【※本記事は2019-05-04更新しました】
こんにちは。李哲です。
膝痛と椎間板ヘルニアで、手術を受ける方がいるかも知れません。
「手術はしたくない!手術以外の方法はないのか?」
そんな方のために、半年も治らない膝痛、椎間板ヘルニアからくる腰痛を改善した鍼治療例を書きました。7千文字の長い記事ですが、参考になると幸いです。
腰と膝が痛くて、まともに歩けない患者さん
女性、60代。
彼女の主訴は、去年の12月から腰と膝の痛みがつらくて、ちゃんと歩けない。
彼女が書いた10個の質問表。気になるところを引用します。
1.夢はいつも見ている。夜中トイレに1~2回は行く。
2.最近あまり食べ物がすごく美味しく感じない。(運動ができないからかも知れません。)
3.冬は特に寒く感じる。足が特に冷たい。
他の気になる症状は以下のとおり。
- 5年前に右の腰が痛み、骨盤に神経が触っていると言われました。
- 2015年12月に椎間板ヘルニアだと診断され、右の腰の4と5の間。右膝が痛くて歩くのにきついです。寝ているときも膝が痛くてあまり眠れない。
- 以前、背骨が曲がっていると言われ、背中が痛むときがあり姿勢が悪い。
- 胃があまり丈夫ではない。
- 風邪も引きやすい。
- 甲状腺にのう胞ができていて、1年に1回の検査を受けている。
- 季節の変わり目に顔にほてりが出て、血圧も少し高め。
私はほかの症状も尋ねました。
彼女が言うのは、
「昔、産後に冷えて膀胱炎になったことがある。冷え症は若い頃からあった。首肩のコリが気になる。2年前に胃が重い、胃の不快感で検査したら、ピロリ菌が見つかり薬で除菌。除菌のあとは、たくさん食べても胃の不快感は出なくなった。」
(ピロリ菌の詐欺話は、後で暴露します)
膝痛のために彼女はシップ薬.漢方薬…
色々試したけど、半年経っても良くならない。
本院に来たときは、右足を引きずりながら入って来ました。痛む場所は右膝の中。
私が指で押すと骨まで響いて痛がるので、ただの筋肉損傷ではなくて、骨までダメになっていると判断しました。つまり、初期の骨粗しょう症です。
臨床でたくさん見られるのは、病院の薬に騙された女性。彼女たちは数十年も飲んだから、最後は病気になっているのです。以下は一つの症例、参考になると幸いです。
ホルモン補充療法の副作用で、30年後に骨粗しょう症+乳がんになったおばあちゃん
原因不明の膝痛、お尻の骨が痛いのは、初期の「骨粗しょう症」
初期の骨粗しょう症は、病院の骨密度を測る機械では分かりません。数値に出たときは、すでに遅いです。
体に何かしらささいな異常があっても、患者さんは必ず自分で分かるはず。中医学が判断の根拠にしているのが、患者さんの自覚症状です。
ニハイシャ先生は話しましたが、骨の密度が下がった(初期の骨粗鬆症)時は、お尻の痛みが生じる。正確に言うと、大転子周辺が痛くなります。
あとは、ケガもしてないのに膝が痛くなる。
右膝から始まるのが多い。
中医学では先進な検査機械もないのに、どうやって骨粗しょう症が良くなったと判断するのか?
