【※本記事は2019-05-03更新しました】
こんにちは。李哲です。
今日は楊貞先生の治療例の続きです。
前回の内容は以下をご覧ください。
中国語本文のリンク先はこちら
- 治療例4:1週間で口内炎、胃酸逆流、口の中が苦いのが治った
- 治療例5:顔のニキビ、生理痛は2週間でだいぶ改善
- 治療例6:乳腺のしこりは2週間で50%消え、胸が苦しい、生理痛、不眠症は治った例
- 治療例7:風邪の咳は1日で治り、食欲不振、のどがイガイガするのは7日で全部治った
- 李哲の感想:
治療例4:1週間で口内炎、胃酸逆流、口の中が苦いのが治った
男性、48歳、体型は中。
よく口内炎ができる。
大便は毎回あるけど、出きった感じがしない。大便は最初は太くてあとは細い。
口の中は苦くて、胃酸逆流があり、喉は渇いて温かい飲み物をほしがる。
食欲は普通、味覚はあり。
睡眠は良いけど、昼にも眠たい。
脈診では沈細。
舌苔は黄色で厚くて乾いている。
両側の目の下には黒青いところがあって、眼診では肝臓の損傷が分かります(よく夜更かしをするから)。
診断:少陰症、胃腸の湿熱、肝臓が損傷。
治療:(単位は銭)
麻黄3,加工したトリカブト5、細辛2、柴胡3、黄芩3、川芎3、◯◯5、甘草3、◯◯2、黄連2、芍薬3、アギョウ(3袋に分けて飲む)、茯苓5、白朮3。
1週間飲んでから、諸症状が著しく改善して口内炎は完治。
処方箋を変えず、飲み続けることにしています。
治療例5:顔のニキビ、生理痛は2週間でだいぶ改善
女性、32歳、小柄の体型。
両側のほっぺ、頸部に多発性の赤い湿疹(ニキビみたいなもの)ができて4ヶ月。様々な治療をしたけど効果がない。
昨日は風邪を引いて咳をしている。
生理の周期は35~36日。生理の出血は10日も続く。出血は赤黒くて、血の塊が出る。出血量は一般的。最近の生理はお腹の痛みがありました。
生理前は胸が張る。以前は卵巣腫瘍があったけど、5年前に帝王切開術のとき、腫瘍も一緒に切りました。
睡眠はまだ良い。ただし、夢が多くて昼間は体力なくて倦怠感で眠い。
食欲は良い、温かい飲み物をほしがる。
汗が出ない。上半身は暑がりで、下半身は寒がり。
舌苔は薄い黄色で乾いている。舌の先は赤い、脈は浮緊、少し速い。手とおでこは温かい。
診断:裏寒、表証も兼ねている。
治療:(単位は銭)
桂枝3,芍薬5、生姜2切り、炙甘草3、麻黄3,加工したトリカブト(附子)6、細辛2、◯◯3、◯◯3、黄連2、黄芩3、アギョウ3(3袋に分けて、毎回飲む時に1袋を溶かして飲む)、艾葉3、杏仁3、薏苡仁5、茯苓5、白朮3、◯◯3、◯◯3、◯◯3、◯◯3。
2週間飲んであとにいうのは、顔と頸部には赤いニキビが出なくなりました。もとのニキビは消えつつあります。
今度の生理は32日目で来て、6日で出血が終わり。
生理中の腹痛はなくなり、足も暖かくなりました。
治療例6:乳腺のしこりは2週間で50%消え、胸が苦しい、生理痛、不眠症は治った例
女、43歳、体型は中。
症状は半年前から胸が苦しい。
この2日は、毎日2回発作。1回発作すると、だいたい30分持続する。
両乳房には大小不均等の硬いしこりがあり、押しても痛がらない。
生理前は胸が張って痛い。
生理の周期は30日、出血は3日で終わる、出血量は少ない、色は暗くて血の塊がある。同時に下腹部痛が半日ある。
睡眠はこの1年悪い、夢が多くてたまには眠れない。
汗が出にくい。
昼間の気力はまだ良いほう。
水を飲みたがらない。
たまに冷たい水を飲むとお腹が痛くなる。
食欲は良くて、お腹が空く。ただし、お腹が空いた時にすぐ何かを食べないと落ち着かなくて、パンとかお菓子を食べる。
便秘、硬い便が2~3日に1回に出る。
尿の色は中の黄色。
体は寒がり、手足は触ると冷たい。
しかし、手足のひらは灼熱感がある。
舌苔は薄い赤、脈は微細、手は冷たくてしっとり。胸椎5番目は圧痛がある。
診断:裏寒、陽明病、心臓の気が上がらない。
治療:
①鍼で刺したのは公孫、内関、天突、巨闕、関元。鍼したら胸が苦しいのはすぐ減り、その夜に飛行機で帰りました。
②処方箋:大黄3、加工したトリカブト(附子)6、細辛7、石膏40、炙甘草3、桂枝3、厚朴3、◯◯3、◯◯3、◯◯3、茯苓5、白朮3、防已3、◯◯3、◯◯2◯◯2、◯◯3、◯◯3、◯◯5、◯◯3、生姜2切り。
2週間後、電話で以下の報告がありました。
「胸が苦しいのはなくなり、お腹が空くと動悸がするのがだいぶ減りました。
生理痛が消えて、生理の量が増えたけど、血の塊はまだあります。
