貨幣状湿疹の鍼治療例(上)

【※本記事は2021-06-26更新しました】

 

こんにちは。李哲です。

貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)を治した鍼治療例、3回に分けて書きました。鍼灸は皮膚病にとても有効なので、湿疹で悩んでいる方の役に立つ情報になると嬉しいです。

小さい時に治ったそうに見えるけど、実際には治ってない貨幣状湿疹

先に患者さんの簡単な紹介をします。

 

女性。40代。足つぼ整体のお店のときから来てましたが、鍼灸院になってからは、皮膚病のために鍼治療を続けていました。

 

彼女は小さい時に皮膚のトラブルがあって、ステロイドで治したそうです。使ったのは子供の時だけで、脱ステしてからだいぶ年数は経っている。最近またあちこちに湿疹が出始めました。

 

ステロイド剤をたくさん使って、完治したように見えますが、本当は治っていません。薬でふたをして、症状が出ないように抑え込んだだけ。免疫力が弱くなった時は中から爆発して現れるのです。

 

今回は蓋を閉めた所から爆発したので、そうとう手を焼きました。彼女の治療は、もとの皮膚を治すと言うより、化学薬品の毒素との戦い。

 

鍼治療は2ヶ月ほどかかりましたが、状況が良くなったので記事にすることにしました。画像撮影など協力して頂いた彼女に感謝します。

 

慢性的な皮膚病は、一般的に3ヶ月を目安にしたほうが良いです。焦っても内臓は急激に変わるものではないので。例えば繰り返す蕁麻疹(じんましん)。治すのには時間がかかります。

 

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両腕に楕円形の湿疹ができて、浸出液が溢れている

以下は施術記録。

2018-6-8

今日は初めての鍼ではない。

以前から2週間~1ヶ月に1回きました。

 

今回来た理由は、貨幣状湿疹が大量に発作。

「しっかり治すために、週2回くらい詰めて来たい」と彼女は言ってました。

 

貨幣状湿疹が起きたきっかけを聞いたら、家の引っ越しでゴムの手袋を肘まで装着して作業したら手が蒸れたのか、肘下まで赤かゆい湿疹が発生したのです。

 

発生した部位は、主に右前腕と右合谷穴あたり。右前腕のは広い範囲で大きな楕円形の湿疹ができて、中から滲出液が出ていました。

 

以前、足に出た楕円形の湿疹は、少しだけ再発しそうな気配があるけど、今のところは大丈夫。

 

唇の上は、まだ赤く腫れている。

目のかゆみは、以前の鍼でだいぶ楽になったけど、少しだけ気になる。

 

今日鍼したのは合谷、二間、曲池、三陰交、血海、築賓、内関、内廷、足三里、地倉、関元、中脘、巨闕、天枢。委中では刺絡。

 

目がかゆい症状は、比較的に治しやすいです。太衝穴一つだけで十分。以下は一つの例、参考にしてください。

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湿疹と浸出液が出る所は、昔ステロイド剤をよく塗ったところ

皮膚の事に関して、彼女は昔のことを教えてくれました。

「小さい時から皮膚のトラブルがあって、病院の診断では貨幣状(かへいじょう)湿疹。毎年秋冬の頃から発作し、円型の湿疹が伝染されたように徐々に広がり、翌年の夏になると治ってきました。

 

当時は唇の周りにも湿疹ができて、ステロイド剤をよく塗ったのを覚えています。今赤痒くて腫れている唇の上が、ちょうど昔ステロイド剤をよく使った部位です

 

私は彼女に説明しました。

「昔ステロイドを塗ったところに毒素が潜んでいたから、今はその所から出ています。解毒を進めば、徐々に良くなるはずです。」

 

ここで分かりますが、ステロイドを塗ったところは、大人になってから再発する可能性がある。しかも、塗ったところに再発。

 

ほかの漢方医の治療例を見ると、ステロイド剤はひどいうつ病も引き落とします。湿疹・発疹は治せない。自殺に追い込む副作用まである。よくこんな薬が堂々と販売されていますね。

 

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鍼してから湿疹患部からの浸出液が減り、唇の腫れは引いた

2018-6-12 

彼女の報告:

前回漢方薬を煎じて皮膚に塗ってみたけど、逆に痒みが増えて止めた。家にある菊のアロマ精油を塗ってみたら痒みが楽。

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菊花:皮膚の炎症に良く使われる生薬の一つ。

前回私が診た時は、患部から滲出液が多く出ていたけど、今日見た限りでは出てなかったです。乾いて白く裂けている模様が見える。

 

前回の鍼して、唇上の腫れは引きました。

皮膚がボロボロ剥いて脱皮するのは変化なし。

 

便通を聞いてみたら、粘土様の便です。

毎日ではないが、たまに黒い便が出る。

 

彼女は去年、胃酸逆流の症状もあったので、今の黒い便は胃腸に溜まっていた瘀血が出て、便が黒いと思います。

 

病院の先生のアドバイスで○○酸を飲んでから、便の色がだいぶ黄色くなってきた。

 

彼女が言うのは、「最近皮膚が強くなったのか、掻いても腫れて滲出液が増えたりはしなくなりました。」

 

粘土様の便は、以前虫垂炎・胆のう炎の患者さんを治療する時も現れました。詳しくは以下をご覧ください。

 

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ステロイド剤では湿疹・皮膚病が治らない

余談話ですが、ステロイド剤は私が大嫌いな薬。

これに対して、きっと理解できない方がいるでしょう。「皮膚の痒みがすぐ消えるし、ひどい湿疹も消えるから良いのではないか?」

 

あなたはステロイドの被害者を見てないから、こう言えるだけです。

 

確かに、使って翌日には湿疹・痒みなど消える。しかし使い続けると、ステロイド剤を止めた時にもっとひどくなります。そして、薬が段々効かなくなり、もっと強い薬を塗らないとダメ。

 

徐々に皮膚の穴が死んで、汗をかくことができない。最後は象の皮みたいに分厚くなり、常に痒みが伴ってイライラ、掻きまくる。

 

ステロイドを使わなかったら、こんなことになったでしょうか?

 

副作用はこれだけではない。ほかには肝臓と腎臓と心臓が壊れるので、いわゆる多発性筋炎(皮膚筋炎)などの難病にもなります。以下は一人の被害者の治療例。読んで見れば私の怒りが分かります。

多発性筋炎(皮膚筋炎)が治り、アトピー性皮膚炎は改善しつつある(1/3)

 

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