上に書いてあります。
①膝痛が良くなる
②おしり(大転子周辺)の痛みがなくなる
この2つの症状が良くなればいいです。ほかにまた関連する自覚症状があるけど、とりあえず分かりやすい痛みから説明しました。
骨に響いて痛いのは、回復するのにとても時間がかかります。一般的な筋肉損傷と違うので。
もし彼女が痛めてすぐ来れば、もっと早く治るかも知れないけど、すでに半年の無駄な治療をしていたので、回復には時間がかかるのです。
彼女にも伝えましたが、最低2~3ヶ月くらいはかかる。
骨の密度が上がったのは、痛みの軽減から判断できるし、腎臓.膀胱の役割からも判断できる。例えば尿の色、勢い、回数、全体的の体力。
彼女は夜トイレに行く症状があります。
夜間頻尿がゼロになったら、腎臓と膀胱の機能が良くなっている事を証明します。
西洋医学の先生は、「女性ホルモン剤は骨粗しょう症の予防になる」と言いますが、騙されないでください。女性ホルモン剤を長年飲むと、あなたの骨はボロボロになります。詳しくは以下の記事に書いてあるので、ぜひご覧ください。
鍼治療過程での変化と、中医学の解釈
以下は彼女が鍼を受けたあとの記録と、私の説明です。
1回目:膝痛が少し緩和し、大量の尿がスッキリ出た
肺兪、心兪、脾兪、胃兪、腎兪、京門、陰谷、委中(補法)、後渓、申脈、たいちゅう、風池、天枢、関元、巨闕、中脘、神門、内関穴、膝五鍼。
膝五鍼の説明は、以前の記事をご覧下さい。
鍼をするとき、「響きは我慢できますか?」と聞いたら、彼女の答えは「膝が良くなるなら我慢する!」
鍼が終わったら、引きずる右膝は少し良くなった。
そして、大量の尿がスッキリ出ました。いつもの尿はチョロチョロ。
施術が終わってお茶を飲む時、彼女は涙目になって話しました。
「自分の膝は、永遠に治らないと思いました。
親は死ぬ前に膝が悪くて、四つん這いで行動。
自分も死ぬまで四つん這いになるかな?と心配していました。」
2日後、2回目の鍼に来ました。
彼女の報告は以下のとおり。
- 仰向けで寝るとき、前は右膝が地面につかなかったけど、今は地面に着く。
- 右膝の内側面の痛い範囲が減った
- 小便は以前の頻尿より回数が減った。
- 夢はまだみる。
- 食べるのは普通。
刺したツボは、1回目のを少しアレンジ。
2日後、3回目の鍼に来ました。
彼女の報告は以下のとおり。
- 膝痛はまだある(右膝の痛み>左膝の痛み)。今日は膝より腰の痛みが気になる。
- トイレに行く回数は減った。
- 夢はまだみる。
刺したツボは、ほぼ同じ。
大腸兪穴など追加。
4回目:膝痛と腰痛は減りつつある
3日後、4回目の鍼。
彼女の報告は以下のとおり。
- 膝痛はまだあるけど、3割くらい減った感じ。
- 腰痛はたまに気づくくらいかな。
- トイレに行く回数は増えてない。昨日は夜中に1回もトイレに行ってない。
膝痛は施術後、1日経ってから楽になる感じがする。
昨日は家にいたとき、全然痛くなかったそうです。
1日後、5回目の鍼。彼女が言うのは、「昨日は夜中にトイレに1回。」
なぜか、鍼した後に右の偏頭痛が起きるというので、今回は予防のために百会、太衝を刺しました。
まれな例かも知れませんが、1回で偏頭痛が改善するケースもあります。以下の症例、どうぞご覧ください。
6回目:膝の中がうずくて寝れないのはなくなった
4日後、6回目の鍼。彼女が言うのは、膝痛、腰痛(特に左側)はまだある。でも、膝の中がうずくて寝れないのはなくなった。
夜中にトイレに行くのは1回。
前回、右の偏頭痛の予防として刺したツボ。
その日は起きてないけど、翌日に起きたら偏頭痛が起きて、ツムラの3番を飲んで治ったそうです。
2日後、7回目の鍼。彼女が言うのは、「夜寝る前にお茶を飲む習慣を止めたら、夜中にトイレに行かなくなりました。」
この2日は夜中にトイレに行ってない。
昨日は夜9時から朝3時半までよく寝れた。
夢はまだみたかも知れないけど覚えてない。
右膝痛の範囲は更に縮まり、内膝眼から陰陵泉穴少し上になりました。歩くのは前よりだいぶ良いけど、膝痛はまだある。
昨日、右の偏頭痛が再発して、ツムラ漢方薬3番を飲んだら30分で治ったそうです。
針をしたあとに、偏頭痛が出るのは肝臓が解毒して、胆嚢の経絡に影響が出るからだと教えました。彼女はいろんな西洋薬を飲んできたから、肝臓には隠れた毒素がたくさんあります。