睡眠の質が良くなり、手足は暖かくなりました。汗も正常に出ている。乳房のしこりは減って柔らかくなってきました。」(患者本人がいうのは、50%減った感じ)
治療例7:風邪の咳は1日で治り、食欲不振、のどがイガイガするのは7日で全部治った
女性、48歳、痩せ型で小柄。
風邪を引いてから、咳が1週間くらい続いている。
黄緑色のたんが出て、のどがイガイガする。夜間は特にひどい。
寒がりで風を嫌がる。
毎朝3~5時の間に、発熱して汗が吹き出る。
咳で夜はよく寝れない。
気力がなくて、食欲不振、喉は渇くけど温かい飲み物を飲む。
大便は毎日あり、下痢気味、出きってない感じがする。
小便の色は中の黄色。(電話で診察したので、脈診と舌診はありません)
診断:桂枝麻黄各半湯の症。
治療(単位はグラム):桂枝9、芍薬9、甘草6、麻黄 6,生姜2切り、ナツメ10個、杏仁6,茯苓15,細辛9、乾姜6、◯◯11、◯◯11、◯◯11、◯◯11、◯◯11、薏苡仁15。
1日目の漢方薬を飲んで、咳が完全に消えました。
3日飲んだあと、寒がり、風に当たると嫌な感じは消えて、朝3~5時に汗と熱が出るのは治りました。ただし、喉が少し乾く感じがする。肩と腰・尾てい骨のほうが寒がり。
もとの処方箋そのままで、あと1週間飲んだら、全部の症状が消えました。
李哲の感想:
様々な治療例が見て、漢方薬・鍼灸のパワーがわかったでしょうか。
日本では殺人事件に使われたと言われるトリカブト、楊貞先生はバンバン使っていますね!
生薬の所に〇〇が多いので、できる所だけ解釈します。鍼灸ではどのように治療するのか?も簡単に書いてみました。
治療例4の解釈
昼なのにとても眠い、脈沈細は『少陰病』の特徴。
心臓と腎臓、この2つを治さないといけない。
心臓の陽気の強化には、炙甘草など。
腎臓の陽気の強化には、加工したトリカブト(附子)、細辛など。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)の影が見えます。
白朮、茯苓などは胃腸を強化して、湿気を取り除く生薬。黄連、黄芩などは熱を取り除く生薬。
口内炎はほとんど心臓の『虚熱証』なので、心臓の熱を冷ませば治ります。
心臓の経絡で有名なのは、大陵。
この一つのツボで、心臓の虚熱証と胃腸の湿熱証を治せます。
漢方薬は数種類の生薬が必要だけど、ツボの場合は一つだけで足りるのがメリット。
治療例5の解釈
顔には胃と大腸の経絡が走っています。
ニキビの主な原因は胃腸の毒素。宿便、湿気と熱、もしくは寒。その原因を探って治療します。
湿気が強いと人は昼間でもだるい・眠いです。
体内が冷えると、人は温かい飲み物をほしがる。
だから、楊貞先生はトリカブトなど使っています。
鍼治療の場合は、足太陰脾経のツボで湿気を取り除く。合谷と曲池でニキビを消します。
時間はかかるかも知れませんが、ステロイド剤より遥かに効果がよくて副作用もありません。
治療例6の解釈
胸のしこり。
これは病院に行くと、すぐ乳がんの疑いがあるから、マンモグラフィ検査をしましょうと言われるかも知れない。
マンモグラフィ。
この強力に乳房を挟むやり方は、医学検査ではなくて、拷問です。
機械で強力に乳腺を潰すので、さらに母乳(乳汁)が中にたまり、乳がんになりやすくなります。つまり、マンモグラフィをやればやるほど、乳がんになりやすくなる。
生検も同じ。
太い針で乳腺の組織が傷つくので、生検をやればやるほど貴方は乳がんになります。
毎年1~2回も乳房の検診を勧める理由は、より多くの乳がん患者さんを作り出すためである。
漢方薬の治療だと、すぐしこりが消えます。
鍼灸も同じように治療できる。
乳がんの原因は、ニハイシャ先生の論文をご覧ください。
心臓・胸が痛い、苦しい。
これは鍼灸にとって、朝飯前なので言うこともないです。上記をツボを刺せば、すぐ治るはず。
治療例7の解釈
汗が出るのは桂枝湯の症状。
寒がり、ひどい咳は麻黄湯の症状。
だから、桂枝湯と麻黄湯を半々ずつにして、ほかの生薬も入れて治しています。
処方が合っていれば、風邪は1~2日で治ります。
早い時は20~30分で症状が収まる。私の経験談を書いてあるので、どうぞご覧ください。
子供に異常行動を起こす、タミフルなんか要りません。
副作用だらけで全く効果がない、インフルエンザワクチンは更にゴミ!
日本には葛根湯、麻黄湯、桂枝湯など、100円ちょっとで1包が買えます。風邪は1~2日で治すのに、漢方薬はいくらかかると思いますか?
漢方薬はインフルエンザワクチンより全然安いです!
~続く~