!危ないから量を減らすね!」と勝手に減らしたそうです。
結局、妹の子供は麻黄の量が足りなくて、飲んだ後に汗が出なくて風邪も治らないまま。煎じ薬が無効な苦い汁だけになりました。
こういう善意だけどバカな中医師がいるから、漢方薬は効かないという人が多いわけ。
麻黄、桂枝などを10g以上使わないと、一晩で風邪を治すのは無理です。
周りに良い漢方医がいなかったら、鍼治療に来てください。
遠くて来れなかったら、自宅で濃い黒糖生姜湯を飲んで、厚着をして汗をかかせば治ります。
病院の薬は絶対に飲まないで。
風邪のウィルスを治せる西洋薬は、一つもありません。
*1:郝万山先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。