内臓が元気になるとともに、解毒作業が始まるので、針をしたあとに右の偏頭痛が起きます。何回か偏頭痛が出て、肝臓の解毒作業が落ち着けば、偏頭痛も出ないと思います。
彼女が気にしていた、逆流性食道炎の症状も最近は治ったみたいです。だから、逆流性食道炎のための西洋薬も飲んでない。
彼女は始めに来たとき、漢方薬以外に逆流性食道炎のための西洋薬も飲んでました。
私は西洋薬を断固拒否。
鍼で胃は良くなるので、病院の薬は要りません。
今まで1番ひどい胃痛患者さんがいましたが、それでも鍼ですぐ収まりました。
彼女は昔、ピロリ菌の除菌をした事があります。その時は、ピロリ菌で胃がムカムカすると言われた。
除菌してきれいになったはずなのに、胃は治ってないです。
今でも逆流性食道炎はあるので胃がムカムカ。
これで分かりますが、「ピロリ菌で胃がダメになる説」は間違いです。
逆流性食道炎がある人は、先に食べ物を変えないといけません。
特に人工的な甘いもの.コーヒー.清涼飲料水などはダメ。
8~10回目は特に変わったことがないので、記載しない。
11回目の報告:
10回目のとき、違う思考のツボを刺したら、「今までと違って歩きがすごい楽です」と言ってました。
鍼した後に、右の偏頭痛にはなってないけど、ぼんやり重い感じがする。ツムラ漢方薬3番は飲んでない。
「右膝下のかぶっていて重い感じがなくなって、とても良かった」と言ってました。
膝痛は当院の患者さんに多い症状です。
以下はもう一人の治療例なので、参考にしてください。
小便は色がまだ透明。
朝一番の小便は黄色。
尿の色が透明なのは、下焦の冷えが原因:鍼治療で尿が薄い黄色に変わった女性。
これはまだ下腹部が冷えている事を証明します。
腎臓.膀胱などの機能が良くなった時、小便は薄い黄色になります。
12回目、彼女の報告。
-
右膝の内側の痛みはだいぶ良い、今日は膝より腰の痛みが気になる。
-
乾いた咳が続く。
-
歩く時に足が進めるようになった。
-
夜中にトイレに行くのは治った。
昼間にトイレが近いのも回数が減った。
-
最近は腸がよく動いているせいか、おならがよく出る。
13回目:膝痛は以前の5割まで減った
13回目の鍼。
彼女が言うのは、昨日は天気が悪かったせいか右膝痛は増加。でも、膝痛は以前の5割まで減っている。
夜はトイレに行ってない。
5時間くらいはよく寝れる。
腰痛は左側>右側。
右足は曲げると、大腿部の外側が腫れている感じがする。
詳しい場所は、風市穴のあたり。
膝痛は鍼治療の効果は著しいです。
以下は一人の治療例、参考にしてください。
14回目の鍼。
夜中にトイレに行くのはなくなった。
昼間のトイレも回数が減ってる。
夜、膝がうずくて痛くて寝れないのは完全に消えた。
昨日は膝の調子がとても良かった。
最近の小便の色は薄い黄色。
色が薄い黄色になったのは、腎臓と膀胱の機能が回復した事を証明するので一安心です。
15回目の報告:
右膝痛はまだあるけど、立っているとき、右膝は左膝と同じように真っ直ぐになった。
以前は、痛くて右膝は曲がったまま。
右膝の力が弱くて、片膝で立ち上がる時は何か掴まないとダメ。腰痛は少しあるくらい。
先週の土日は全然痛くなかったので、もう治ったと喜んでたら昨日の夕方から痛くなり始めました。腰は座位から立ち上がる時、つらいそうです。2日前に寝違えたのか、首肩が痛い。
彼女は施術後によく軽く咳をするので、聞いてみたら「喉に痰が絡む感じがする」と言ってました。
治療には、いつものツボと董氏奇穴の組み合わせ。刺絡も入れて。
帰りに彼女は、「首肩が楽、この1週間は鍼した後に偏頭痛は出てないです」と言ってました。
これで、肝臓の中の毒素の処理が一段落つきたと思います。
将来、また偏頭痛が発作するかどうかは分かりませんが。
17回目の報告: 寝違えたのは前回の施術後の翌日に治ったそうです。
一般的に寝違えは、1回の鍼で効果が現れます。
多くても2~3回で治る。
以下は私自身の治療例、参考になると幸いです。
膝痛はまだあるけど、今日は駅から本院まで歩いて来るのは痛くなかった。
今日、刺した董氏奇穴の三叉三。
鼻通りがよくなり、痰が絡むのも減った感じがするというので、ほかの迎香穴などは刺してない。
18回目:4千歩から8千歩に歩けるようになった
2日前、8千歩歩いても膝痛がなかったので治ったと喜んでたら、1日前から痛くなった。以前は4千歩が限界だったそうです。
今日はゆっくり歩いて来たら膝痛はない。
軽い咳とまだある。
