こんにちは。鍼灸師:李哲です。
風邪の漢方薬を飲んで風邪は治ったけど、汗が止まらない。
もしくは、風邪を引いてないのに、汗がよく出る・汗かき。
このような方は、以下の翻訳文にある「桂枝加附子湯(けいしかぶしとう)」が役に立つ漢方だと思います。
中国・北京中医薬大学の教授:郝万山先生*1の治療例。
中国語本文のリンク先は、
翻訳文
ある年、北京三環路の工事をするとき、北京中医薬大学門前の平和東橋と平和西橋も工事に入りました。現場の人たちは早めに終わらせるために、ほとんど24時間フル稼働。
現場にいる一人の男性、彼はコンクリートを模型につめたあと、電動道具でコンクリートを平らにする仕事をしていました。
不幸にも彼は風邪を引いて、熱が出てるのにまだ現場で働いていたのです。発汗の漢方薬を飲むと熱が下がって、その後はまた仕事に出る。 仕事すると熱が再発して、また漢方薬を飲む感じ。
後になって彼は仕事してなくても汗ダクになり、電動道具を持ち運べることもできなくなりました。現場の人は彼を見て話したのは、「ほら、もう無理しないで、あの学校の隣に中医学診療所があるから行ってみたら?」
ちょうど私がその診療所にいました。
彼は診察の時に言うのは、「風邪を引いて1週間経って、今は発熱と汗が多いです。仕事すると汗が出て、汗が止まったらまた仕事しましたが、今は器具を持つところか歩く力すら出ません。」
体温を測ったら、まだ発熱していて、ベロは薄かったです。
処方は桂枝加附子湯(けいしかぶしとう)を出しました。
加工したトリカブト15g、桂枝15g,芍薬20g、生姜などは10g。
2日飲んだあと熱が下がり汗も止まって、体力は全部回復しました。
陽気を強化する事で汗を止める方法、我々は勉強しないといけません。
風邪がまだ治ってないのに、汗が出すぎて陰液を損傷した時、この処方は非常に良いものです。
李哲の感想
中医学で風邪を治す時は、汗をかかせる事が多いです。
中国では一般的に、寝る時に熱い生姜湯を飲んで、厚着で寝て汗をかけば治ることが常識。
西洋医学の理論だと、風邪はウィルスが原因です。
中医学のやり方だと、汗をかかせる事で風邪が治るのは、ウィルスが汗と一緒に出たことでしょう?
ウィルスが汗と一緒に出きったかどうか、中医学は特に気にしないです。
体内のシステムがちゃんど動いていれば、ウィルスであろうと菌であろうと、 みんな自然になくなるから。
中医学の考え方は、このシステム(免疫力)を正常に戻すのが目的。
葛根湯、桂枝湯、麻黄湯などは汗をかかせながら、免疫システムを助けるやり方です。一点だけ気をつけるべきのものは、麻黄が入った処方は量が多すぎると、皮膚の穴が全開になるので汗が止まらなくなる。
【 ▲ 風邪を治すときに欠かせない生薬:麻黄(まおう)】
この時、漢方薬はどうするのか?
2千年前の張仲景は、事前に対策まで書いてくれました。
桂枝湯に加工したトリカブト(附子)を追加して、皮膚の穴を閉めるのです。
2千年前の張仲景は、風邪の処方箋を細かく分類しただけではなくて、万が一処方箋の量が多すぎてトラブルが起きた時、トラブルを解決する処方まで書いてありました。張仲景が書いた『傷寒雑病論』は、至り尽くせだとしか言えないです。
鍼治療の場合は、合谷穴一つだけ補えば良いです。
汗かき、多汗症もこれで治せます。
ただし、鍼を回す手技が必要なので、ある程度響きを我慢しないといけない。
以前、乳がんから肺・胃などに転移した患者さん、ベタベタ付く汗が24時間止まらなかったけど、鍼した瞬間から汗が止まり、患者さんはとても不思議がっていました。
私はまだ漢方薬を飲んで、汗が止まらない患者さんを診たことがないです。手技を知っているけど、使ったことがないですね。
臨床でこんな患者さんは、なかなか見られないです。
みんな風邪を引いたら、抗生物質よタミフルよ、なんだかんだ飲んでますから。風邪を引いたから鍼治療に来る人は、まだまだ少ない。
抗生物質では風邪が治りません。
この常識を忘れないで下さい。
風邪の症状で困ったら近くの漢方医・鍼灸医に治してもらったほうがいいです。
*1:郝万山先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。