天気痛は漢方薬9日分で治り、大雨が来ても全身の関節は痛くなくなった

【※本記事は2020-08-21更新しました】

 

こんにちは。李哲です。

アメリカの中医師:鄭智城先生*1の記事を翻訳しました。咳が長引く女性と、天候が変わるたびに関節痛がひどい男性の治療例。

  

中国語本文のリンク先は、

“高富帅”老美的风湿关节痛_郑智城

(2012-4-26発表)

 

長年の咳がある女性

 

2週間前に男女2人が来ました。

女性は中国人、男性はアメリカ人。

女性は痩せ型で虚弱体質、長年の咳がある。去年の7月、煙を吸ってから咳が続いて困っているそうです。

 

脈診してみたら沈微。舌は薄い赤で潤いはある。

 

彼女の話を聞くと、なんとなく風邪っぽい。でも、脈診ではまた風邪っぽくなかったです。もう一度脈診してみたら、本当の脈は細弦数。風邪の時の浮脈とあまり変わらない。

 

私は射干麻黄湯+陳皮+枳穀(きこく)を処方しました。

 

▼李哲の説明:射干麻黄湯は、末期乳がんの咳を治すときにも役に立ちます。以下の記事、どうぞご参考に。

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雨が降る1~2日前から体調不良になる男性

 

女性の診察が終わり、今度はアメリカ人男性。

背が高くて痩せ型、礼儀正しい人。見た感じでは病気なさそうでした。しかし、脈診してみたら、なんと沈洏弱。強く押すと脈がない。

 

私は男性に聞きました。

「疲れやすいですか?」

アメリカ人男性は頷いて笑いながら答えました、「そうです。」

 

声は元気な高い声ではない。

舌診をしたら、赤くて潤いがある。舌苔がなくて、嫩でもない。

 

ほかの質問で分かったのは、

  • 喉が渇く
  • 便秘
  • 小便に泡が多い
  • 特に関節痛がひどくて、全身のあらゆる関節が痛い

 

私「天気が荒れて、雨が降る前に、体はなにか感じますか?」

男性は頷いてました。「そうです。雨が降る1~2日前から体調不良になります。

 

処方箋は麻黄附子細辛湯+萆薢(ひかい)3日分。

 

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細辛(さいしん)

女性の咳は7~8割良くなり、男性は疲れにくくなって腰痛が治り、大雨が来ても全身の関節は痛くなくなった

 

翌週に再診察をしました。

女性の咳は7~8割良くなり、とても喜んでました。

 

男性の反響も良かったです。

精神状態が良くなり、そんなに疲れなくなった。腰痛はなくなり、小便の泡も減りました。今度は6日分を処方。

 

▼李哲の説明:尿に泡が多いのは、腎虚証(腎機能低下)のときの症状です。以下、鍼治療例で腎機能を強化できた例があるので、参考になると幸いです。

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3回目の再診察。

男性の反響は相変わらず良かったです。

会話は親切で平和な雰囲気の中で行いました。

 

私は突然2日前のニューヨークにあった大暴風雨を思い出して、彼に聞きました。「2日前から天候が急に変わっているけど、あなたの関節痛はどうですか?」

 

「え?そう言えば関節は痛くない。本当に痛くないです。」

隣の奥さんも頷いていました。

 

この効果は私の予想外。

もともと彼の腰痛、背中痛を治して、陽気を強化するためだったけど、全身の関節痛まで治るなんて考えもしなかったです。

 

▼李哲の説明:全身の関節痛は、ニハイシャ先生の記事にも出ています。以下は全身性エリテマトーデスの関節痛を5日で治した例、参考になると幸いです。

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男性のひどい冷え性は、大量の抗生物質を使ったのが原因

 

良く考えたらこれは難しい物ではなかったです。

私は彼に聞きました。

「大きな病気で入院した事がありますか?」

 

なぜなら、こんな若いのに大量の抗生物質を使わなかったら、体はここまで冷える「少陰体質」にはならないからです。

 

答えは案の定でした。

男性が言うのは、木から落ちて入院した事がある。入院中、熱心で責任感が強い病院の先生は、惜しまず彼に大量の抗生物質を使ったそうです。

 

だから、彼は寝る時にまで靴下を履かないと寝れないくらい、寒がりなのです。

 

▼李哲の説明:抗生物質は体内の冷えを作り出すので、女性の場合は尿失禁、尿もれなどになります。詳しくは以下の論文で確認してください。

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李哲の解釈と解釈

 

「少陰体質」と言うのは、いつもだるい。眠ったい。元気がない。手足が冷たいなどの症状がある人です。

 

このような患者さん、病院では血液検査、尿検査など正常だと言われるかも知れません。しかし、中医学の理論では『少陰病』だと言います。中医学の病名があるので、もちろん処方箋まで完備されてある。

 

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雨が降る前に関節が痛くなるのは、自然の湿気と関節の間に溜まっている湿気が共鳴を起こすから、体が辛くなります。中医学ではこれを『同気相求』と言います。日本語でいう「類が友を呼ぶ」と近い意味。

 

言い換えると、体内に湿気が溜まってない人は、湿っぽい天気になってもつらくないです。

 

天候が悪い日に体調不良になる人は、体内に湿気・寒気などの問題があるので、近くの鍼灸医・漢方医に診てもらってください。

 

類が友を呼ぶに関して、以前の治療例でも説明しているので、良かったらご覧ください。

 

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いつもだるい、眠いなどの症状がある『少陰病』を治す時、鍼灸治療では2つのツボがあります。

 

通里と大鍾。これはちょっと特別なセット。

ほかにも関元、中脘、足三里など気力をアップして、免疫力をあげるツボはあります。どれを選ぶかはその場で臨機応変。

 

お灸の場合は、ひたすら足三里、関元などでお灸する事です。

 

しばらく経つと、あなたはきっと気づきます。

いつものように仕事しても、全然疲れなくなる。

 

以下は一つの鍼治療例。持病の息切れを治したついでに、体力がかなり上がりました。鍼治療後に体力アップした人は、しょっちゅう見られます。

 

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関節痛の鍼治療は簡単です。

リウマチの痛みであろうとケガした膝痛であろうと、少し時間をかければ効果を実感できます。何ヶ月も治療が必要なのは、何十年のひどいリウマチ。それ以外は、すぐ効果が分かります。

 

以前の簡単な鍼治療例、参考になると幸いです。

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li-hari.hatenablog.com

*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。