小便の色は薄い黄色。
胃の不快感も出てない。
腰痛は起立する時に少しあるくらい。
22回目:右膝の骨に響く痛みは、ほぼ治った
右膝は歩く分には大丈夫。
歩く時にズキンズキンと骨に響く痛みは、ほぼなくなった。
指で強めに押すと圧痛はまだある。
右膝の外上部、まだ腫れている感じがする。
右足は上げるとき、右膝の外上部に違和感(痛み?)があるので、いつも左膝を先に上げるそうです。
小便はもうOK。
夜中もトイレに行かないそうです。
咳と痰は多い。
季節の変わり目にはよく鼻水.痰が絡む。
五行堂の漢方薬をけっこう飲んでいるみたいです。
前回の針をしたあとに、鼻水と痰が絡むのはなくなったけど、翌日からまた再発。
今日は右膝痛が少し気になるけど、それより右膝の外上部が気になる。(右腰から右大腿部まで)
鼻水、くしゃみなどの症状に鍼治療の効果はとても良いです。
以下は一人の治療例、参考になると幸いです。
25回目の報告
右膝の外上部の腫れる感じはなくなった。
痰が絡むのと、軽い咳は変わらない。
右膝痛は少し気になる。
彼女の変化を見ると、最初の膝痛の主訴が徐々に薄くなり、ほかの症状が主訴に変わりつつあります。これは良いことです。
28回目:右膝は曲がって、正座ができるようになった
右膝痛はまだ少しある。
階段を降りる時に、少し骨に響くけど、昔よりだいぶ良い。
昔は右膝を曲げると痛くて、正座もできなかったけど、今はある程度できる。
痰が絡むのと軽い咳は変わらない。
29回目の報告:
昨日は6~7時間くらいよく寝れた。
でも、寝るとき右膝を圧迫して寝たのか、今朝起きたら右膝痛があって、自分で痛いところにお灸したら治ったそうです。
鍼で不眠症を治し、睡眠の質を変える効果は言うまでもないです。以下は一つの治療例、参考にしてください。
30回目:ストレスで「喉に痰がからむ」特別な症状がある
4000歩以上歩くと、お尻の後ろから大腿部の後ろ側.外側にかけて少し痛い。足が重だるくなる。
右膝の内側は痛みより、響く感じがする。
痰が絡むのと軽い咳はまだあり。
話を聞いたら、彼女は悩み事があるそうです。
他の人にはあまり言えないもの。
だから彼女は、この特別な症状があります。
傷寒論には書いてますが、これは「半夏厚朴湯」 の症状。
喉に痰が絡む、喉が詰まる感じがする原因は、悩み事があるのに言えなくて気が詰まるからです。
本当の見える痰ではなくて、気持ちの「気」です。だから、痰を取り除く薬では治せない。
一番の治し方は、胸に詰まっている内容を全部話してスッキリすれば治りますが、うまくできないのが現状。
困りました。
私の鍼レベルで完全に治すのは難しいけど、できる限り頑張ります。
体調不良(病気)になる3つの原因。喜怒哀楽(感情の乱れ)と五臓六腑の関連性も説明します。
気持ち.感情の変化が内臓に与える影響は、軽く見るとダメです。場合によっては、猛毒の抗がん剤よりも強い。
だから、私は患者さんに不安と恐怖を与える西洋医学の診察.治療が相応しくないと思います。
あなたの余命は半年です。
あなたの病気は永遠に治りません。
死ぬまで薬と、うまく付き合いましょう。
… …
自分が治せないなら、ほかの治療法を試すことを勧めて、このような発言もしないでほしい。
ニハイシャ先生は、もっと強烈な言葉で叱りました。
詳しいのは以下の記事をご覧ください。
おわりに
彼女の治療を振り返って見ると、30回までは3ヶ月かかりました。毎週2回以上の鍼をして。私の鍼がもっとうまかったら、患者さんの苦痛も早めになくなったですが…
- 最初の鍼治療では、右膝痛が徐々に楽になり、右足を引きずるのはなくなりました。
- 夜中にトイレに行くのがなくなり、昼間の頻尿症状が消えました。
- 小便の色は透明から、正常な薄い黄色に変わり。
- 腰痛も軽くなり始めました。
その代わり、以前気にしてないものが気づき、今の主訴に変わっています。右膝痛以外に、痰が絡むのと軽い咳。
主な痛みがなくなったら、2番めに痛いところが分かるようになる。痛みがなくなったら、今度はほかのところが気づくようになる。
これが治療していく上に、逆戻りという段階です。
完全に痛みと不調が消えるまでは、もう少し時間がかかりそうです。今日はとりあえずここで一段落つき。
またなにか変化がありましたら、記事にします。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
(おわり)